軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

143.多勢に無勢

「クチャ、クチャ!」「クチャア!」「クチャッ!」

「クァチ!」「クチャ!」「クチャッ!」「クチャ!」

赤蟻の大群が押し寄せてくる。

落ち着け、落ち着け俺。

慌てたら助かるもんも助からねぇぞ。

それに足止めの二体だけレベルが高かった可能性だってある。

これだけ数いるんだから、レベルにムラがあってもなんらおかしくない。

嘆くのはステータスを確認してからだ。それからでもぜんっぜん遅くねぇ。

全員Lv10程度だったら頑張れば〖転がる〗で一掃できる。

強い奴が足止めをして、雑魚が数を集めてきた。

あり得そうなことだ。

あの取りつく島がまったくない感じ、他種族と和解する気がねぇっつうよりはボスの言うことは絶対だから融通効きませんって感じだったからな。

その分、連携は取れていて役割分担がきっちりしているのだろう。

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種族:レッドオーガアント

状態:憤怒

Lv :25/55

HP :230/230

MP :71/71

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種族:レッドオーガアント

状態:憤怒

Lv :24/55

HP :226/226

MP :69/69

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種族:レッドオーガアント

状態:憤怒

Lv :25/55

HP :230/230

MP :71/71

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種族:レッドオーガアント

状態:普通

Lv :27/55

HP :239/239

MP :75/75

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種族:レッドオーガアント

状態:憤怒

Lv :24/55

HP :226/226

MP :69/69

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よっしゃ、俺の読み通りだ!

やっぱり強めの奴が残って足止めしてたみたいだな!

さっきに比べて平均レベルが2くらい低いぞ!

これなら突破でき……るかぁぁぁぁああああっ! レベルのプラマイ2なんざ誤差の範囲じゃねぇーか!

そりゃ多少は動きが違うかもしれんが、圧倒的物量の前では些事なんだよ!

背後を見る。

玉兎が眉間に皺を寄せ、赤蟻の大群に〖念話〗で思念を送っているのが見えた。

前を向き直す。

赤蟻達は呼びかけをガン無視して前進している。

気に掛ける様子すらない。

俺は壁へと牙を突きたてる。

赤蟻がクレイの魔法で作ったのなら、ぶっ壊せるはずだ。

牙が削れるが、気に留めてる場合ではない。

五回ほど噛みついたところで、壁に小さな罅が入った。

駄目だ、これクソ硬いわ。

もうちょっと時間を掛ければどうにかなるかもしれねぇが、今そんな余裕はない。

そもそも壁崩したところで脱出できるかどうかは別の話だけどな。

結局土の壁をどうにかしないと地上には戻れないし、全体が崩れて生き埋めになる可能性もあるし。

……いや、玉兎だけなら逃げきれるか。

玉兎が通れる程度の小さい穴なら開けられるかもしれねぇし、その程度なら全体が崩れる恐れもない。

アイツには穴を掘るがあるから、土を掘り進むことだってできる。

玉兎が逃げきれれば、必然的に体内にいるニーナも助かる。

ここで終わりか。

ま、そんなもんか。

こんな危ないところで生きてたら、いつかはこうなるよな。

むしろ今までよく持ち堪えてたって感じか。無茶やりすぎたわ。

まともに人化できなかったのは残念だけど……元々、今の俺って死んでからの延長戦臭いしな。

記憶は不確かだけど、なんとなく人間時分に死を覚悟したような覚えがあるから、多分そういうことなんだろう。

兎一匹と人間一人救って終わりか。ロスタイムにしちゃ上々だな。

人間にはなれなかったけど、頼ってくれる人間がいたんだから、それだけで満足だ。ちょっと怖がられてる感はあったけどもさ。

「グルァァッ!」

俺は吠えながら、壁の穴に牙を突き立てる。

牙に激痛が走る。ちょっと歯並び悪くなっちまったな。

広がった壁の穴へ爪を打ちつけ、更に穴を広げる。

これなら玉兎ならなんとか抜けられるはずだ。

「グルゥ……」

それじゃあ悪いけど、ニーナを頼んだぞ、玉兎。

俺にとって、今世で唯一残ってる人間との縁なんだから。

「ぺふっ! ぺふっ!」

玉兎は、鳴きながら俺へと近づいてくる。

「グルワァァァッ!」

大声で鳴き、玉兎が近づいてくるのを牽制する。

それから俺は壁に空いた穴へと目をやって指示を出してから、前を向き直す。

「グゥオオオオオオオッ!」

俺は咆哮を上げながら、〖転がる〗で赤蟻の大群へと突撃する。

これが最後の〖転がる〗だ。

反動もコントロールも身体への負担も気にしねぇ、全力だ。

さすがにあの数を薙ぎ倒すのは不可能だが、時間稼ぎくらいならやってみせるさ。

「クチャッ!」「クチャアアアッ!」

俺を追い詰めた気になっていたらしく、赤蟻達は思ったよりも無防備だった。

前の二体を簡単に弾き飛ばすことができた。

が、後列の赤蟻四体掛かりに押さえられ、動きが止まった。

「クチャッ!」「クチャッ!」「クチャッ!」

「クチャッ!」「クチャッ!」

俺の身体が、赤い土で固められていく。

御丁寧に、寄って集って何重にも。これで動きを止めるつもりらしい。

このまま簡単にはやられてやらねぇぞ!

「グルゥオオオオオオッ!」

叫び声を上げながら、俺は我武者羅に手足を暴れさせながら立ち上がる。

身体に纏わりついていた赤い土の塊が砕け、辺りに飛び散る。

通路の壁ほど強度はない、いける。

俺の暴れっぷりを見てか、赤蟻達が一歩後退する。

「グルゥォオオオオオオッ!」

再度叫ぶ。

「クチャッ! クチャァツ!」

赤蟻の内何体かが、俺から距離を取りながらも、俺の背後へと回り込んで退路を塞ぎに動き出す。

逃げるつもりなんてねぇよ、好きなだけ囲みやがれ。

俺は腕を上げ、叩き落とすように爪を大きく振るう。

カウンターを受ける可能性も高かったが、今更ダメージなんかビビるかっつうの。

「ク、クチャ……」

結果的に脅えた赤蟻が反撃を出しそびれ、カウンターはなかった。

前方にいた赤蟻が、そのまま爪で串刺しになる。

レベルが低かったのか、赤蟻は大振り一撃で動かなくなった。

【経験値を384得ました。】

【称号スキル〖歩く卵:Lv--〗により、更に経験値を384得ました。】

【〖厄病竜〗のLvが42から44へと上がりました。】

怒り一色だった赤蟻達に、焦りの色が広がっていく。

が、そのまま逃げにチェンジしてくれるほど甘くはなさそうだ。

そりゃそうだ。囲んで飛び掛かられたら普通に俺詰むからな。

簡単に逃げてくれるような奴らだったら、足止めの二体相手にあそこまで苦戦することもなかったし。