軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

104.ガルパンサー

起きたとき、腹が妙にこしょばかった。

なんだ? 昨日喰ったサソリの毒が、今になって俺の腹の中で暴れてんのか?

いや、それにしては表面的過ぎんな、なんか。

「ぺふぅっ! ぺふぅっ!」

……ん、これ、玉兎の鳴き声だな。

声はどこか悲壮感漂っていて、俺に助けを求めているようだった。

ひょっとして、他のモンスターに襲われてるのか?

どこだ?

声はすれど、ぜんぜん姿が見えねぇぞ。

必死に〖気配感知〗を巡らせる。

下か?

俺が立ち上がると、砂山の中から玉兎が這い出てきた。

玉兎は息を荒くしながら酸素を取り入れ、呼吸が落ち着いてからジト目で俺を睨む。

……どうやら、寝ている間に俺の体勢が崩れ、玉兎の砂山を圧迫していたらしい。

そのせいで砂が固まった上、俺の腹が邪魔で地上に出ることも敵わなかったようだ。

いや、悪い。本当に悪かった。

でも俺は玉兎の身を案じてああやったわけで、それがちょっと裏目に出ちゃっただけだからプラマイゼロで許してほしい。

不機嫌そうな玉兎だったが、サボテンを喰わせておくと表情が戻った。

こいつ、物凄くチョロいぞ。

喰うことしか頭にねぇんじゃないのか。

朝食が終わってから玉兎を頭に乗せ、また砂漠を歩く。

とりあえずの目標は玉兎のLvアップ、からの進化。後、俺がそろそろ肉を喰いたい。

獣型のモンスターを狩って、そのついでに玉兎のLvでも上げるとすっかな。

Dランク上位くらいの敵を倒して、玉兎を一気に進化までもってけりゃいいんだけど。

しばらく進んだところで、眠っている豹を見つけた。

あの、大ムカデに追われて全力で逃げていた奴と同種っぽい。

朝思わぬハプニングがあり、早起きしたのが幸いしたな。

つっても薄目開けたまま眠ってっから、ちょっと近づいたらすぐ目開けちまいそうだけど。

この距離……〖ステータス閲覧〗使えっかな。

これも結構スキルLv上がってるし、これくらいなら頑張ったらいけるか。

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種族:ガルパンサー

状態:眠り(小)

Lv :27/48

HP :123/123

MP :98/98

攻撃力:95

防御力:84

魔法力:99

素早さ:158

ランク:D+

特性スキル:

〖野生の勘:Lv1〗〖嗅覚:Lv2〗〖忍び足:Lv2〗

〖気配感知:Lv1〗〖危機察知:Lv1〗

耐性スキル:

〖魔法耐性:Lv3〗〖毒耐性:Lv1〗

通常スキル:

〖咆哮:Lv2〗〖噛みつき:Lv3〗〖蜃気楼:Lv2〗

〖ビーストタックル:Lv1〗〖クイック:Lv3〗

称号スキル:

〖猫科の意地:Lv3〗〖チェイサー:Lv2〗

〖疾風の走り屋:Lv2〗

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【通常スキル〖ステータス閲覧〗のLvが5から6へと上がりました。】

お、これ距離補正的なのついたんじゃねぇのか。

なんやかんやいって一番頼ってるスキルだからな。

〖ステータス閲覧〗と〖転がる〗がなかったら何回死んでたかわかんねぇよ。

……う~ん、これは玉兎には荷が重いか。

全ステータス、玉兎の20倍くらいあるもんな。

どう頑張ってもダメージ通らねぇか。攻撃だけさせときゃ経験値って入んのか?

まぁ、その辺確かめる意味でもありっちゃありか。肉喰いたいし。

しかし、俺を差し置いて〖疾風の走り屋〗を名乗るとは、いい根性してるじゃねぇか。

確かに速さの素のステータスだったら微妙に負けてっけど、〖転がる〗使ったら俺勝っちゃうぞ。その自信はある。

その称号、俺のプライドに懸けて奪わせてもらおうか。

にしても、さて、どう近づいたもんか。

逃げられたら玉兎連れながら追い掛けることはできねぇからな。

殺す気で一発ガツンと仕掛けて、余裕があったら玉兎に参戦させるくらいでいいか。

初撃で一気に弱らせるべきだな。

でも、これ以上近づいたら目覚ましそうなんだよなあいつ。

こっそり近づくよりも〖転がる〗で強襲するのが良さそうなんだけど、それだとしばらく玉兎放置になりそうだな。

穴掘って隠れてもらってりゃ大丈夫か?

あ、そうだ。

口の中に玉兎入れときゃ大丈夫じゃん。

そのまま転がれるし。

閃いちまったよ。これで次から移動も一気に楽になるな。

俺は玉兎を、地上へと降ろす。

口の中に入れるため俺が玉兎へと顔を近づけると、目が合った。玉兎は、何かを察したようにぶるりと身震いさせる。

「ぺふっ! ぺふっ! ぺふっ!」

顔……というか、身体全体を左右に揺らし、必死に俺に抗議を行う。

ひょっとしてこいつ、俺の考えが読めてるのか?

いや、これはどっちかというと『自分食べても美味しくないですよ!』的な反応だな。

大丈夫だって、ちょっと口の中入れるだけだから。安全のためだ、安全のため。

「ぺふぅっ! ぺふぅっ!」

なおも声を上げる玉兎へと、俺は顔を近づける。

玉兎が逃げようとする動きに合わせて首を動かして追い、口の中に捉える。

「べふー!! べふぅー!!」

……これ、結構キレてねぇか?

まぁ、やっちまったもんは仕方ない。このまま〖転がる〗で眠ってる豹へと突撃だな。

俺は身体を丸め、一直線で豹へと向かう。

途中で豹が目を覚まし、立ち上がる。

その頃にはすでに俺は、最高速度に達していた。

整った地面に、障害物のない綺麗な更地。〖転がる〗を最大限に活かすには持って来いすぎる。

口の中で玉兎が大暴れしているが、関係ない。

今こんな中途半端な状態で止めるわけにはいかねぇ。

豹が逃げる。

起き上がってから逃走体勢に入るまで、二秒も掛からなかった。

さすが、あんな目につくところで横になれるだけはある。

あれなら大ムカデに襲われても逃げきれそうだ。

俺からは逃げられねぇけどな!

俺と豹との距離がどんどん縮まって行く。

すぐ追いつけそうだと思ったが、思ったより粘りやがる。

でも、こっちは余裕持って追いかけてっけど、向こうはもう全力もいいとこだな。

時間の問題だ。

ほれほれ、どうした。

〖疾風の走り屋〗なんだろうが。

玉兎は、相変わらず俺の口の中で暴れている。

もうちょっとだけ待ってくれ。下手に動かれたら呑み込みそうになるから。