軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13.メガネ君、出かける約束をする

つまりアレだ。

「自主的な訓練も兼ねて魔物狩りの仕事がしたい。でも同じチームの連中と自分とでは実力差がありすぎて誘うのは気が引ける。よって一緒に冒険に出る人を探していると」

俺の部屋に居座るライラの話をまとめると、そういう感じみたいだ。

まあ、納得はできるけど。

気配からしてライラは弱い。

率直に言えば、まだ「魔法が使えるだけのただの人」なんだろう。

これからいろんな経験を積み、訓練し、強くなる……のを見込まれて、チームの一員に歓迎されたんだろうから。

「二人で行くのか?」

「そこが悩みどころよね」

あ、ほかに決まっている人はいないと。

「あんた弓使うんでしょ? つまり接近戦はしないんでしょ? あたしも同じタイプだから、前で戦ってくれる人がいないと不安よね」

俺は、すでに俺が一緒に行くことを了承しているかのように話しているライラが不安だけど。

正直まったく行きたくない。

事情を聞いても魅力を感じない。

人助けだのなんだのと、人道的な理由や道徳的な理由があるならまだ考えるかもしれないけど、この話じゃ乗り気にはならないかな。

そもそも訓練は基本的には一人でやるものだと思う。

「どう思う?」

「お帰りはあちらです」

「もう一人くらいほしいよね?」

「お帰りはあちらです」

「ロロベルさんとかいると頼もしいけど、あの人は二ツ星だからなぁ。あたしら無星には付き合わないだろうしなぁ」

「お帰りはあちらなんですけどね」

「それはもう聞き飽きた。もっと違う言葉で追い出してよ」

うーんそうかー。

でも俺の中では、ライラは言葉を選ぶほど気を遣う相手じゃないからなぁ。

「じゃあ『夜明けの黒鳥』のリーダーに正式に抗議しよう。おたくのメンバーが押しかけてきて迷惑してるって」

「おいちょっと! や、やめなさいよほんとに!」

「じゃあ冒険者ギルドに抗議しよう。おたくのメンバーが強引に部屋に押しかけてきて、強引に二人きりになろうとして、強引にいつ襲われるか怖くて怖くて不安で泣きそうになったと。今すぐに」

「そんな平然とした顔のどこに不安で泣きそうな要素があるのよ! ……いや待って!? この場合はむしろあたしの方が襲われる側っていうか、弱い立場になんない!?」

「違う言葉で追い出そうかと」

「限度があるでしょ! 冗談じゃ済まない言葉の内容じゃない!」

別に冗談で済まなくても俺は一向に構わないんだけど。

「最初に言った通り、俺は冒険者じゃないからさ。だから狩猟ギルドに登録したんだ。冒険したいならこっちに構わず冒険者同士でやってほしいんだよね」

「……どうしてもイヤ?」

「今のところ、何一つ一緒に行きたい理由がないからね。どうしても俺と行きたいなら、俺が動きたくなるような理由が欲しいな。

もう一度言うけど、俺は冒険者じゃないからね」

そして、そもそもだ。

「なんで俺なの? 本当にほかにいるんじゃない? ギルドには毎日何十人も出入りしてるでしょ? 無星の初心者くらいいくらでもいるでしょ? そいつら誘ってみれば?」

「ダメなのよ」

「チームの意向? ほかの奴と組んじゃダメって決まりでもあるの? あ、だとしたら俺もダメになるか」

「――魔術師は狙われるのよ」

……ん?

ライラの言葉は、言葉通りの意味だ。

魔術師の需要は高い。

ここ王都の冒険者ギルドにも数名しか登録しておらず、全員がどこかのチームに所属している。

そしてそんな魔術師は、いろんなチームから誘いを受けるそうだ。

うちのチームに来たら優遇する、報酬の分け前を増やす、受ける仕事を選ぶ権利を与える等々。

多彩にしてたくさんの甘いお菓子を用意してくれるらしい。

そこに、初心者の魔術師ライラが王都の冒険者ギルドへやってきた。

弱っちいただの小娘なら、どうとでもできる――なんて考える奴が、かなり強引に迫ってくるらしい。

王都ならまだしも、外敵がいる冒険先で面倒な奴に絡まれたり狙われたりしたら、たまったものじゃない。

だからライラは、同じチームの人を誘わない場合は、慎重に同行する者を選ぶようにしているのだとか。

で、今回目を付けたのは、俺だと。

「じゃあ答えは出てるよね」

「え?」

「同じチームの連中に、一緒に来るよう頼みなよ。ただでさえ危ない場所に行くんだから、信用できる人と一緒に行くのが一番だよ」

俺だって狩場に知らない奴と行くのは嫌だ。そいつの失敗でどんな危険な目に合うかわからない。

と同時に、俺だって同行している奴に迷惑を掛けたくない。

そういう意味では、俺は師匠にいっぱい迷惑を掛けたとも思う。実際ベッドに伏せるほどの怪我もしたしな。師匠の内に生まれし悪意のガスで事故にあったし。

「……悪いでしょ!」

あ、なんかライラがいきなり怒り出した。

「報酬も安いしできることも少ない足手まといの面倒なんて、星付きしかいないチームの人には頼みづらいの! それ以外の人を探そうにもなかなかいないの! これだ、って人を見つけたところで、だいたいそういう人はすでに誰かと組んでるの! 手ごろな人がいないの!」

お、おう。……うん。そう。

一応色々考えた上で俺に声を掛けたってのはよく伝わった。

……冒険か。魔物狩りか。

「ちなみに何を狙うつもりなの?」

魔物は強い。

狩猟と似てるけど、あくまでも似てるだけだ。だいたいの動物は向かってこないし、攻撃を仕掛けてもこない。

「最近、南の森に赤熊が出るんだって。それを狙いたい」

赤熊か。あれも強いよなぁ。

……そうか、赤熊か。

よし。

「報酬と換金した総額の5分の4は俺が貰う。この条件なら構わない」

そろそろ鳥以外を狙いたいとは思っていたし、赤熊なら雉三十羽くらいの価値がある。お金を稼ぐという目的には添っている。

「5分の……貰いすぎじゃない?」

「お帰りはあちらです」

「……わかったよ! その代わり、足手まといになったら報酬から引いてくからね!」