軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

302.空賊列島潜入作戦 合流後 2

青剣王レイソン、白猫王バンディット、無頼王キートン・レターグースへ手紙を出し、連絡を待つことにした。

現在レイソンとバンディットはそれぞれの支配する島にいるはずだが、キートンがいるのかどうかがまだわからない。

その辺の情報も、追々漏れてくるだろう。

向こうから連絡を待つ間に、いくつかやるべきことがある。

四国代表が着いた会議は続く。

「――これは……おたくらに任せるべきかな?」

「ええ。これは私が処理しましょう」

まず、訳あり奴隷……どこかの国の王侯貴族たちの問題だ。

ニア・リストンがこの赤島に潜伏し始めてから、ある程度の聴取を行いリストを作成していた。

そのリストを見たガウィンは、リントン・オーロンに仕事を渡した。

彼女は外交官である。

そして四国合同作戦中に仕入れた他国の情報……「誰彼はかつて奴隷だった」という情報は、決して漏らすことはない。

それをやれば、ウーハイトン台国の信頼は地に落ちるだろう。

それを見越しての仕事の分配である。

リントンはリストを元に、準備ができ次第、彼らが帰れる場所へ帰すための準備をするのだ。

まあ、空賊列島制圧後の話になるだろうが。

「――次は、空賊の処理か」

今の赤島には、空賊は影も形も見えない。

なんでも、奴隷たちによる空賊狩りで、島の端から端まで虱潰しに探索し、綺麗に掃除して回ったらしい。

そしてオリビエの話では、暴走王フラジャイルや傘下の空賊たちは、死んではいないそうだ。

「え? 生き残ってるの?」

意外そうな声を上げたニアに、オリビエは無表情で首を横に振った。

「生き残ってるんじゃなくて、 死んでないだけ(・・・・・・・) よ。何人かは報奨金も掛かってるし。 日持ち(・・・) しない状態(・・・・・) だと後々大変でしょ?」

「……ああ、死んだ方がマシって状態なのね」

これまで力で制し、力で虐げてきた空賊たちを呑み込んだ奴隷たちの怒りは、相当なものだったのだろう。

――そう、簡単に楽にしてやろうとは思わないほどに。

「じゃあそれは、俺が様子を見ておこうか。たぶん奴隷たちにそのまま生かしとくように頼むと思うけど」

空賊列島制圧作戦が成功し、然るべき機関に引き渡すまで。

フラジャイルたちの罰は、もう少しだけ続きそうだ。

「――捕まえた奴隷商?」

この島を制圧する際、ニアは邪魔な奴隷商たちを捕まえて檻に入れているそうだ。

なんの告知もなく外に出したら、すぐに奴隷たちに全員殺される可能性が高い。

だがニア自身は、安易に「殺す」という選択はしたくないそうだ。

「聞けば、奴隷から奴隷商になったような人もいるみたい。なんというか、生き方の選択ができるほどの自由もなかったんだって」

この赤島では、奴隷の身から抜け出すには、奴隷を扱う側になるか、腕っぷしを磨いて空賊の一員になるか。

それくらいしかなかったそうだ。

「罪がないとは言わないけど、同情はするわ。奴隷商になるしかなかったという事情も考慮するべき、なのかどうか……私には判断できなくてね」

だから、まだ奴隷商たちは捕まえたままなのだ。

「わかった。それに関しては俺が考えるよ」

奴隷商に対する奴隷たちの怒りもあるだろう。

だが奴隷商とて、かつては奴隷で、奴隷から抜け出すために必死にがんばって成り上がった結果辿り着いた職なのかもしれない。

浮上する手段が少なくて選ぶ余地がなかったのかもしれない。

赤島の理不尽に生きた結果なのかもしれない。

ニアの悩みはわからなくもない――ゆえに大人として、そして参謀として、この問題はガウィンが請け負うことにした。

いかな結果を下そうと、 子供(ニア) に責任が及ばないように。

これくらいの汚れ仕事は問題ない。

「――え? 貢ぎ物?」

それなりに立派なここの屋敷。

なのに、不自然なほどに中ががらーんとしていると思えば、奴隷を解放した「狂乱のリリー」に、金目の物は全部貢ぎ物として差し出され、一ヵ所に集められているそうだ。

どれほどの価値の物がどれくらい集まっているかわからないが、港の倉庫全てにぎゅうぎゅうに詰まっているとか。

ならば――捨て値でさばいても、かなりの額になりそうだ。

「使い道としては、制圧後の赤島の復興資金とか奴隷の支援金にする予定なんだけど」

何人かが、そして別のテーブルで話を聞いている者も、ニアの発言に感心する。子供とは思えないほど立派な意見である。

「利発な子だなぁ。偉いな君」

手が届く位置にいたら、ガウィンはニアの頭を撫でていただろう――いや、リノキスに妨害されて泣かされていたに違いない。

「今度おじさんがアメ買ってやるからな」

「アメじゃなくて未開の浮島が欲しいわ。ヴァンドルージュのどこかにない? 小さいのでいいから」

「……利発な子だなぁ。ごめんね、おじさんそこまでの貯金はないんだ」

期待してないニアの発言に、ガウィンが軽く落ち込まされたりもしたが――まあ、とにかく。

奴隷たちの多くが、帰る場所などない。

なんなら奴隷から産まれた生粋の奴隷もいるくらい、空賊列島の歴史は長い。

空賊列島制圧後、奴隷たちがどうするかはわからないが、新生活への資金として開放することは決めている。

「その辺の話は、制圧後にゆっくり話し合う必要がありそうだ」

この列島は、四国で分配する予定である。

奴隷たちの扱いや分担に関する話し合いも、なかなかに揉めそうだ。