軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

55話 スキルの検証

俺はメンバーと共にギルドホームで集まっていた。

今から俺のスキルの検証を行う予定だ。

十年以上も待ち焦がれていた瞬間が目の前に来ていると思うと、居ても立っても居られないのだが、その気持ちを必死に隠していた。

俺の前にはテーブルがあり、その上に三種類の色の違う魔石が数個ずつ並べられている。

これらの魔石はC級ダンジョンに現れる魔物の魔石で、比較的容易に手に入る物を集めていた。

一つはゴブリンの魔石。リオンと初めて攻略したダンジョンの魔物だ。

二つ目は繁殖期でリオンと共に戦ったブラックドッグの魔石。

三つ目はヤモリの魔物であるゲッコーの魔石。

今からこの三つ魔石を実際に使って新しいスキルの検証をするつもりだ。

俺の周りにはメンバー達が緊張した面持ちで見守ってくれていた。

俺も大きく深呼吸を行い、心を落ち着かせる。

「それじゃ魔石を喰うぞ。最初はゴブリンの魔石を喰ってみるか」

「ゴブリンを喰うって、なんか気持ちわりぃ」

ゴブリンの容姿を思い出したダンが苦虫を嚙み潰したような表情で舌を出していた。

「ダン、これは遊びじゃないんだよ。もしかしたらラベルさんが、また倒れるかもしれないんだからね」

「わーってるって。でもリンドバーグの兄ちゃんもいるし、アリス姉ちゃんもいるから俺がする事はなにも無いって!!」

リオンはいくら言っても駄目だという感じで、大きくため息を吐いていた。

俺は気持ちを落ち着かせた後、小指の先程度の魔石を掴むと口の中に放り込んだ。

「流石にこれは慣れないとすぐには飲み込めないな」

何度か飲み込もうとチャレンジしてみたがどうにも上手く行かない。

実はこの事態も想定済みで、テーブルの上には水を用意していた。

コップに水を入れ、俺は水と一緒に魔石を飲み込んだ。

魔石を飲み込んだ事により、俺のスキルが発動したのを自分で理解できた。

胃に入った魔石が熱くなり始め、その熱が全身に染み渡って行く、熱で体が変化している感じだ。

「ぐぅぅぅ!!」

熱が体中を駆け巡ると同時に俺の魔力が急速に消費されて行く。

消費される魔力とは逆に、身体の筋肉が膨張し皮膚は膨れ上がっていた。

両腕で自分の肩を抱え込みじっと耐える俺の姿を見ていたリオンが声を掛けてくる。

「ラベルさん!!」

それと同時に残りの仲間達も俺を助けようと近づいてきた。

「大丈夫だ!! もう少し待っていてくれ」

片手を突き出して仲間の動きを俺は止めた。

少しの間待っていると今の状態にも慣れてくる。

今も魔力が消費されており、魔力量に見合った力が身体中に満ちあふれていた。

「よし成功だ。今俺はスキルを使用している。身体中に力が満ちあふれているみたいだ」

試しにリンドバーグに声を掛けて服を掴ませて貰うと、片手で宙に浮かせた。

「本当に魔物の力が乗り移ったって事なの?」

アリスは目を大きく見開いていた。

「すげー」

「これは凄いですね」

ダンとリンドバーグも感心していた。

「一旦、スキルを解除させてみるぞ」

俺がスキルをオフにしてみると魔力の消費は止まったが、逆に身体には疲労感が襲って来ていた。

「短い時間だったけど結構体力を使うもんだな」

膝が震えて片膝をついていた。

「ラベルさん!!」

片膝をついた俺を心配してアリスが駆け寄って来る。

「大丈夫だ。使用後は身体に負担がかかるみたいだけど、動けないほどじゃないし慣れれば大丈夫だと思う」

「無茶をしたら、駄目だからね」

「魔石はまだあるから次の魔石を試してみよう」

体調が回復した俺はブラックドックの魔石を手にとって口に放り込んだ

ゴブリンの魔石と同様に体の魔力が吸われて行く。

ブラックドッグの魔石とゴブリンの魔石は熱の流れ方が違っていた。

足に熱が集中している感じだ。

「ブラックドッグの魔石を喰うと脚力がアップするみたいだ」

一度外に出て人気のない路地を全力で走ってみる。

「嘘!? 私より速いなんて!」

アリスが驚嘆の声を上げた。

やはり身体に係る負担は結構大きかった。

「脚力のアップは予想通りだけど、もう一つ強化されている部分があるみたいだ」

俺はそう告げるとダンを呼び寄せる。

「ダン。お前干し肉を持ってるだろ?」

「どうしてわかったの? 俺ちゃんと紙に巻いてたんだよ」

「なんか臭いがしてな。どうやら嗅覚も強化されているみたいだ 」

「そのスキル面白い!! 本物の犬みたいだ」

「ダンの言う通りだ。このスキルは使いようによってはかなりの武器になりそうだ」

俺がそう言いながら仲間の所に近づいていくと、アリスとリオンが離れていく。

「おい? どうしたんだ?」

「いやぁー…… ねぇ?」

アリスは困った様にリオンに視線を向けた。

「ラベルさん、私達女の子なんだよ。匂いなんて嗅がれたくないよ」

全く気にしてなかった。

二人共いい匂いだとは思ったが言わない方が良いみたいだ。

「あっ悪い。すぐに解除するから」

スキルを解除すると、やはり倦怠感に襲われる。

慣れない間は何度もスキルを使ったりするのは難しいかもしれない。

そして俺は最後の魔石に手を伸ばした。

「これが最後の一つだな。この魔石は魔力の限界まで使ってみようと思う。魔力が無くなった場合どうなるかも知っておいた方がいいだろう」

そう言いながら俺はゲッコーの魔石を口に放り込む。

ゲッコーという魔物は簡単にいえばヤモリの形をした魔物である。

こいつらはダンジョンのどんな場所からでも攻撃を仕掛けてくる。

壁にも貼りつくし、天井に張り付いて気付かれない様に襲ってくる時もある。

魔石を食べた俺には特に変化はなかった。

しかし食べた俺だけは能力を理解する事ができた。

部屋の壁ぎわに移動すると片足を壁に掛け、そのまま俺は重力を無視したまま壁を歩き出した。

「すっげぇぇぇ!! 壁を天井に向かって歩いているぞ」

ダンが羨ましそうな声を上げた。

壁を歩いて天井に到達すると、そのまま逆立ち状態で天井を歩き、反対の壁を伝って床に戻る。

俺自身もゲッコーのスキルに一番驚いた。

このスキルはかなり使えそうである。

ゲッコーのスキルを魔力が空になるまで使用し続けてみた。

結果、一時間を超えた位で俺の魔力は底をついてしまう。

魔力が空になった俺はその場に倒れ込んだ。

ギリギリ意識は途切れなかったが、身体の疲労も重なり暫くうごけなくなる。

リンドバーグ達が駆け寄って、椅子に座らせてくれた。

その後ポーションとマジックポーションを飲んで体力と魔力を回復させた。

「ありがとう。大分楽になった。今回の検証でスキルの事は大体わかった。今日は此処までにして後数回違う魔石を試してみるよ」

その後、俺は違う魔石とB級ダンジョンに出現する魔物の魔石を手に入れ検証してみた。

その時に分かった事は、魔石は小指の先程度の欠片が有ればスキルが発動するという事。

なので、ダンジョンコアを手に入れた場合でも、欠片さえ入手していればダンジョンコアを使用できるという事になる。

次に、B級ダンジョンに出現する魔物の方が魔力消費量も体力の消耗も大きかったという事だ。

B級の魔石で連続使用時間は三十分といった所だった。

練習や慣れで連続使用時間は延びると思われるが、A級やS級の魔石、更に各階級のダンジョンコアが手に入ったとしても、使用時間は極端に短くなる可能性が高かった。

検証を重ねた俺はいよいよダンジョンに潜る決意を固めた。

丁度その時、B級ダンジョンが出現したという情報が飛び込んでくる。