軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

119話 捜索組の活動

俺は情報屋から買った地図を見つめながら、ダンジョンの一階層を進む。

購入した地図には九階層までの情報が書かれていた。

このダンジョンは九階層までずっと洞窟のステージが続いており、どの階も大迷宮となっている。

地図が無ければ攻略にも膨大な時間が掛かるだろう。

そして 十階層(フロアギミック) を超えた十一階層からはジャングルになっているらしい。

フロアギミックや十一階層以降の地図は別途購入する必要がある。

情報屋は情報を小出しに売って生計を立てているので、一度に多くの情報を売る事は殆ど無い。

「今回の目的地は八階層だ。そこで採掘できる魔鉄を集めようと思っている」

「八階層なら移動に四日程見ておいた方がいいですね」

リンドバーグが素早く移動日数を計算した。

「そうだな。俺も一日で二階層進む計算をしている。皆はいつも通り攻略をしてくれたらいい」

「了解」

俺の指示に全員が頷く。

その後俺達は俺が予想した通り、一日に二階層ずつ進んで行った。

「ラベルさん、ちょっといいかな? 気になる事があるの」

移動中、リオンが俺に話しかけてきた。

「ん? どうかしたのか?」

「えっと、どの階層でも捜索組の人達が何かを集めているみたいに見えるんだけど? 素材は八階層にあるんだよね?」

今は四階層を進んでいる最中である。

この階層に来るまでも、俺達は捜索組が何か作業をしている所を見続けてきた。

リオンはその事に疑問を覚えたのだろう。

「悪い、その事について説明していなかったな。実は基本どの階層でも何らかの素材を集める事が出来るんだ。捜索組は集める素材を最初に決めて潜るのが普通で、出来るだけ効率が良くて高く売れる素材に人気が集まる傾向だな。だからどの階層でも一定数の捜索組のパーティーがいると思う」

「そうだったんだね」

「実は俺達の狙う魔鉄は、他の階層で採れる素材に比べて少し価値が低いんだ。だけどその分ライバルの数は少ない。だから他のパーティーと採掘場を奪い合う事もないだろう。採掘の勉強をするには丁度いいと俺は判断している」

「うん、わかった。そこまで考えてくれていたんだね。ありがとう」

リオンも納得してくれた様だ。

素直にお礼を言われると俺も少し恥ずかしく思える。

「情報によれば五階層では魔水晶が採れるらしい。採掘できる量は少ないが価値は魔鉄より魔水晶の方が高い。捜索組の大多数は近くて高価で売れる魔水晶を狙って五階層に殺到しているだろうな」

「へぇ~ そうなんだ」

そして四日目、俺達は目的の八階層へとたどり着く。

八階層は岩盤をくり抜いた巨大な迷宮だ。

壁を触ってみると壁面の岩は硬く、でこぼこしていた。

地面には発光し周囲を照らす光水晶が一定間隔である為、迷宮内でも視野は確保されている。

「さて八階層に着いたぞ。それじゃ今から採掘作業を開始する。採掘作業は分業制でやる方が効率が良いと言われている」

「分業?」

「分業って言うのは、簡単に言えば素材を集める者と、集めている間、魔物から仲間を守る者に分れる事だと考えればいい。深く掘り下げて行くと集める側でも作業別に分かれたりもするんだが、俺達は人数が少ないから、その二つに分かれる程度でいいだろう」

「へ~ わかった」

リオンとダンが俺の説明を聞いている横で、S級冒険者のアリスが相槌を打ちながら頷いていた。

「それじゃ、まずはこの階層を歩き回って、目的の魔鉄を見つける事から始めるぞ。魔鉄は真っ黒の鉱石で壁や地面に埋もれていたりしているから注意してくれ。魔鉄を探すメンバーが三人で、残りは魔物の相手をして貰う。周囲を警戒しながら進み、もし魔物を見つけたら排除して仲間を守ってくれ」

「了解しました。それでは最初は私とアリスさんとで護衛をやらせて貰います」

リンドバーグが自ら進んで、護衛の役割を買って出てくれた。

俺はリンドバーグの提案を受け入れ、アリスとリンドバーグに警戒作業を任せた。

残る俺とリオンとダンで周囲を見渡しながら魔鉄を探す。

「光水晶の光で周囲が明るいって言ってもよ、壁の色が茶色だからハッキリ言って見辛いったら仕方ねぇぞ」

「文句を言わないで探すの。弱音を吐いているのはアンタだけじゃない」

愚痴をこぼすダンの背後から、リオンが文句を言っている。

「うぅぅぅ。あーっ、もう駄目だ!! 俺、目が痛くなってきた」

「慣れない間は仕方ない。最初はゆっくりでいいからとにかく見落とさない様に進んだ方が良いぞ」

俺はアドバイスを送る。

「魔物が三匹現れたよ。この程度なら二人で大丈夫だから対処は私達に任せて」

突然アリスが大きな声を上げ、魔物が現れた事を全員に伝える。

アリスは注意喚起だけ行うと、そのまま魔物の懐に飛び込み一瞬で串刺しにしていた。

この様子なら魔物の事はアリス達に任せて大丈夫だろう。

俺達は魔鉄を探す事を優先する事にした。

「あったぞ。この先の光水晶の奥に魔鉄が見える」

最初に魔鉄を見つけたのは俺だった。

光水晶の近くに黒く大きな影が見えたのが決めてだ。

ぱっと見ただけでは、光で出来た影の様にも見えるが、よく見るとそれは黒い色をした鉱石であると気付くだろう。

「わぁ~ 本当だ。これが魔鉄なんだね」

「こんなのわかんねぇ~って! 殆ど同じ色じゃねーか」

「最初の内は見つけるのも大変だと思うが、慣れてくれば大丈夫だ。よしそれじゃ次は採掘の方法を教えるからな。よく見ていろよ」

俺はベルトに吊り下げていたピッケルを取り出すと魔鉄の周囲の岩を削りだした。

ピッケルとは土や岩を削る道具で、魔石が組み込まれており小さな力で大きな効果が得られるようになっている。

「まずは魔鉄の周囲の岩を削る。するとほら魔鉄が壁から崩れ落ちて来ただろ?」

ダンジョンで採れる素材は基本的に魔力を大量に浴びて変質した物が多い。

変質した素材は魔力の力で自然に精製された状態となっている為、掘り起こすだけで純度の高い素材が手に入る訳だ。

魔鉄の周囲を掘り起こし、魔鉄の一部をピッケルで叩くと魔鉄は簡単に壁から分離される。

握りこぶし位の魔鉄を拾うと用意していた空っぽのリュックの中に放り込んだ。

空のリュックは四人分用意しているので、全部のリュックが満タンになったら今回は帰る予定である。

「こんな感じだけど。一度やってみた方が解りやすいと思う。だから二人も今からやってみてくれ」

俺が持っていたピッケルをリオンに渡し、ダンには腰に付けていた残りのピッケルを渡す。

「魔鉄の周りを掘ればいんだよな?」

「そうだ」

二人は慎重にピッケルを振るう。

「この作業、結構疲れるね」

「最初は楽だったけど、すぐに腕が重くなってくる」

二人は慎重に魔鉄の採掘を続けた。

採掘するのに俺の三倍位の時間が掛かっているが、最初は誰でもこんな感じだ。

「時間が掛かっても大丈夫だ。何度も繰り返して少しづつ慣れて行こう」

俺が見ている前で二人は何個も魔鉄を採掘していく。

そして三十分後、俺は二人に声をかける。

「そろそろローテイションをやるぞ」

「ローテイション?」

「リオンは今から三十分休憩してくれ、採掘作業はリオンの代わりにリンドバーグが入ってくれ。俺はリンドバーグの代わりに魔物の相手をするから、三十分で作業を回して行き、全員が休める時間を作る」

「わかりました」

それから三十分間、ダンとリンドバーグが採掘を行い、俺とアリスが警戒作業に付いた。

「三十分たったな、よしローテイションだ」

次は休憩していたリオンが俺と警護を行い、アリスが採掘に回ってダンが休憩する。

アリスはリンドバーグに教えて貰いながら魔鉄を採掘し始める。

「結構、難しいかも」

「私も得意ではないですが、一緒に頑張りましょう」

リンドバーグがアリスを励ましている。

俺の次に採掘作業が上手いのはやはりリンドバーグの様だ。

リオンと俺は、アリス達を見守りながら現れた魔物を排除していく。

更に三十分が経過し、リンドバーグが休憩にはいる。

そして俺とアリスが採取作業を行う事となった。

「採取って結構難しいんだね」

アリスが話しかけてきた。

「アリスはずっと攻略メインだったんだ。慣れていなくて当然だろう」

「ラベルさんもずっと潜っていたんでしょ? だけど凄い上手」

「俺の場合は野良パーティーから声を掛けられても断った事がないからな、捜索組のパーティーの荷物持ちとして参加しているから、当然採掘作業も経験済みだっただけだ。俺よりも捜索組の冒険者の方が採掘作業は格段に速いだろうな」

「そうなのかな? ラベルさんの事だから、本業が相手でも負けていない気もするけど……」

「ないない、今の言葉を捜索組の人が聞いていたら喧嘩になっているぞ」

「多分間違ってはないと思うんだけどな……」

「ほら無駄口はその位にして、採掘を再開するぞ。アリス、お前が一番作業効率が悪いんだからな」

「頑張ります……」

その後、俺達は何度もローテイションを続け、採掘作業を続けた。

そして一日で集まった魔鉄の量はリュック二つ分だ。

明日も採掘を行えば、用意した全てのリュックが満タンになるだろう。