軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

291話  親子の再会と再開

7月×日

mikuriママとココネちゃんの親子コラボもいよいよ終盤戦。これから何をやるか、やろうとしているかは視聴者の皆さんも、当人であるmikuriママですら知らない。ちなみに私とその隣で真面目な表情で画面を見つめているマイシスターは知っている。ココネちゃんの口から実姉のガワを作ってもらったこと、そしてその彼女のVTuberとしての名前を告げた。

『本人や色んな人の意見を聞いてね。最終的に兄さんの意見を採用したんだけれど……名前は……猫撫―― 遥叶(はるか) 。遥かに叶う願いという意味を込めて「はるか」』

『え……はるか……か。うん、うん、良い名前だね。うん…………』

[ええ名前やん]

[遥叶さんか]

[神坂案外いいセンスしてんな]

[ネーミングセンスまともなのはちょっと解釈違い]

[草]

その名前を聞いて思わず一瞬言葉に詰まったが、すぐにいつも通りを、平穏を演じる。名前の発表は当日のサプライズ発表ということでココネちゃんの方からmikuriママへ伝えてあった。勿論それがママにとってどれだけ特別な意味を持つかは知っている。何せ今は亡き長女の名前が『遥 久遠』なのだから。心痛めたかもしれない、それでもこれしかないと思った。関係者一同で命名辞書なんかも開きながら考えた末に、私のアイディアが採用された。ある意味虎太郎の名付けしてもらった分のお返しになるのかは分からないが……気に入ってもらえると嬉しいのだが。

『お披露目の前にね1つやっておかなくちゃいけないことがあってね。実はママと姉さん一度も会話したことないんだ』

『我が子の温もりを知らない』

『アタシ体温高いらしいですよ』

[草]

[温もりを知らないww]

[とりあえず心猫ちゃんをぎゅっとしてもろて]

『じゃあぎゅっとする』

『わわっ、良い匂いする』

[ガタッ!!]

[キマシタワー]

[うおおおおおおお!!]

[もっとやって]

[てえてえ]

[これお姉さんどんな表情で聞いてんやろか]

[草]

やはり深夜特有のテンションと言うのだろうか、普段のmikuriママであればこういった行動をするとは考えにくい。あるいはココネちゃんがそうさせるだけの魅力があったと言う訳か。確かに私の隣で画面を見つめているマイシスターをいますぐにでも抱きしめたい。

「お兄ちゃん」

「なにかな?」

「ぎゅっとかしようとしないで」

愛しの妹からジト目でそんな忠告されてしまう。まるで私の心の内を見透かしているかのような発言である。非常に不本意、呆れたような、おおよそ兄に向けるべき表情ではないと思うのだが……そんな表情もとってもキュートだ。

「何で分かったんだ」

「物欲しそうな目で見られたら分かるわよ……そう言うのオフで会った時の心猫ちゃんとかに絶対やっちゃダメだよ」

「お前以外にそんなことするわけないだろ!」

「そんな浮気がバレた男みたいな必死な言い訳しないでよ、怖いってば」

「でもそもそも会う予定も何もないんだけれども」

「活動続けてればその内会う事もあるでしょ。通報されないようにね」

「通報?! そこまで!?」

私ってそんなに不審者っぽく見えるのだろうか……? 普段から不審者情報として近隣で報告されている中に私が混じっていたりとかしない……?

「まあ、冗談はさておき……そろそろだね」

「うん。そうだね……見てるこっちがきんちょーしてきたんだけど」

いよいよ本番。今までの配信は全て前振り。本番はこれからだ――

『姿お披露目のために今からママと姉さんで通話します。ママ、大丈夫?』

『え? うん……初対面だし緊張するなーって……』

『大丈夫、大丈夫。でも今回は通話中一旦ミュートにさせてもらうね』

[え?]

[ミュートなんかぁ]

[聞かせてくれないんか]

[もったいぶるなぁ]

[衣装お披露目と同じやろ、無粋やなぁ]

[それはそう]

『本人がすごい皆に嫌われるんじゃないかってビクビクしててね。後は姉がママに宛てて書いたお礼とご挨拶のお手紙が個人情報丸出ししまくってて、とてもじゃないけど配信に載せられないんだ……』

『そんな超大作書かなくたっていいのに。あとお礼のお手紙とか書くところは無駄に報告書とか事務所に提出しまくる怜君と似た方向性の気配がする』

『姉も社会人で普通に働いてますし。あ、ブラックじゃないですよ?』

[感謝のお手紙は草]

[個人情報丸出しww]

[それは確かにミュートしなくちゃいけねぇわ]

[なんかあんらい味を感じるな、お姉さん]

[遥叶さん、あんだーらいぶに来ないか??]

[神坂ェ……]

「お兄ちゃんはなんでもかんでも報告書とか出しすぎだよってやっぱ皆に思われてるんじゃん」

「いやいや、あのくらいどこの企業も皆やってるってば」

「VTuber事務所でやるのがおかしいと言う話なんだってば」

「企業ならマニュアルや各種申請書等のテンプレートは絶対あった方が良いぞ?」

「うーん、この元社畜魂抜けきらないわね……でもミュート通話にする言い訳、良い感じじゃん。流石はお兄ちゃん考案。無駄にこう言う時悪知恵働くよね」

「無駄って言わないで。今日役に立ってるから良いじゃないか」

「ま、そうね」

配信を見ながらマイシスターとこんなやり取りをする。本来は配信前にやっておくべきだったろう……だがあの姉妹の要望と言うのであればそれを叶えてあげたいと思うのが、バーチャルとは言え兄としてあるいは弟として当然のものだろう。配信に乗るのは流石に身バレに直結するので、一旦ミュートという方向に持って行くことにした。そしてそのためのお手紙云々の件は私考案である。見事に見透かされているけれども。危ないなぁ……

それにやってることとしてはきっと企業所属のVとしてはきっとダメなんだと思う。個人の感情を優先して視聴者さんを置き去りにしてしまっている。それでも……これは解決しておかなくちゃいけない問題だ。私がそれを提案した。だから何かあったとすれば私の責任ということでご理解を頂きたい。

『ミュート中はアタシのホラーゲーム時の悲鳴と、常闇先輩の台パンを使った音声作品が送られてきたのでそれを流してますね』

『わたしそっちが凄い気になるんだけど?! それ、大丈夫なのかなぁ……』

『だいじょうぶ! 先輩からは快諾してもらった!』

『えぇ……』

[草ァ!!]

[誰だよ送りつけた奴!!]

[これにはママもドン引き]

[やっぱ、あんらいの血が心猫ちゃんにも流れてるんやなって]

配信がミュートになったことを確認し、ディスコでココネちゃんにその旨を報告する。酢昆布ネキも別場所で確認しているらしく、彼女もOKとスタンプを投稿。ダブルチェックは大事だよね、うん。

そしてしばらくしてココネちゃんが立ち上げたボイスチャンネルに参加。そこにはココネちゃん、私、そしてココネちゃんの姉――新しい家族である猫撫 遥叶さんのアイコンが表示されている。mikuriママはココネちゃんとリアルに同室にいるので、これで勢揃いである。ちなみに私とマイシスターは聞いているだけで一切会話には参加しない。この計画に加担した――と書くと何だか悪い事をしているように捉えられてしまいそうだが……いや、まあ悪だくみと言う意味では相違ないんだけれどもね。

『ママ、姉さん。はい、どうぞ』

『どうぞって急に言われても……ええぇーっと、はじめましてイラストレーターのmikuriです。大事な妹さんを本日は――』

『はじめまして、じゃないです』

『え…………?』

「初めまして」ではないことを指摘されたことについてではなく、驚いたのは、その声の持ち主にそのものに対してだ。そう――彼女はたった一言で気が付いたのだろう。「まさか、そんな……」とマイクに僅かに困惑して呟く言葉が聞こえてくる。

『ごめんなさい。また……帰って来ちゃった』

『…………』

『あー、うんやっぱり分からないよね。随分経ってるし――』

『忘れるわけない! 忘れるわけないじゃない。だって貴女は、あなたはわたしの大事な、大切な……家族だもん』

声を潤ませる。今までここまで感情を揺さぶられるママの様子は見たことはない。堰せき止めていた感情が一気にあふれ出して、それを必死に言葉に載せてぶつける。それを聞いているだけで心が揺さぶられるようだった。

『遥久遠ちゃん……いや、これからは猫撫 遥叶(はるか) ちゃんだもんね』

『ただいま」

『おかえり。ずっとずっとずーっと待ってたんだから……もう、迷子になっちゃダメ……嫌だよ?』

『ごめんなさい。ずっとずっとずっと帰りたかった。ごめんなさい。でもだいすき』

感動の再会に陰ながらではあるが、助力出来て良かった。この瞬間、それが聞けただけで充分すぎる。ようやっとmikuriママへのお返しが少しだけ出来た気がした。いつだったか通話で「また会えるかもしれない」とか言った責任を果たすことが出来たと言う訳である。1年もかかってしまったけれども。彼女から受けた恩を考えればまだまだきっと足りないくらいだけれども、これで少しは恩返し、親孝行できただろうか。

「うぅぅ」

「ティッシュいる?」

「いるぅ!」

マイシスターが号泣していた。mikuriママが嗚咽を上げて泣いていた。それに釣られるように 遥叶はるかさん、そしてココネちゃん、マイシスターが泣いていた。取り敢えず妹へボックスティッシュを差し出す。受け取ってちーんと鼻をかむのを確認すると今度はゴミ箱をずいっとあの子の前に差し出すと、それをはしたない事に足の間に挟んでボックスティッシュごと両手で持ちながら視聴を継続していた。なんか凄い体勢だなぁ。でも可愛いからヨシ。

「じゃあ、後は水入らずにしてあげようか」

「そうだね。うん。こっそり退出しよー」

我々も親子ではあるが、我々がこれ以上踏み込んで聞き耳を立てているのはよくないだろう。それにさっきのあれを聞けただけで――それだけで私にとっては充分過ぎる程の報酬だ。

だが、私利私欲のために視聴者の人たちを巻き込んでしまった事だけは許される事ではないだろう……やり方としては下の下もいいところだろうけれども。これについては主犯の私が罪悪感や、表沙汰になった時の責任を背負っていく事で何とかお目溢し頂けると助かる。

◇◆◇◆◇◆

あんだーらいぶを語るスレ XXX配信目

247 名無しのライバー ID:MoBthread

現在mikuriママと遥叶さん(猫姉)対面中

ただし諸々の事情により会話ミュート中

248 名無しのライバー ID:S7HFQXNNz

猫ちゃんのホラゲ悲鳴と

忍ちゃんの台パンMADを聞かされる我々……

249 名無しのライバー ID:ZHoYZwR+Y

台パンMADちょっと癖になりそう

250 名無しのライバー ID:Le7oQgWsE

出来が良いな

251 名無しのライバー ID:9UmCYVJuD

電気屋さんとかのテーマソングで洗脳されそうになるあれに近い

252 名無しのライバー ID:CzOvagnYf

やたらと耳に残るんだよな

253 名無しのライバー ID:oALajycRt

これには送りつけた忍ちゃんファンも歓喜

254 名無しのライバー ID:WgHZz49tS

忍ちゃんはそれで良いのか……

255 名無しのライバー ID:8db94gLS1

よくないらしいです

――――――――――――――――――――――

常闇忍@shinobu_underlive

おかしい

頭の可笑しいファンを晒し上げるつもりが

盛り盛り再生数が伸びて

何故か好評を博している

何故だ、納得いかない!!

――――――――――――――――――――――

256 名無しのライバー ID:lxOqtYyL0

>>255

忍ちゃんェ……

257 名無しのライバー ID:FtlsfoHHK

>>255

晒し上げるつもりだったのかよ!!

258 名無しのライバー ID:LyrDf8sze

>>255

ファンも演者も愛のある弄りだということだけは

補足しておくやで

259 名無しのライバー ID:3ba8FsR0r

忍ちゃんがハネたキッカケもそのMAD職人さんだしな

音聞いただけで大体どの時期の物か分かるらしい

260 名無しのライバー ID:05uwfb9H0

なにそれこわい

261 名無しのライバー ID:yWp7M81U+

そこまで行くともうホラーじゃよ……

262 名無しのライバー ID:YsheOYUM6

愛が重い

263 名無しのライバー ID:G5AXMpfIQ

時期によって音のキレがどうこう

264 名無しのライバー ID:g+NyApGag

てか猫ちゃんホラーゲームやってたんか

265 名無しのライバー ID:OHgo9Z1Lp

怖いの苦手だけどファンの人が

沢山やって欲しいって言ってたから

頑張ってやった(可愛い)

266 名無しのライバー ID:HnRbULJxP

あまりにも怖くて同期のコンちゃんに通話して

泣きそうになりながら攻略しました

267 名無しのライバー ID:1jQGYPwLq

なにそれかわいい

268 名無しのライバー ID:vZ323T0hT

今度脱サラについてもらってホラーゲームしようぜ!!

絶対面白いぞ

269 名無しのライバー ID:BNBm4XYq/

なんならオフでやって

絶対抱き着いたりするやつだぞ

270 名無しのライバー ID:MoBthread

それはアカンやろ

一線超えとるぞ、オイ

ワイは絶対そんな配信認めないからな

遥叶さんや雫ちゃんでやるならアリだ

271 名無しのライバー ID:E8zbzkvP8

>>270

駄馬君きっしょ

272 名無しのライバー ID:yVaiLbEo5

>>270

一線超えとるのは毎回お前の発言だろ

273 名無しのライバー ID:D43nuPUve

>>270

お前に許可もらう必要あるんですか??

274 名無しのライバー ID:IIkD0bPFS

>>270

それってあなたの感想ですよね

275 名無しのライバー ID:MoBthread

(´・ω・`)

276 名無しのライバー ID:NCEm1mJh7

お、戻ったか?

277 名無しのライバー ID:428wFnyyF

mikuriママ泣いてるんか……?

278 名無しのライバー ID:7tFNzwYnQ

ママ「ごめんね。ぐすん」

猫「姉のお手紙があまりにもエモくてね」

279 名無しのライバー ID:aJdzVKxeS

280 名無しのライバー ID:aWQlGnie6

どんな超大作だったんだよww

281 名無しのライバー ID:NgU3ggxl4

そりゃあ時間かかるわ

282 名無しのライバー ID:wkpZBR/8t

でもmikuriママは親バカだし

滅茶苦茶感謝お手紙で泣いちゃうのは解釈一致ではあるんだよな

283 名無しのライバー ID:qn8M1k5yQ

それは何となく分かる

284 名無しのライバー ID:/r+0K1mSL

mikuriママに悲しくて泣かせるのは許せんが

嬉し泣きなら全然良いぞ

285 名無しのライバー ID:YfsW9VJjH

いっつも悲しませてそうな長男がいますねぇ(白目)

286 名無しのライバー ID:gckineki/

あ゛?!

あの子がいるから今のこれがあるんだろ

分かってねぇなぁ

287 名無しのライバー ID:uAs/l0+ji

遥叶「えーっと、はじめまして。妹がいつもお世話になってます」

288 名無しのライバー ID:iiLcyEbMJ

姉喋るやん!!

289 名無しのライバー ID:Xaj/qt1rY

お姉さんも可愛いじゃん

290 名無しのライバー ID:oR9WUGf0s

ガワ可愛い

妹がダウナー系っぽいのに対し

お姉さんはゆるふわ猫耳お姉さんキャラか

いいじゃん!

291 名無しのライバー ID:y/FAtmIOu

mikuriママのガワはやっぱ至高やな

292 名無しのライバー ID:iTrOipU/+

猫姉妹並ぶとまた一段と良いな

293 名無しのライバー ID:CW8dZtiK8

遥叶姉さん……あんだーらいぶに来ないか??

294 名無しのライバー ID:MoBthread

この声どこかで……

気のせいだろうな、うん

それでいい

それがいい