軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

666:スキルの成長限界

「LIMIT、と来たか」

レベルアップに伴い、新たなスキルの取得のためステータスを確認していたのだが、そこには見たこともない情報が表示されていた。

《生命力操作》、《魔力操作》がレベル100に到達した結果、LIMIT――つまりは成長限界を示すステータスが現れていたのだ。

どちらのスキルも進化しないタイプのものであるため、真っ先に最大値になったということは頷けるが、まさか成長限界などというものがあるとは。

「スキルがレベル100ですか……いや、それはこのスキルだけなんですかね?」

「どうなんだかな。他にもある程度はあるだろうが、全てのスキルが100で限界になるのかと聞かれると、正直分からんとしか言えん」

俺のスキル情報を見た緋真の感想に、肩を竦めながらそう返す。

何しろ初めての事象だ。他のスキルも全く同じ条件で出てくるのかは、生憎と検証ができない。その辺りは追々になることだろう。

ともあれ、《生命力操作》と《魔力操作》の効果には既に不満はなかった。

これ以上効果の上昇が望めなくとも、別段困りはしないだろう。

「で、気にするべきはこっちか」

《生命力操作》と《魔力操作》のレベルが最大になったことにより、新たなスキルが解放された。

まさか、こんな回りくどい方法で出現するスキルがあるとは思わなかったが――いや、恐らくこれはそれ以上に貴重なスキルだろう。

「《三魔剣皆伝》とはな……いや、何だこの条件は」

スキルが解放されたことにより条件を見られるようになったが、その条件はあまりにも複雑だった。

まず、取得している三魔剣系統のスキルが全てレベル75以上であり、また合計が200以上であること。

次に、《生命力操作》と《魔力操作》のレベルが最大値になっていること。

更には、三魔剣の使い手からの秘伝書を入手すること。

これらすべての条件を達成して、ようやく手に入れることができるスキルなのだ。

「……私には達成できる気がしないんですけど」

「オークスに誘導されたとはいえ、これをすべて達成できるとはな」

自分では全く意識していなかったためいつの間にか達成していたが、これを意図して取得しようとするとかなりの遠い道のりを歩むことになるだろう。

というか、秘伝書を手に入れる手段がオークス以外にあるのかどうか。

更にはそれだけの条件を満たした上で、スキルポイントを20も使うというのだからとんでもない。

だが、それだけの消費、条件に見合うほどの効果ではあるだろう。

「効果は……三魔剣系統のスキル、テクニックの効果上昇、クールタイムの減少、更には《魔技共演》によってテクニックに他の三魔剣の効果を上乗せ可能と。いや、盛り過ぎじゃないかこれは」

「特に最後がヤバくないですかそれ。というか《魔技共演》までシナジーがあるんですか」

「正直、選択肢が増えすぎてどうしたらいいか分からんのだが」

本来、《魔技共演》はテクニックにその効果を反映させることができない。

それができるようになるというのは、正直かなりの戦力強化だと言っていいだろう。

一方で、選択肢があまりにも増えすぎるためどのような組み合わせが有効なのか全く分からない。

しばらくは検証を行う必要が出てくるだろう。

「まあ何にしろ、取らない選択肢はないな」

「三魔剣使いにとっては大目標になりそうですね」

「情報は公開すべきなのかどうか、分からないスキルね」

「オークスに迷惑がかかりそうだからな……うちの連中ぐらいには伝えてもいいが」

秘伝書が必要という条件が何とも面倒臭い。

持っているのはオークス、それと恐らくは彼の弟子たちだろう。

正直、そう簡単に手に入るとは思えないし、三魔剣を覚えたプレイヤーが殺到するという事態は避けたいところだ。

「とりあえず、俺はこれを覚えるが……お前たちはどうする?」

「そうですねぇ……」

「私はスキルオーブで取りたいわね。スキルポイントが厳しいわ」

「もうずっとそのままだな。いっそ安めのスキルの方がいいんじゃないのか?」

「取得だけで進化しないスキルならポイント的には得だから」

それは確かにその通りなのだが、今回の俺のように、唐突に特殊なスキルが生える可能性も否定はできないのだが。

とはいえ、これは流石に特殊なケースだろう。そうそうあるようなものではあるまい。

「私的には、単発の大技が欲しいと思ってます。先生の【餓狼呑星】みたいな」

「……あれには相応の代償を支払ってるし、そうそう再現できるようなもんではないぞ」

「それは分かってますよ。ただ、私の 強制解放(リミットブレイク) は使い勝手は良くても、瞬間火力には秀でていませんから。それを補える手段が欲しいだけです」

緋真は恒常的な火力には秀でているものの、瞬間的な破壊力はそれほど高くはない。

総合的に見れば緋真の方が有利だとは思うのだが、やはり瞬間的な攻撃力が欲しくなる場面はあるだろう。

とはいえ、そういったスキルには、相応のコストが求められる。

【餓狼呑星】の払うコストは、その最たるものであると言っても過言ではない。

あれを目標にするのは中々難しいだろうが、似たような手段は探せば見つかることだろう。

「で、アリスはどうするんだ?」

「私は、もうちょっと大型の敵に対しての攻撃手段が欲しいわね。公爵級の本体はどれもこれも大きすぎるから」

「それはまぁ、その通りだな」

アリスの武器が短剣というのもあるが、基本的にどのスキルも攻撃規模には秀でていない。

大型の敵に有効なダメージを与える手段が少ないのだ。

小型や人型相手には滅法強いのだが、大型相手には手を拱く場合が多いことも事実だ。

「だが、今更大規模攻撃というのも難しいだろう? 流石に、予備動作を悟られるだろうし」

「それはまぁ、そうね。ちょっとスキルを考えないと」

単純に強力なスキルをどうにかして不意打ちに使うのか、既存の攻撃を応用できるような手段を手に入れるのか。

その上で進化せず使い勝手のいいスキルを探すとなると、中々に骨の折れる作業になるだろう。

スキルオーブのメニューと睨めっこを始めたアリスを他所に、俺は改めて緋真へと視線を向けた。

「それで、何か手ごろなものはあったか?」

「一般的なスキルで言うと《魔力暴走》からの《オーバードライブ》ですけど……レアスキルでは《臨界融点》っていうのがありますね」

「また物騒な名前だな、その効果は?」

「次に発動する火属性の魔法ダメージを大幅に強化する代わりに、自傷ダメージを受ける感じですね。火属性だからダメージ軽減できますけど」

様々なスキルの複合的な影響で、緋真は火属性のダメージを大幅にカットしている。

自傷ダメージもそれで最小限にできるということか。

それでも、使うタイミングには注意しなければならないだろうが。

「どっちを取るかは悩み中です。《魔力暴走》の方はMP消費がかなり大きいですしね」

「多少燃費は改善していたとは思うが、そこまで上乗せできるレベルじゃないか」

「まあ、流石にちょっときついですね」

緋真は先日取得したスキルにより、消費MPを軽減している。

だが、流石にそれで賄いきれるような量ではないようだ。

やりようはあるのだろうが、どちらを選ぶにしろ相応のリスクを背負うことになるだろう。

大技を使う以上、それは仕方のない話であるが。

「私は……これにするわ。《光神の槍》」

「そっちはそっちで、けったいな名前だな」

神の槍と来たか。何かしら神話をモチーフにしたスキルなのだろうか。

当のアリスは何とも煮え切らなそうな表情で、スキルについての説明をしてくれた。

「刺突による攻撃の射程、貫通力を大幅に高めるスキルよ。レベルが上がれば距離もどんどん伸びるみたいね」

「ほう、あくまでも攻撃の射程延長か。しかし、刺突だけとはな」

「レベルが上がれば、巨大な悪魔の体でも貫通できるようになるかもしれないし」

「……そこまで伸びるのか?」

それを狙おうとした場合、数十メートルぐらいの射程にならなければいけない気がするのだが。

いくら刺突とはいえ、中々イメージのできない光景である。

それはアリス自身同意見なのか、微妙な表情で頷く。

「ちょっとどうなるのかは分からないのだけど、他に適したスキルも無かったから……とりあえず、これにするわ」

「そうか。まぁ、本人が納得してるならいいが……とりあえず、全員検証が必要そうだな」

どれもこれも強力なスキルを取得したが、すぐには使いこなせるものでもなさそうだ。

ティエルクレスと戦うまでに、これらのスキルも十分に習熟する必要があるだろう。

そのためにも、さっさとスキルを取得して、標的となる敵を探すこととするか。