作品タイトル不明
609:束の間の強化
『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』
『《刀神》のスキルレベルが上昇しました』
『《武王》のスキルレベルが上昇しました』
『《昇華魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《神霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』
『《致命の一刺し》のスキルレベルが上昇しました』
『《MP自動超回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』
『【冥哮撃】のテクニックを習得しました』
『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』
『【煌命撃】のテクニックを習得しました』
『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』
『【砕魔撃】のテクニックを習得しました』
『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』
『《HP自動超回復》のスキルレベルが上昇しました』
『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』
『《クロスレンジ》のスキルレベルが上昇しました』
『《回復特性》のスキルレベルが上昇しました』
『《超位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』
『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』
『《見識》のスキルレベルが上昇しました』
『《血の代償》のスキルレベルが上昇しました』
『《立体走法》のスキルレベルが上昇しました』
『《会心破断》のスキルレベルが上昇しました』
『《 再生者(リジェネレイター) 》のスキルレベルが上昇しました』
『《ワイドレンジ》のスキルレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』
『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』
どうやら相当な量の経験値を貯め込んでいたらしく、一度戦闘するだけでレベルが上がってしまった。
まあ、倒した敵の数も相当だったうえに、エリザリットとデルシェーラとも戦ったわけだからな。
デルシェーラは討ち取れこそしなかったものの、それなりにダメージを与えることができた。
俺は直接手を出していないとはいえ、その功績は大きかったのだろう。
何にせよ、レベル上がってくれるのならば好都合。次に奴と戦うまでに、使える手札が増えていた方がいいのだから。
「新しいテクニックか。使えるものならいいんだがな」
正直、俺はあまり器用な方というわけではないし、使いづらい技が増えても持て余してしまう。
昨日の戦いの結果進化したスキルも含め、使い易いものがあればいいのだが。
ちなみに、俺の進化したスキルは《格闘術》の上位である《武王》だ。
単純にウェポンスキルであるため、打撃の攻撃力が上がった程度に考えておけばいいだろう。どうせ 魔導戦技(マギカ・テクニカ) は使わないのだから。
「ふむ……ちょいと試してみるか。《練命剣》、【煌命撃】」
百聞は一見に如かずと、早速テクニックを発動する。
名前からして【煌命閃】の親戚のように思えたが、果たしてどのような性質の技になるのか。
餓狼丸へと込めた生命力はその刀身へと纏わりつき――そのまま、六角形の柱のような形で形成された。
「……こりゃまた」
「うわ、厳ついですね」
説明文では、攻撃を打撃攻撃属性に変更すると書かれていた。
つまりは、この柱で殴りかかれということなのだろう。
確かに、これまでの三魔剣のテクニックは基本的に斬撃だった。
一部例外もあったが、剣というだけあって刃による攻撃がメインだったのだ。
それが打撃になるというのは、中々に面白い効果である。
「例によって重さは感じないが……これで本当に威力があるのか?」
「試してみればいいじゃない。ほら、その辺の木とかで」
「まあ、構わんけどな」
せっかく発動したのだから、試してみなければ勿体ない。
俺はとりあえず、木刀を振るう気分で、近くにあった木へと横薙ぎに叩き付けることとした。
相変わらずの黄金の軌跡が宙に輝き――重く湿った音を立て、太腿ぐらいはありそうな太さの幹が真っ二つにへし折れた。
「うおっ!?」
その思いもよらぬ軽さに面食らいつつ、倒れる木から距離を取る。
今の手応えで理解した。これは、【煌命閃】の威力と同等であると。
発動にかかるタイムラグと、一撃の威力。攻撃属性の変化こそあれ、その威力は同じものだったのだ。
つまりこのテクニックは――
「相手の弱点によって【煌命閃】か【煌命撃】を選んで使えばいい、ってことか」
「成程。単純ですけど、そこそこ使い所ありそうですね」
「今回なんかちょうどいいんじゃない? 氷のゴーレムって、斬撃よりは打撃の方が効くでしょう」
確かに、アリスの言う通りだろう。
俺の攻撃は、基本的に刀による斬撃だ。斬撃に耐性を持っている類の敵に対しては、どうしても手が出しづらい問題があった。
まあ、他に手札が無いわけではないのだが、これだけの威力を発揮できる一撃があるならば問題は無いだろう。
とはいえ、【砕魔撃】――魔法に対する迎撃として使う《蒐魂剣》を打撃属性にする意味はよく分からないが。
「とりあえず、しばらく使ってみて手に馴染ませるか……そっちはどうなんだ?」
「《多重詠唱》が最大になったので進化させます。大体何が来るのかは分かりますけど」
「《高速詠唱》の系統だったわよね。となると、やっぱり詠唱が無くなるのかしら?」
「はい、《省略詠唱》だそうで。詠唱時間がほぼゼロになりますね」
《高速詠唱》は単発で魔法を詠唱した際の高速化。そして《多重詠唱》は複数の魔法を同時詠唱した際の高速化だった。
このスキルがあれば、緋真はほぼタイムラグ無しで魔法を発動させられるということだ。
それでも複数を同時に発動しようとすると詠唱時間が生まれるようだが、運用の仕方でどうにかできるだろうし、レベルが上がればそれも改善するらしい。
便利になった一方で、魔法の回転率の向上はMP消費量の問題も発生する。
詠唱時間が無くなったからと、ポンポン魔法を連射していれば、あっという間にMPが枯渇してしまうことだろう。
加減をするのか、或いは他に回復手段を用意するのか――その辺りはまた考える必要があるだろう。
「で、アリス。そっちのスキルは?」
「弓のウェポンスキルが《連弩》に、《無影発動》が《静寂の鬨》に進化したわ。おかげでまたスキルポイントが……はぁ、頭が痛いわ」
「避けようが無いんだ、仕方あるまい。それで、弓の方はともかくとして、《静寂の鬨》とやらはどう変わったんだ?」
「スキルや魔法発動による音、エフェクト、魔力の動きを全て消し去るそうよ。発動前も、発動後もね。今私が発動しているスキル、何だか分からないでしょ?」
「……そりゃまた、凶悪な効果だな」
スキルが発動するまでの痕跡を消すのは、これまでのスキルでも出来ていた。
しかし、発動後すらもその痕跡が見えないのは中々に恐ろしい。
何しろ、攻撃後ですらアリスの姿を捉えることが難しくなるのだから。
「ちなみに、レベルが上がるとより敵からのヘイト蓄積が減るみたいね。気づかれずに何度も刺せるならありがたいけど」
「進化させた甲斐はあったんじゃないか? かなり強力な能力だろう」
「まあ、公爵級悪魔にまで通じるかは分からないけどね」
「少なくとも、そこに辿り着くまでは役立つだろうさ」
ダンジョンとはいえ、街中だ。アリスにとっては得意なフィールドだろう。
障害物が多いあの場所は、姿を隠すポイントがいくらでもあるのだから。
弓についても、もう少し活かすことができればいいのだが――
「……ふむ」
「ん、何かしら? こっちのことをじっと見て」
「いや、発動後も姿を隠しやすくなるなら、ちょっとばかし思いついたことがあってな」
とりあえず、エレノアにメールだけ送っておくこととしよう。
それが役に立つかどうかは分からないが、金は余っているのだ。
多少試してみて、使い道が無さそうならやめればいい。
どちらにしろ、今更用意できるのは小細工程度。少しでも通じれば御の字と考えておけばいいだろう。
そちらの仕事はエレノアに任せ、今はもう少し、強化に勤しむこととしよう。