軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

549:グレーターデーモン

さて、異形の両腕を持つこの悪魔――グレーターデーモン。

果たして、こいつはどの程度の力を持った存在なのか。

先ほどは軽く当てた程度であるし、まだこいつの本来の能力は把握しきれていない。

体の一部を異形と化す能力は、先ほど戦ったアークデーモンたちも使えていたようだが、どうにも不完全なものであったように思える。

それと比べると、このグレーターデーモンの両腕はかなり大規模な変貌であると言えるだろう。

(サンプルが少なすぎるな。この異形化が成長した悪魔たちの能力であるのか、この悪魔が与えたものなのか――或いは、もっと上位の悪魔によるものなのか)

不明点は多いのだが、生憎と情報を引き出すことは困難だろう。

相変わらず、自我が薄く無機質な印象を受ける名無しの悪魔たち。

こいつらからは、言葉による情報収集を行うことは不可能だ。

外見や能力の情報のみしか取得することは叶わないだろう。

「――――!」

悪魔は、その巨腕を振るいこちらを叩き潰そうと飛び掛かってくる。

掌の直径は1メートル程はあるだろう。流石に、この大質量の攻撃を刀で受け止めることはできない。

舌打ちと共に後方へと跳躍し、その攻撃を回避した。

しかし、グレーターデーモンはそのまま地面を鷲掴みにすると、何と腕だけで体を持ち上げつつ、もう片方の腕をハンマーのように振り下ろしてきた。

「器用な真似を……!」

恐らくはこちらが本命の攻撃だったのだろう。

その腕には、黒く燃え盛る炎が付与されている。

どのような効果があるのかは分からないが、触れても愉快なことにはならないだろう。

「《蒐魂剣》」

俺は振り下ろされた腕にあえて接近するように前へと出つつ、《蒐魂剣》を発動した餓狼丸でその巨腕を薙いだ。

相手の攻撃を掻い潜りながらの一閃だが、しかしその腕に傷をつけることは叶わなかった。

炎自体を消し去ることには成功したが、どうやらかなりの強度を持っているらしい。

例え強化を施していたとしても、《練命剣》無しではあの腕部分にダメージを与えることは難しいようだ。

(ま、それでもやりようはあるがな)

腕によって体を持ち上げたグレーターデーモンは、攻撃を外したと見るや、その体勢のまま腕を振るって俺を横殴りにしようとする。

巨大な蠅たたきにでも追われているような気分だが、そんな悠長なことを言っている場合ではない。

片腕だけで体を支えているためか、動きは少々鈍重だ。しかし、あの巨大な腕で掴まれれば、抜け出す術などない。

何とかして、この腕を回避しながら相手に攻撃を当てなければならないのだ。

(胴体の方は変貌していない辺り、あっちの方は普通の防御力だと考えていいだろう。何とかしてあっちに攻撃を当てたいところだが――)

腕によって体を持ち上げているため、グレーターデーモンの胴体は狙いづらい位置にある。そのまま攻撃を当てるのは中々困難だろう。

さて、そうなればどのように攻撃をするか――選択肢としては二つだ。

「《練命剣》、【命輝一陣】」

細い腕の側へと体を潜り込ませて巨腕を回避しつつ、生命力の刃をグレーターデーモンの胴体へと飛ばす。

相手の攻撃に合わせて放たれたその一撃は、回避不可能なタイミングで相手の胸に直撃し、緑色の血を弾けさせた。

与えたダメージはそこまで大きくはないが、やはり胴体部分ならば普通にダメージを与えることが可能なようだ。

尤も、やはり体を持ち上げている内は狙いづらい位置にあるのだが。

(ダメージ量からして、やはりアークデーモンよりもかなりHPが高い。餓狼丸まで含めた全力ならまだしも、出し惜しみをしている内では十把一絡げに片付けることは不可能か)

今回が初めての遭遇であった辺り、個体数は多くはないのだろう。

だが、いずれは遭遇する機会も増えてくるだろうし、こんなものが複数出現する状況も出てくる可能性が高い。

簡単に倒せるように、その性質は見極めておきたいところだ。

「《練命剣》、【命輝練斬】!」

攻撃を受けたグレーターデーモンは僅かに仰け反り、振るっていた腕の動きが鈍る。

それを確認し、俺は相手が体を固定している腕へと接近した。

グレーターデーモンも俺の動きに気が付いているようだが、動きはワンテンポ遅れている。

この状況ならば、俺が刀を振る方が速い。

斬法――剛の型、白輝。

地面を踏み砕くほどの衝撃と共に、その全てを刃に伝えた一閃を放つ。

生命力によって最大限に鋭さを増したその一閃は、地面を掴み体を支えるグレーターデーモンの左腕を斬断した。

体を支えていた腕を失い、グレーターデーモンは地面へと落下する。

打法――柱衝。

俺はその心臓へと向け、体を翻しながら伸び上がるように蹴りを叩き込んだ。

(重く、堅い――白輝でようやくギリギリってところか)

普通に斬りつけただけでは、切断するまでには至らなかっただろう。

変異しているグレーターデーモンの肉体は、それほどまでに頑強であるということだ。

蹴り飛ばしたグレーターデーモンは地面に叩き付けられ、それでも腕を使って器用に立ち上がる。

あの顔が仮面に隠されていなければ、天陰でその頭の中身ごと叩き潰してやるところだったのだが、そう甘くはないということか。

だが、片腕を失ったことで、グレーターデーモンは大きくバランスを崩した状態となっている。

あれだけの重量がある腕が片方失われたのだ、バランスが崩れない方がおかしい話だろう。

ならば、後はいくらでもやりようがあるというものだ。

歩法――陽炎。

しかしそれでも尚、グレーターデーモンは俺へと向けて腕を振るう。

バランスが損なわれているため先ほどまでのような速さは無いが、それでも一度掴まれれば終わりである以上、危険度は依然高い相手だ。

尤も、鈍ったその動きで、俺の陽炎を捉えられるはずもないのだが。

「《練命剣》、【命衝閃】」

斬法――剛の型、穿牙。

俺がいない場所を薙ぎ払った腕を掻い潜り、長大な槍と化した餓狼丸を突き出す。

その一撃はグレーターデーモンの胸を貫き、炸裂する生命力が相手の胸に大穴を開け――それでも、奴の動きは止まらない。

胸に大穴が開き、心臓を損なって尚、この化物は動き続けているのだ。

尤も――

「《練命剣》、【命輝閃】」

衝撃によって鈍った動きでは、俺を捉えるには遅すぎる。

【命衝閃】を消し去りながら接近した俺は、横薙ぎに放った一閃にてグレーターデーモンの首を薙ぎ――刎ね飛ばされた首級は、空中で黒い塵と化して消滅したのだった。

『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』

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『《昇華魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『【ハイエンハンス】の呪文を習得しました』

『《神霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《致命の一刺し》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動超回復》のスキルレベルが上昇しました』

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『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

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『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

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『《回復特性》のスキルレベルが上昇しました』

『《超位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』

『《剣氣収斂》のスキルレベルが上昇しました』

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『《血の代償》のスキルレベルが上昇しました』

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『《 再生者(リジェネレイター) 》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』

どうやら、緋真たちの方も戦闘は終了していたらしい。

長く戦っていたおかげで、どうやらかなり稼ぐことはできたが、中々に面倒が多い戦いだった。

迫撃砲もグレーターデーモンも、今後戦う上で考慮しなければならない要素だろう。

勝利はしたが、課題も多い――その実感に、俺は深く溜め息を吐き出したのだった。