軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

469:暗殺者の成長

『《格闘術》のスキルレベルが上昇しました』

『《神霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《致命の一刺し》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《HP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《高位戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』

『《見識》のスキルレベルが上昇しました』

『《血の代償》のスキルレベルが上昇しました』

『《立体走法》のスキルレベルが上昇しました』

『《会心破断》のスキルレベルが上昇しました』

『《 再生者(リジェネレーター) 》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《シリウス》のレベルが上昇しました』

それなりの規模があった魔物の群れを片付け、一息つく。

今回相手にしたのは、黒いタールのようなものが人型に盛り上がって迫ってくるような姿をした魔物であった。

悪魔がスレイヴビーストとして連れているところは幾度か見たが、支配されていない状態で戦うのは初めてだった。

種族としての名前はシャドウマリス。奴らを彷彿とさせる名前に眉根を寄せたことは記憶に新しい。

「狩り辛い連中だな、こいつらは」

「物理攻撃耐性は先生にとっては面倒ですよね」

この魔物たちであるが、物理攻撃に対しては滅法高い耐性を持っていたのだ。

俺の《練命剣》はエフェクトこそ魔法的であるが、攻撃そのものの性質は物理攻撃だ。

つまり、俺の攻撃はこいつらには通用しづらいのである。

スレイヴビーストとして出てきたときは緋真に任せておけばいい話なのだが、こいつらだけの群れであると中々面倒である。

まあ、《奪命剣》についてはきちんと効果を発揮するため、手も足も出ないというわけではないのだが。

「とりあえず、シリウスのレベルもあと一つか……どうなるもんかね」

「更にでっかくなりそうですよね。今でも大型のバスぐらいのサイズはありますけど」

「街中だと外に出せなくなりそうだな」

今でさえ、広い道路でなければ外に出せないような状況なのだ。

というか、今出せているのは聖王国が壊滅し、工事の人間以外の人通りが殆ど無いからというのもある。

帝国では普通にドラゴンが通れる広さになっていたため問題はなかったが、他の国では今でも無理だろう。

「しかも刃まみれのドラゴンだからな……翼なり尻尾なりの先がちょっとでも建物に触れたら、サクッとぶっ壊しかねないぞ」

「まあ、大人しく従魔結晶に入って貰うしかないですね」

《小型化》もあるにはあるが、大きさはともかく外見は変わらないため、他所見している現地人にぶつかりでもしたら大惨事だ。

これ以上刃が増えるようであれば、そろそろ自重しておいた方がいいだろう。

とはいえ、その戦闘能力に期待している部分も多分にある。

真龍の進化による成長は、他の種族の成長とは隔絶された領域にある。

進化段階で言えばルミナやセイランよりも下だというのに、その戦闘能力は匹敵するレベルにまで高まってきている。

今回進化すれば、さらに強力に成長してくれることだろう。

「よし、さっさとレベルを上げてやるとしようか。アリス、そろそろ――おん?」

次なる獲物を求めて移動しようとアリスに声をかけ、思わず眼を見開く。

彼女の姿が、どこにも見当たらなかったからだ。

俺は咄嗟にその気配を探り――こちらの背後に回り込もうとしている気配に、思わず半眼を向ける。

「何をしてるんだ、お前さん」

「これなら気付かれないかと思ったけど、やっぱりダメなのね」

振り返った先、そこには何の姿も無かった。

けれど、確信をもってそこへと向けて声をかければ、何も無かった場所から滲み出るように、見知った赤ずきんの姿が出現した。

どうやら、スキルによって姿を隠していたようである。

「スキルが進化したんだけど、どうだったかしら?」

「悪戯はともかく、驚きはしたさ。まさか、完全に姿を消せるようになるとは」

今までも、アリスはスキルによって姿を半透明に変えて奇襲を行っていた。

元より隠密が得意な彼女ではあったが、そのスキルの力は彼女の能力を大きく高めてくれていただろう。

だがまさか、ここにきて完全に透明化するスキルを持ち出してくるとは。

「これは《 姿なき侵入者(インビジブル) 》。《隠密行動》の上位スキルね。見ての通り、完全に透明化できるわ」

「半透明の時点でもほぼ見つかっていなかったんだから、透明化なら捉えられることは無いだろうな」

「貴方にはあっさりと見つかったけどね」

半眼を向けてくるアリスに、さもありなんと肩を竦める。

例え姿が見えなかったとしても、音や空気の流れまでが消えたわけではない。

まあ、移動時の音はスキルの効果で低減されている様子ではあったが、それでも一切音を立てないということではないのだ。

「中々使い勝手は良さそうだが、使用感はどうなんだ?」

「基本的にあまり変わらないわ。より見つかり辛くなった、っていう程度のものよ」

ただでさえ相手の死角を突くことが得意なアリスなのだ、透明になれるのであればより効率的に戦うことができるだろう。

まあ、より見つかり辛くなるといっても、これまでアリスが発見されるような姿など見かけたことは無かったのだが。

だが、潜入などには向いているだろうし、これから活躍の目があるかもしれない。今後の展開に期待するとしよう。

「それともう一つ、《スティンガー》も進化したわ。スキル名は《ピアシングエッジ》よ」

「ああ、防御無視の貫通スキルか。何か追加効果でも出たのか?」

「特殊効果は無かったけど、威力がアップしたわね。防御を貫通して威力も上がるんだから、私としてはありがたいわ」

アリスの使用している防御無視スキルは、刺突属性の攻撃にのみ限定されるが、扱いやすい便利な代物だ。

威力上昇は特殊性こそないが、決して無駄になることのない純粋な強化であると言える。

《魔技共演》で組み合わせるにも便利なスキルとなったことだろう。

「防御無視で威力上昇、急所に対しての倍率も高く、更に《バックスタブ》系の上位スキルもありと……とんでもないダメージ倍率ですよね」

「今は《アサシネイト》だったか。このスキルまで進化したら、大抵の敵は一撃で片付けられそうだな」

「未発見状態に限りの攻撃倍率なんだから、それ位じゃないと困るわよ。正面切って戦っても大したダメージは出ないんだから」

「虚拍を使えるくせによく言うもんだ」

例え正面からであろうとも、アリスは相手の意識の外に潜り込むことができる。

正面から暗殺と言うと何とも珍妙な表現ではあるが、彼女は実際にそれを成し遂げることができるのだ。

面と向かって相対している状況で、突如として即死級のダメージを叩き出してくるなど、恐怖以外の何物でもないだろう。

だが、そんな俺たちの感想に、アリスは苦笑と共に続けた。

「私だから何とかなるってだけよ。正直、私以外が暗殺ビルドをここまで続けるのは難しいと思うわ」

「そんなもんか?」

「あー……確かに、得意な局面が限定されますからね。少なくとも、ハイペースに成長できている暗殺者はいないんじゃないですか?」

「私自身も、貴方たちと行動しなければここまでは来られていないでしょう。プラチナのスキルオーブなんて手に入らなかったでしょうしね」

「実力があるから誘ったんだ、気にするようなことじゃない」

珍しく素直に感謝の気持ちを伝えてくるアリスに、笑みと共にそう返す。

確かにプラチナのスキルオーブは手に入らなかったかもしれないが、そうでなかったとしても、彼女はいずれこの領域に辿り着いていたことだろう。

それは紛れもなく、アリス自身の実力があってこそだ。

「とにかく、スキルの強化が終わったなら行くとしよう。今日中にシリウスを進化まで持って行くつもりなんだ、新しいスキルの使用感はそこで確かめてくれ」

「ええ、了解よ。獲物を取り過ぎないように注意しないといけないわね」

「ははは、その意気だ」

どうやら、新たなスキルを手に入れてアリスも高揚しているらしい。

意気軒昂としている彼女の様子に笑みを浮かべつつ、俺たちは新たな獲物を求めて移動を再開したのだった。