軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

418:目指す場所

龍王の爪についてはともかく、シリウスの鱗は何とか加工できるようであったため、追加の鱗をフィノに渡して出発した。

そういえば、アルトリウスのドラゴンはどうなっているのか――そこは気になったが、アルトリウスも今は黒龍王の攻略に乗り出しているだろうし、会えるのはしばらく後だろう。

光属性の真龍――色としては白龍だろうが、果たしてどのような姿なのだろうか。

何だかんだ擦れ違ってしまってあまり接触できていないし、一度ぐらいは姿を見ておきたいところではあるのだが。

まあ、障壁の解除前にはどうした所で接触することになるだろうし、その時にでも見せて貰えばいいだろう。

「で、先生。どこでレベル上げするんですか?」

「悩ましいところではあるんだよな。ディノタイラントであればいい具合の強敵になるんだが、あいつは魔法を使わないからな」

今の目的はあくまでもレベル上げだ。それはキャラ自体のレベルだけでなく、スキルのレベルも含んでいる。

特に、防御手段である《蒐魂剣》はかなり重要であるわけだが、魔法を使ってこないディノタイラント相手では《蒐魂剣》を育てることができないのだ。

悪魔との戦いにおいて《蒐魂剣》は必要不可欠であろうし、これを放置しておくわけにもいかない。

つまるところ、ディノタイラントはレベリングの相手としては不適格なのだ。

「強いし、経験値も大量に持っているからな、純粋に戦う相手としてはちょうどいいんだが……」

「いや、そんな気楽に戦える相手じゃなかったですよね、あれ」

龍王と比べてしまうと差が開きすぎるが、ディノタイラントも純粋な物理攻撃力は凄まじいものであった。

直撃を受ければ恐らく即死であろうし、やはりまともに相手を出来るような存在ではない。

尤も、それ位の強さが無ければ、効率的にレベルを上げることもできないのだが。

「あれと同じぐらいの強さを持つ亜竜がいればいいんだがな……」

「確かに、亜竜なら魔法も使ってきますけどねぇ……」

というわけで、新たな標的を求め、俺たちは帝国の北西部に足を運んでいるのである。

帝国内の魔物は、基本的に亜竜か恐竜のいずれかだ。物理攻撃一辺倒で魔法を使わない恐竜は、シリウスの相手としては実にちょうどいいのだが、俺たちにはあまり好ましい相手ではない。

しばらくの間レベリングをするのにちょうどいい敵を探す必要がある。

基本的に、都市から離れれば離れるほど強い魔物が出現するし、しばらくは移動しながら様子見をするべきか。

「グランドドラゴンがボスじゃなくて野生で出てくるならちょうどいい感じかしら」

「ああ、ボスとして戦った奴はもうレベルが合わないだろうが、あれがもっと強くなった奴ならいいだろうな」

「ボス周回はあんまり効率良くないですからねぇ」

フィールドボスは再戦も可能だが、連続で戦うことはできない。

一度倒してしまった場合、ある程度の時間を置く必要があるのだ。

グランドドラゴンは格としては十分であるものの、フィールドボスであるためかレベルは抑えめだ。今の俺たちでは、あまり苦戦することもないだろう。

「しかし、見つからなかったらどうしようもないがな。とりあえず、今日は探索に集中して、発見出来たら明日以降狩りを行うとしようか」

「時間としては中途半端ですしね。いいんじゃないですか?」

道中で出現する魔物は、恐竜と亜竜が混ざっていて、どちらかに偏っているということはない。

とりあえず恐竜しか出現しないエリアというわけではなさそうだし、ひとまず安心ではあるだろう。

地形としては、あまり高くはない起伏のある丘だ。丘の高い所に登れば見晴らしは良く、周囲の魔物の姿も見つけやすい。

そういう意味でも、レベリングにはちょうどいい場所と言えるだろう。

視界はいいためそれほど警戒する必要はないだろうが、それでも気配には注意しつつ、俺は己のステータス画面を表示させた。

(……残りは二週間弱、どこまで上げられるかだな)

目ぼしいところで言えば、やはり三魔剣だろう。

次のテクニック習得であるレベルにはまだ若干遠いが、それまでの時間レベリングに注力すれば十分間に合う筈だ。

次なるテクニックは果たして何になるのかは分からないが、多用しているスキルだけに期待は大きい。

それから、進化が近いスキルは《背水》と《走破》だろう。これはまだ初期スキルであるし、そこまで効果が高いわけではないだろうが、それでもある程度の強化にはなる筈だ。

最後に気になっているのは《降霊魔法》である。レベル30では進化しなかったから、レベル50には期待したいところではあるのだが、果たしてどうなるのか。

今のところ、《降霊魔法》で得られたポイントは全て攻撃力上昇に振っているのだが、今後それがどのように影響してくるのかも謎である。期待と不安の両方があるものの、進化するのかどうかは見物だろう。

「先生、ステータスチェックですか?」

「ああ、次にどう成長するのか、目星をつけているだけだがな。お前の方はどうだ?」

「そうですねぇ……」

俺の問いに対し、緋真もまたステータスウィンドウを開く。

バランスという面においては、俺たちの中では緋真が最も優秀だろう。

属性を除けば最も広いパターンに対処できるし、弱点は少ない。

「……スキルレベル的には、進化が見えているスキルは少ないですね。まあ、マジックスキル二種の進化が近いとは思いますけど」

「ああ、魔法も第三進化段階が近いのか」

「ウェポンスキルに続いてですからね。それはちょっと楽しみです」

ウェポンスキルが第三段階に進化したように、恐らく通常のマジックスキルも第三段階に進化することだろう。

恐らくは順当な火力強化になるだろうし、緋真にとっては嬉しい成長となるだろう。

また、《強化魔法》も進化すれば火力の底上げになる。元々攻撃能力の高い緋真が、どこまで火力を伸ばせるかは見物だろう。

「それと、あとちょっとで《術理装填》が節目ですね。進化するかどうかはわかりませんけど」

「ああ……レアスキルだし、正直分からんな」

《魔技共演》程ではないにしろ、《術理装填》は強力なスキルだ。

順当に進化するかどうかは不明な所である。

とはいえ、あと少しで進化であるし、それはすぐに判明することだろう。

「アリスさんはどうですか?」

「私は正直、上がりそうな感じのスキルがないのよね。今からの強化だと、進化に届くスキルは少ないと思うわ。精々《回復適性》ぐらいかしら」

「そうか……まあ、無駄にはならんしな。上げられるだけ上げておこう」

「そうね、やれるところまで行きましょうか」

アリスはスキル進化にはならないか。まあ、仕方あるまい。

強化そのものは決して無駄にはならないし、スキル進化は次の機会の楽しみに取っておくこととしよう。

「ルミナとセイランはそろそろレベル30だし、スキルの成長もありそうだな」

「種族進化はどうなんですか?」

「分からんな。前はレベル24で進化だったから、30台で進化するとは思うんだが」

次なる進化がいくつになるのかは分からないが、近い可能性は十分にある。

その時にどのような進化を見せてくれるかは謎だが、間違いなく大きな強化となることだろう。

スキルの強化も含めて、かなり楽しみだ。

一方で、シリウスの進化はかなり遠い。ただでさえレベルが上がり辛いというのに、進化するまでにどれだけの時間が必要になることか。

残念ではあるが、こちらは気長に成長を続けるしかないだろう。

幸い、次なるスキル成長は見えてきているし、そこを期待するか。

と――

「お父様! 先の方に、大きい魔物が見えます」

「む? どんな魔物だ?」

「恐らく、亜竜です。恐竜種ではありません!」

上空で索敵していたルミナが、敵影を発見して声を上げる。

どうやら亜竜らしいが、果たして目的である上位の亜竜種になるのだろうか。

何が出るかは分からないが、大きいということであればある程度期待することはできるだろう。

「ルミナ、他に敵影は?」

「いません、その大きなドラゴンだけです」

「分かった、一度戻ってこい。目視して《識別》したら戦闘を仕掛けるぞ」

とりあえず、まずは情報を確かめることが先決だ。

これがディノタイラントクラスの魔物であれば万々歳だが――果たして、どれほどの敵か。

その期待と共に、俺は丘を登ったのだった。