軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

371:蹂躙する者

さて、周囲に気配は感じるが、まだこちらに近づいてくる様子はない。

とりあえず、戦利品を漁って内容を確認することとしよう。

まず、武器はショートソードが一つだけ、それから防具カードというものがいくつか発見できた。

■《武器:剣》ショートソード ランクD

攻撃力:20

重量:5

耐久度:100%

付与効果:なし

製作者:-

■《特殊:龍の庭園》防御カード ランクD

防御力:10

魔法防御力:0

重量:0

耐久度:-

付与効果:なし

製作者:-

■《特殊:龍の庭園》魔法防御カード ランクD

防御力:0

魔法防御力:10

重量:0

耐久度:-

付与効果:なし

製作者:-

武器については無いよりはマシといった程度だが、正直今の俺の場合は殴った方が強いと思われる。

とりあえず、武器については刀が手に入るまでは保留にしておくこととしよう。それよりも、今は防具の方が重要だ。

龍の庭園内において、防具は元々装備していた防具のデザインを踏襲することになる。ただし、その防御力は全てゼロとして計算されてしまう状態だ。

防具には、庭園内で手に入るカードをセットすることによって、ようやくその防御力を発揮することができるのである。

とりあえず、今回手に入ったのは防御カードが三枚、魔法防御カードが一枚である。

俺が装備している装備は基本的に布装備であり、篭手など一部のみが金属装備に当たる。

防御効果を考えた場合、一番外に装備している羽織にカードをセットした方が良いのだろうが――

「……とりあえず、魔法防御は羽織で、残りは篭手だな」

右手の篭手には防御アップを二枚、左手の篭手には防御アップを一枚。

久遠神通流の剣士にとって、篭手は標準装備であると言っても過言ではない。

篭手を使った流水は、相手の隙を作る際にも非常に優秀な技術だ。これが出来るかどうかで、戦闘の結果が変わる可能性は十分にあるだろう。

しかし、篭手の防御力がゼロでは流水が失敗する可能性もあるし、そもそも上手く行っても貫通ダメージを受けてしまうだろう。

正直、この程度の防御力ではまだまだ不安が残るが、それでも無いよりは遥かにマシだ。

ちなみにだが、装備品の説明欄にあるように、それぞれのアイテムにはランクというものが存在している。

Dランクは一番低いランクであり、装備としては最低限の間に合わせと言ったところだろう。

それでも無いよりはマシであるし、装備しておいて損はない。

「さてと……他のプレイヤーを探すとするかね」

一応、ショートソードは手に持ったまま外へと出る。

先ほど吹き飛ばした奴のアイテムも回収したい所だが――外に出た瞬間、こちらへと向けて矢が飛来した。

「おっと」

俺は即座に反応して剣で矢を弾き返しつつ、前へと向かって駆ける。

俺へと弓を向けていたプレイヤーは、その反応は予想外だったのか、慌てた様子で建物の影に隠れようとする。

そんな男へと向けて、俺は手に持っていたショートソードを躊躇いなく投げつけた。

回転しながら飛んだショートソードは、運よく刃から背中に命中し、男はその場に倒れ込む。

流石に即死ダメージにはならなかったようだが、ダメージは十分に出たようだ。

「しッ」

歩法――烈震。

動きが止まったならばそれを見逃す道理はない。

地を蹴り、一気に接近しつつ、俺は宙返りしながら足を振り下ろした。

打法――天月。

弧を描いて上段から振り下ろされた踵は、倒れて藻掻いていた男の首を踏み砕き、俺は更にそれを踏み越えて先へと足を進める。

案の定と言うべきか、建物の影には残る二人のチームメンバーが隠れていた。

その二人は俺の姿を目にした瞬間、仰天した様子で声を上げる。

「ま、待ってくれ、俺たちはアンタと戦うつもりは――」

打法――寸哮・衝打。

攻撃してきた以上、というか攻撃してこなかったとしても見逃す理由などありはしない。

このイベントは、自分のチーム以外は全てが敵なのだ。敵である以上、例えこちらが攻撃を受けていなかったとしても、見逃してやる道理などない。

顔面を打ち抜いた拳で衝撃を徹し、頭を潰す。崩れ落ちる一人を尻目に、もう一人へと接近、その足を払って地面に転倒させた。

「ぐっ……ま、待っ――」

「悪いが、こういうイベントなんでな」

打法――槌脚。

無慈悲に告げ、足を振り下ろす。

顔面を踏み潰されたプレイヤーは、当然耐えられる筈もなく、三人揃って光の粒子となって消滅した。

やはり、装備が揃っていない序盤では普通に殴っても倒せるプレイヤーばかりのようだ。

尤も、仮に相手が運よく強いアイテムが拾えていたとしても、攻撃を徹せる自信はあるのだが。

「さて、こいつらは、と……」

地面に転がった袋に手を翳し、このプレイヤーが持っていたアイテムを確認する。

武器として持っているのは先ほどの弓と槍のようだ。槍であれば俺もある程度扱えるが、ウェポンスキルは持っていないため火力はあまり出ないだろう。

とはいえ、全く使えないというわけでもないし、ショートソードよりはいくらかマシだ。状況によっては使ってみてもいいだろう。

他は防御カードのDランクが何枚かと、Cランクが一枚。防御力はDが10なのに対し、Cは12となっている。

微々たる差ではあるが、枚数を重ねるほど差は大きくなるのだから、軽視できる差ではない。

とりあえず篭手の防御力を重点的に上げつつ、各装備の防御力を向上させていく。

「しかし、思ったよりいいアイテムは落ちてないもんだな」

現状、一緒に落ちていた回復アイテムはともかく、装備面では最低限レベルのものしか発見できていない。

やはり、小さな家を探している程度では、いいアイテムは手に入らないということだろうか。

正直、餓狼丸と比較してしまえば二流三流もいいところの武器ばかりであろうし、あまり期待はしていないのだが……今後強敵とぶつかることを考えれば、やはり強い装備は手に入れておきたい所だ。

流石に、刀無しでアルトリウスたちと相対することは避けたいしな。

(そうなると、どこを探せばいいんだかな……もっと目立つ所か?)

とりあえず外に出て、周囲をぐるりと確認してみる。

この辺りで、ランドマークになるような目立っている建物は――北寄りに見える、教会のような建物だろうか。

廃墟になっている建物が多い中で、石造りの教会はまだしっかりと形を保っている。

ひょっとしたら、あの中に珍しい装備でも落ちているかもしれない。

「……教会だし、刀があるかどうかは期待薄だけどな」

自分の考えにツッコミを入れつつも、俺は教会へと向けて歩き出す。

例え刀が落ちていなかったとしても、あれだけ目立つ建物であれば、他のプレイヤーも集まってくることだろう。

であれば、その中に刀を手に入れたプレイヤーがいる可能性も低くはないし、そのプレイヤーから奪い取ってしまえば済む話だ。

「さて、どれだけ集まってきてくれているのか……楽しみなもんだな」

言いつつも、堂々と通りのど真ん中を進んでいるのだが、襲い掛かってくるプレイヤーがいない。

こちらのことを視認しているらしき気配は感じるのだが、何故かその後すぐに離れて行ってしまうのだ。

このイベントの趣旨としては、どこか一組が残るまで戦い続けなければならない筈なのだが……いや、確かに逃げ隠れすることも戦略の一つではあるのだが、こちらとしては少々退屈だ。

俺は一人だけであるし、勝利の目が全くないということは無いはずなのだが。

「変に有名になるのも困りものだな……」

とはいえ、このイベントにおいては死活問題だ。

何しろ、他のプレイヤーを倒してアイテムを奪い取らなければ、きちんとした装備を集めることはできないのだから。

状況によっては追いかけたい所であるのだが、今は明確な目的地がある。追いかけてまで敵を仕留めるのは、その後からでもいいだろう。

今はとりあえず、あの教会内の探索が先決だ。尤も――

「……どちらの目的も、達せられそうではあるけどな」

教会内からは幾人もの気配と、戦闘音が聞こえてくる。

どうやら俺と同じように、ここでアイテムを探索しようとするプレイヤーが何組かいたようだ。

ならば、折角の機会であることだし――

「総取りさせて貰うとするか」

――笑みと共に、俺は教会内へと足を踏み入れたのだった。