軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

232:空の果て

『《格闘》のスキルレベルが上昇しました』

『《強化魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動大回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《回復適性》のスキルレベルが上昇しました』

『《戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』

再び羊の群れを片付け、レベルアップしたスキルを確認する。

《練命剣》と《奪命剣》はレベル19、あと一つでレベル20に達する。

だが、羊と犬の群れの場合魔法を使ってこないため、《蒐魂剣》のレベルを上げるには【奪魂斬】を使うぐらいしか方法はない。

アースドラゴンならば魔法を使ってくるため鍛えることはできるのだが、奴とは中々遭遇できないため、鍛えるにはあまり適した相手とは言えない。

魔法を使ってくる魔物と遭遇するまでは、【奪魂斬】を使っていくしかないだろう。

「っと……そういえば、《強化魔法》もそろそろ次の魔法か」

こいつも相変わらずスキル進化をする様子はないが、とりあえずレベル40なら何かしらの魔法は増えるだろう。

前回は装備を強化する魔法が増えた訳ではなかったため、今度はそちらの魔法が増えると信じたい。

こちらも攻撃力の強化という面では結構有用であるし、伯爵級悪魔と戦うための手札の一つと出来るだろう。

もう一つ、《降霊魔法》も徐々にではあるがレベルが上がってきている。

奇数のレベルでポイントを得ており、現在の所では【武具精霊召喚】はレベル6となっている。

これについても火力の強化になっているのだが、武器に精霊を宿した際の光が徐々に腕の方まで伸びてきていることが気になる。

このレベルがどこまで上がり、そしてこの光もどこまで伸びてくるのか――正直良く分からんが、これが大きく変わるのはまだまだ先になるだろう。

「とりあえずの目標は、《強化魔法》と三魔剣か……まあ、これならまだ間に合うか」

集中的に使って行けば、今日中にレベルアップさせることは可能だろう。

どのような成長をするのかは分からんが、マイナスになることは無いはずだ。

さっさと次の敵を探して移動するとしよう。

レベルアップ状況を確かめた俺は、再度騎乗しようとセイランの方に向かい――何やら、空を見上げて騒いでいる緋真に呼び止められた。

「せ、先生! 見てください、あれ!」

「あん? 何か飛んでるって――」

緋真が指差した先へと視線を向け――思わず、絶句する。

空の上、一面に広がる青い空の中に、一点だけ存在する威容。

そこには、空を悠然と駆けるドラゴンの姿があったのだ。

雲の隙間に見え隠れしているため、かなりの高高度を飛行していることは間違いないのだが、そうであるにもかかわらず姿を捉えることができている。

雲の高さにもよるが、下手をしたらジャンボジェットぐらいのサイズはあるのではないだろうか。

全身を銀の鱗に覆われた、翼を持つ巨大な龍。先ほどの地竜とは明らかに格が違う、本物のドラゴンだ。

「……真龍」

「ルミナ? 真龍ってのは何だ?」

「精霊王様と同じ、女神様の側に属するドラゴンの総称です。先ほど倒した亜竜はあくまでも魔物の一種ですが……あちらはどちらかというと、精霊に近い存在です」

どうやら、精霊だからこそ知れる情報があったようだ。

しかし、真龍か。女神の側ということは味方であるし、あのドラゴンと戦うことはないのだろう。

それはそれで少々残念だが……まあいい、妙に事を荒立てる必要も無いだろう。

「西に向かうか……あちらは、帝国とやらの方角だったか?」

「ドラゴンはあっちの国に住んでるんですかね?」

「さてな……まあ流石に、今から隣の国に行くわけにもいかんし、それは追々だ」

あのドラゴンのことが気にならないと言えば嘘になるが、セイランでも流石にあの高さまで飛ぶことはできない。

というか、飛べるかもしれないが騎乗している俺の方がきつい。装備無しであのような高高度を飛ぶのは勘弁して欲しい所だ。

ドラゴンのことは一度置いておいて、地図を確認する。どうやら、かなり西の方まで移動してしまったらしく、このまま西に進むと帝国の領土に入りかねない。

まあ、流石にまだ閉鎖されているのだろうが……どちらにしろ、今そちらの国に向かうつもりは無いのだ。ここは一旦、逆方向に向かうしかないだろう。

「敵に復活していて欲しい所ではあるんだがな……」

あの羊たちはまとめて襲い掛かってくるため、一度倒してしまうとその辺りの魔物を一掃してしまうことになる。

そろそろ最初に戦ったあたりの連中は再出現していてもおかしくないとは思うのだが――何にせよ、この場に留まっていても仕方が無いか。

とりあえず、向かう先は北か北東か。敵の強さを考えると、とりあえず北に行った方が良いだろう。

目標である羊たちを探すため、今度こそセイランの背に乗り、地を蹴って飛び立った。

旋回しながら上空へと駆け上がり、先程ドラゴンが去って行った西の方角へと一度視線を向ける。

真龍か。ファンタジーに興味があるというわけではないが、間近で見てみたいという感情は否定できない。

いずれ出会うことがあれば、その時はじっくりと観察させて貰うとしよう。

「……ん?」

ふと、気配を感じて再び西の方角へと視線を向ける。

まだ遠いが、こちらへと向けられているのは明確な敵意だ。

だが、先程の真龍ではない。あんな怪物とは比べるべくもないが、しかし確かに強く鋭い殺気だ。

地上ではなく、空中。こちらへと向かってくるのは、両腕が翼となった一頭のドラゴンだ。

■エアロワイバーン

種別:亜竜

レベル:38

状態:アクティブ

属性:風

戦闘位置:地上・空中

若干緑色がかっているが、あの姿形は見覚えがある。

ベーディンジアの騎獣牧場、少数ながらそこで見かけた騎獣だ。

能力は高いもののグリフォン以上に気性が荒く、また地上を走るには向かないほぼ空中専用の騎獣。

しかも体がでかいため、武器を用いた接近戦はやり辛いという、俺にとってはあまり向いていない騎獣だった。

だが、単体の魔物として見れば間違いなく強力な存在であり、決して油断ができる相手ではない。

まずは――

「セイラン、地面に叩き落すぞ」

「ケェッ!」

風属性の特化したワイバーンとなれば、空中戦に秀でていることは疑うべくもない。

であれば、まずはあの空飛ぶ怪物を地に堕とす。

こちらに有利な状況を作り上げなければ、勝てる戦も勝てなくなるというものだ。

「しかし、コイツも妙にレベルが低いな……亜竜ってのは皆こうなのか?」

背中の野太刀を引き抜きながらセイランを駆る。

それと共に、セイランは周囲に渦を巻く黒雲を、エアロワイバーンは逆巻く風を纏い始めた。

相変わらず、セイランの嵐は乗り手である俺に対しては影響を及ぼす様子はない。

これが無ければ、雷の瞬くこの嵐を纏うことはできなかっただろう。

「ケエエエエエエエエエッ!」

「ガアアアアアアアアアッ!」

鋭い叫び声を上げ、正面から突撃する二頭の怪物。

牽制として放たれた魔法は相殺され、セイランはその剛腕を、ワイバーンは鋭い牙を使った攻撃を放つ。

ワイバーンが噛みつこうとしてきたその一撃をセイランが腕で払い、交錯。

互いにまともに攻撃は当てられなかったが、ワイバーンのHPは僅かながらに削れているようだ。

どうやら、セイランが纏う雷は、相手に防がれても多少はダメージを与えてくれるらしい。

これはこれで便利だが、このような迂遠な攻撃をするわけにもいかないだろう。

「【シャープエッジ】、【武具精霊召喚】……『生魔』」

武器攻撃力を向上させ、次なる交錯に備える。

相手も巨体を持つ魔物だ。正面衝突時の衝撃はかなりのものになるため、流石に手綱を握らずに刃を振るうことは難しい。

刃を横向きに構え、前傾姿勢になりながら、足でセイランに合図を送る。

瞬間、魔力を昂らせたセイランは、大きく旋回しながらワイバーンへと向けて突撃した。

対するワイバーンは、こちらへと向けて風の刃を次々と放ってくる。

飛来する魔法に対し、セイランは素早く体を傾けながら擦り抜けるように前進した。

下手をしたら振り落とされそうな衝撃の中、しかしセイランは一度も被弾することなくワイバーンの魔法を潜り抜け――相手が己の正面に展開した風の渦を回転しながら回避する。

足を使ってセイランの体を挟み込み、落とされぬようにしながら振るった刃は、ワイバーンの翼膜に一筋の傷を付けた。

「グルァアアッ!」

こちらに攻撃が当たらず、しかもダメージを負ったことでか、ワイバーンは怒りの唸り声と共にこちらを睥睨する。

瞬間――下方から放たれた炎が直撃し、巨大な爆発を巻き起こした。

こちらに意識がそれた瞬間を狙い、緋真が魔法で狙ったのだ。

そして、その爆発によって相手の視界を塞いだ瞬間、上空から一筋の光が駆け下りた。

それは、上空へと駆け上がり、精霊刀に光を宿して舞い降りたルミナだ。

強力な光の魔力を宿したルミナの一閃は、俺が傷つけた翼膜を完全に斬り裂き、穴を空けた。

「ガ……ッ!?」

ぐらりと、ワイバーンの体が揺れる。

翼に穴を空けられたのだ、それも当然だろう。

だが、奴は翼だけで飛んでいるわけではない。どちらかといえば、魔力による作用が重要なのだろう。

故に――

「《蒐魂剣》!」

――身を翻したセイランと共に接近し、奴の纏う風を《蒐魂剣》にて斬り裂く。

瞬間、揚力を失ったワイバーンは、回転しながら地上へと墜落したのだった。