軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

208:滅びの足跡

『《格闘》のスキルレベルが上昇しました』

『《降霊魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《識別》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『《戦闘技能》のスキルレベルが上昇しました』

アドミス聖王国の最南端、カミトの街を出て北へと進む。

街道から離れて少し進んだところ、それまでは出現しなかった魔物が姿を現した。

どうやら、街道から離れれば悪魔以外の敵も出現するようになるようだ。

■オーガ

種別:魔物

レベル:45

状態:アクティブ

属性:火

戦闘位置:地上

特に多いのは、3メートル近い巨体の、鬼のような姿をした魔物だろう。

筋骨隆々とした肉体に、厳めしい顔つき。剥き出しの牙は、声を上げておらずともこちらを威嚇しているかのようであった。

とにかく暴れ回るこの魔物は、真っ向から相手をするのは中々面倒な相手である。

何しろ、かなりレベルの高いHPの再生能力を有しているのだ。凌ぎながら小さなダメージを与え続けるのでは倒し切れない相手である。

対処法としては、急所への攻撃で大きくダメージを与えるか、アリスの使う毒でHPの回復能力を阻害するかだ。

とにかく短期決戦にしづらい相手であるため、集団で出てくると中々面倒である。

しかもこの魔物、たまに配下と思われるゴブリンやらコボルトやらの上位種を引き連れているのだ。

流石に矢や魔法が飛んでくるのは面倒であるため、その辺りはルミナやセイランに任せていたが、実に厄介な魔物である。

「お、私レベル50行きましたよ」

「私もあと一つね」

だが、中々に経験値は貰えるようだ。ここに来て、緋真もついにレベル50に達し、新たなウェポンスキルとマジックスキルのスキルスロットを取得した。

流石にここに入れるスキルにはしばし悩むことになるだろうし、ここは小休止にするとしよう。

「そう言えばアリス、お前さんさっき武器を買ってたな。第二ウェポンスキルにはそれを入れるのか?」

「ええ。と言っても、ちゃんとしたものは『エレノア商会』で購入するつもりだけど」

そう言いつつ、アリスが取り出したのはボウガンだ。

魔人族(ダークス) ではあるが、アリスの体格が小さいことは否定できない。

大きな武器を扱うことはどうした所で難しいし、今のスキル構成上、ナイフ以外の武器を扱うことは難しいだろう。

だが、弓を使うにしてもアリスは筋力が低く、あまり適しているとは言えない。

結果として、ボウガンや銃といった筋力に依存しない武器が必要となったのだ。

「だが、銃じゃなくて良かったのか? あっちの方がいくらか手軽だぞ?」

「それは分かってるんだけど、毒を利用することを考えるとボウガンじゃないとね」

「ああ……確かに、それはそうだったな」

銃の弾丸に毒を仕込むことはできない。

ついでに言えば、このゲームにおける銃は魔導銃と呼ばれる武器であり、魔力の弾丸を撃ち出す武器だ。

どうした所で毒を利用することはできない。となれば、アリスにとっては弓の方が有効だろう。

尤も――

「お前さん、ボウガンの巻き上げはできるのか?」

「巻き上げ機の製作も依頼したわよ。自動は流石に無理だろうけど」

「ま、そうだな。巻き上げ機さえあればなんとかなるか」

ボウガンの巻き上げには結構な筋力を要する。

だが、巻き上げ機がついているのであれば何とかなるだろう。

とは言え、巻き上げの手間がある以上、あまり連発できる攻撃手段ではない。

アリスならば身を隠しながら巻き上げもできるだろうが、たまに使う程度に考えた方が良いだろう。

「ともあれ……お前さんは弓を選ぶわけか。魔法はどうするんだ?」

「《光魔法》かしらね。身隠しや目くらましの魔法もあるし……それに、複合属性も狙えるしね」

「闇属性と光属性は……《空間魔法》だったか。まだどんな魔法なのかは聞いたことがないが」

「ま、私も《空間魔法》に使いたい効果があるって訳じゃないけどね。他に取りたいものが無いってだけよ」

皮肉気なアリスの言葉に、こちらも肩を竦めて苦笑する。

俺自身、魔法はあまり使わないが故に、《降霊魔法》などという変わった魔法を取得したのだから。

と――

「そういえば、《降霊魔法》のレベルも上がったんだったな」

「……確か、その魔法って処理が特殊なんだったかしら」

「ああ、2レベルごとにポイントが割り振られる。それで呼び出す霊を増やすか強化するか選ぶ感じだったか。ま、しばらくは【武具精霊召喚】だけを育てるつもりだがな」

配下を呼び出す召喚も便利ではあるが、今はあまり必要だとは思えない。

それよりは、餓狼丸を強化できる【武具精霊召喚】の方が有用だろう。

とりあえず、予定通り【武具精霊召喚】にポイントを注ぎ込みつつ、緋真のレベルアップ処理を待つ。

どうやら、あちらも取るスキルを決めたようだ。

「ステータスアップ完了です。こんな感じですよ」

「別にわざわざ見せんでもいいだろうに」

緋真の差し出してきたウィンドウを、思わず苦笑しつつも覗き込む。

そこには、俺の時と同じく様変わりしたステータスが表示されていた。

■アバター名:緋真

■性別:女

■種族: 人間族(ヒューマン)

■レベル:50

■ステータス(残りステータスポイント:0)

STR:38

VIT:24

INT:32

MND:24

AGI:20

DEX:20

■スキル

ウェポンスキル:《刀術:Lv.21》

《格闘術:Lv.4》

マジックスキル:《火炎魔法:Lv.13》

《強化魔法:Lv.1》

セットスキル:《練闘気:Lv.5》

《スペルエンハンス:Lv.9》

《火属性大強化:Lv.6》

《回復適性:Lv.33》

《識別:Lv.30》

《死点撃ち:Lv.31》

《高位戦闘技能:Lv.6》

《立体走法:Lv.4》

《術理装填:Lv.27》

《MP自動回復:Lv.27》

《高速詠唱:Lv.26》

《斬魔の剣:Lv.10》

《魔力操作:Lv.2》

《遅延魔法:Lv.1》

サブスキル:《採取:Lv.7》

《採掘:Lv.13》

称号スキル:《緋の剣姫》

■現在SP:30

どうやら、今まで通常のスキルとして育ててきた《格闘術》をウェポンスキルに回したようだ。

そして、空いたスキル枠には《遅延魔法》とやらを取得したらしい。

ついでに、マジックスキルには《強化魔法》を取得したようだが――

「……お前、《強化魔法》なんて使うのか?」

「他に取るものもあんまり無かったですからね……私の場合、火以外だと本当に火力出ないので」

「いや、俺が魔法を掛ければいいんじゃないのか?」

「先生、《降霊魔法》のせいでMPに余裕無いじゃないですか」

「あー……まあ、確かにそうだな」

【マルチエンチャント】まで組み合わせると、流石に大量のMPを消費することになる。

他の仲間にまで魔法を掛けることを考えるよりは、緋真自身が自分で強化した方が良いということだろう。

まあ、それ自体は否定できるものではなかったし、有用であるのならば問題は無いだろう。

「で、《遅延魔法》とやらはどんな効果なんだ?」

「詠唱完了した状態の魔法をしばらく留めておけるスキルですね。私、《術理装填》の関係で、魔法をしばらく待機状態にしておくことがあるので」

「成程な。ま、順当な所か」

今回は、俺のように特殊なスキルを取得できるようなスキルオーブは存在しない。

つまり、順当にスキルを取得するしか無いわけであるし、有用なスキルを取得できたのであればいい成長だと言っていいだろう。

次のレベルでアリスも新たなスキルを取得するわけであるし、少々楽しみではあるな。

「ところで先生、さっきのアレですけど……」

「ああ、街道近くにあった村か」

緋真の発した言葉に、小さく嘆息する。

小さな村であったが、あの村は既に廃墟と化していた。

戦闘の痕跡も見受けられたし、あの村は悪魔の襲撃を受けていたと考えられる。

そういうこともあるだろうと覚悟していたが、少々気になることはあった。

「どうにも、血の跡が少なすぎたんだよな。戦いはあったんだろうが……」

「殺されたって訳じゃないの? 悪魔に殺されたら死体は残らないんでしょう?」

「だが、血は残る。皆殺しにされたとしたら、もっと派手に戦闘の痕跡が残っていてもいい筈だ」

しかし、現実はそうではなかった。それが示すことが何なのかは分からなかったが。

悪魔共が襲撃してきたのであれば、今までの傾向を鑑みるに、人間を見逃すようなことは無いはずだ。

ただの人間が、悪魔を相手に逃げられるとは思えない。

もしも人間を皆殺しにしたのでないとしたら、果たして奴らは何をしたのか。

いくつかの想像はできるが、何にせよロクなことではなさそうだ。

「何にせよ、先に進むしかあるまい。八大都市とやらまで到着すれば、何かしら分かるだろうさ」

「いきなり攻撃するんですか?」

「とりあえずは状況の確認だ。流石に、都市を落とすのにこの人数ではな」

相手がどれほどの戦力であるかもわからず、しかも仮に勝てたとしても維持するだけの戦力が存在しない。

今は状況だけ確認し、素直に撤退するべきであろう。

今は確かな状況が欲しい。そのためには、己の目で見て確かめることが一番だ。

「よし、終わったなら行くぞ。今日のログアウトまでに、状況だけは確認しとかねばな」

「了解です」

「荷造りは終わらせてあるから、ある程度ゆっくりでも大丈夫よ」

アリスの言葉に小さく笑みを浮かべつつ、先へと向けて歩き出す。

八大都市に辿り着くまでには、まだ少し時間を要するであろう。