軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

163:新たなるスキル枠

『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』

『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』

『《強化魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《奪命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《練命剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

『《HP自動回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

カイザーレーヴェを倒し、そして残ったライオン共を倒し終え、深く息を吐き出す。

大将であるカイザーレーヴェを倒した後も戦闘は続き、この群れを駆逐しきるまで終わらなかったのだ。

それ自体は別に構わないのだが、流石に少々数が多かった。

大半は行動不能になったグルーラントレーヴェと、ルミナの爆撃に辛うじて耐えただけのアルグマインレーヴェであったため、倒し切るにはそれほど苦労はしなかったが。

「流石に面倒だったな、こいつら」

「……こんなに一気にレベルが上がったのは初めてなんだけど」

深く嘆息しながらナイフを仕舞ったアリスは、半眼でそう声を上げる。

俺たちからすれば、圧倒的な格上と戦うことはそれなりによくあることであるため、これだけのレベルアップというのもそこまで珍しいことではないのだが。

とは言え、そんなにしょっちゅうある事態ではないことは事実。

それだけ、カイザーレーヴェは強敵だったということだ。

「今回はルミナがいなけりゃ詰んでいたな。流石に連戦は無理か」

「刻印が無かったら絶対に勝てなかったですよね……あの仲間呼びは流石に反則ですよ」

「ですが、刻印を使い切ってしまいましたし、今日はもうあれは使えません」

「分かってるさ、もうライオン共は十分だ。必要なアイテムは手に入れたしな」

餓狼丸の次なる強化に必要なアイテム、『覇獅子の剣牙』。これは既に、カイザーレーヴェ討伐のドロップ品として入手している。

女王蟻と同じようにボス扱いであったらしいカイザーレーヴェからは、十分な量の素材を手に入れることができたのだ。

他の素材もかなり多いが……毛皮や鬣は、あまり俺たちの装備には使えなさそうだな。

「……これで頭巾を作り直そうかしら」

「あ、それやっぱり頭巾だったんですね……けど、そのレベルの素材を扱える人がいるかどうかが問題だと思いますけど」

「え? 『エレノア商会』でも難しいの?」

「ちょっと微妙なところな気はしますね」

緋真の言葉に、アリスは珍しく目を丸くしながら驚きを露わにする。

まあ確かに、普通であれば素材のレベルが高すぎるなど起こるような事態ではない。

とは言え、『エレノア商会』が持つ技術もかなりのものだ。あそこであれば、加工できる可能性は十分にあるだろう。

尤も、それをするのは王都まで戻ってからの話になるだろうが。

「さて――」

さっさと聖火の塔に、と言いたい所であるが――その前に、一つ考えなければならないことがある。

俺のレベルが40に達し、新たなスキル枠が解放されたことだ。

三魔剣、餓狼丸、そして《剣鬼羅刹》の称号……これらを合わせれば、圧倒的な格上相手にもダメージは通せるようになった。

ヴェルンリード相手にどこまで通じるかは分からないが、以前よりも確実に攻撃力は伸びてきている。

では、新しいスキル枠にはさらに攻撃力を増す方法を考えるか、あるいはまた別の何かを考えるべきか。

スキル枠を開いて思い悩み――そこに、近づいてきた緋真が横から頭を突っ込んできた。

「あ、先生レベル40になったんですか。ってことは、新しいスキルですね?」

「ああ。だが、新しいスキルもどうしたもんかと思ってな」

正直、未だに攻撃にスキルを使うということは得意ではない。

三魔剣それぞれと《魔技共演》ぐらいであれば、あまり複数のスキルを使う必要もないし、単純で良いのだが。

流石に、緋真のようにいくつものスキルを繋げて戦うということはできる気がしない。

いや、慣れれば可能かもしれないが、そのような付け焼刃でヴェルンリードと戦うのはリスクが高いだろう。

「火力上げるならステータスのアップ系かブースト系か……でもアップ系も微妙ですしねぇ。ブースト系は嫌いでしたよね?」

「お前が使ってる《闘気》とかのことか? まあ、確かにあまり好まんが」

あれは、スキルを発動してから一定時間の間のみ、ステータスを強化する類のスキルだ。

確かに強化にはなるのだろうが、効果が切れた瞬間のことなどを考えると、あまり気が進まない。

敵と鍔迫り合いをしている間に効果が切れたら致命的な事態にもなりかねないだろう。

「んー、ステータスアップしないで攻撃力だけ上がるタイプの発動系スキルか、もしくは他のスキル……?」

「というか、まずは《回復適性》とか《戦闘技能》辺りでもいいんじゃないの? まあ、《背水》というのもアリかもしれないけど」

「ああ、そう言えば先生ってその辺のスキル取ってなかったでしたね」

「《回復適性》、《戦闘技能》、《背水》ねぇ……」

アリスの言葉を聞き、それぞれのスキル効果を確認する。どうやら、どれも取得可能なスキルであるらしい。

《回復適性》は、回復の効果を高めるパッシブスキルだ。簡単に言えば、回復系統のスキルや魔法を受けた時の効果が高まるというものである。

俺であれば、自動回復系スキルに加えて《蒐魂剣》と《奪命剣》か。

格上を相手には《奪命剣》を単品で使うことも難しいし、回復効果を高めるのはありと言えばありだろう。継続戦闘能力を高めることにも繋がる筈だ。

《戦闘技能》については、一応緋真から説明を受けたことがある。

これは魔法系以外の攻撃系スキルのコストを削減する効果を持っている。同時に、それらのスキルの効果も高めてくれるのだ。上昇量はそれほど大きくないとはいえ、デメリットのない良いスキルであると言えるだろう。

《背水》はその名の通り、現在のHPが少なければ少ないほど攻撃力が上昇するスキルであるようだ。

《練命剣》で自分のHPを削ると共に、自動的に攻撃力が上昇することになる。格上相手にはかなりギリギリまでHPを削ることもあるし、有用と言えば有用だろう。

ただし、これを意識しすぎるとピンチに陥ることもあり得そうだが。

「ふむ……成程、確かに俺にも効果がありそうなスキルだな」

どれも効果はあるし、それなりに有用だろう。

であれば、どれを選ぶべきか。三つのスキルの効果を見比べながら黙考する。

考えるべきは、ヴェルンリードとの戦い方だ。奴と戦う際に、一体どのスキルが必要になるだろうか。

餓狼丸の攻撃力上昇という但し書きは付くが、以前の時点で一応ある程度はダメージが通っていたし、今なら多少はマシなレベルで攻撃を通せるだろう。

問題は、奴が纏っている魔法障壁だ。あれを斬り裂くには《蒐魂剣》を使う必要があるが、流石に《練命剣》無しで奴本体にダメージを通すことは不可能である。

攻撃力を向上させるスキルを取得すればそれによって与えられるダメージも増えるだろうが、その倍率は《練命剣》には及ばないだろう。

自らの生命力を削るこのスキルの威力は非常に高い。《練命剣》無しでヴェルンリードにダメージを与えることは、恐らく俺には不可能だ。

であれば――

「……ここは、《回復適性》か」

「あら……《背水》を取るかと思ったのだけど」

「先生、もしかしてヴェルンリードとの戦いが長期戦になると思ってます?」

「ああ。奴はかなり頑丈だ、どうやったところで長期戦は避けられないだろう。あの時は可能な限り節約して戦ったが、やはり自傷ダメージが厳しかったからな」

《練命剣》を使わなければ奴とは拮抗できず、同時に《奪命剣》を使う余裕は少ない状況。

少しずつ己を削って戦わなければならないのは、長期戦の可能性が高い奴を相手には厳しい条件だ。

故にこそ、自らの回復能力を高める。《奪命剣》を当てる余裕があるかは分からないが、《HP自動回復》の効率を上げておくのは有用なはずだ。

最悪、ポーションを飲みながら戦えばいいし、そちらについても効果は上がるだろう。

そう結論付けて、俺は新たなスキルを取得する。取得するのは、《回復適性》のスキルだ。

「よし……このスキルは回復を受けていればレベルが上がるのか?」

「はい、そうですね。自動回復系でもきちんと経験値は入りますよ。まあ、回復量が多い方が経験値の入りがいいらしいですけど」

「ふむ……まあ、三魔剣も使うしな」

俺のHPが上下すればそれだけこのスキルも育つということだろう。

パッシブスキルであるし、すぐに体感できるほどの効果は無いのかもしれないが、それでも多少はマシのはずだ。

「さてと……待たせちまったが、他の準備は大丈夫か?」

「はい、アイテムの回収も終わってますよ」

「なら、聖火の塔に向かうとするか。さっさと解放して、王都まで戻るぞ」

ぐりぐりと首を回して、北東の方角へと向けて歩き出す。

この先にあるのは聖火の塔――要塞都市ベルゲンを解放するために必要な重要施設だ。

恐らくその上には悪魔がいるのだろうが、流石にカイザーレーヴェと比較すると少々力不足は否めないだろう。

まあ、どこまでの悪魔が出現するのかにもよるのだが。

「楽しめりゃいいんだがなぁ」

誰にも聞こえないよう、ぽつりとつぶやく。

悪魔共の鼻を明かしてやる機会は、そう遠くない内に訪れる。

そのためにも、まずは目の前の敵を片付けてやることとしよう。