軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

158:群れとの戦い

『《MP自動回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《蒐魂剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

グルーラントレーヴェとの戦闘を開始してから、北へと進むことしばし。

この辺りでの戦闘を繰り返すうちに、いくつか見えてきた傾向があった。

「この魔物、必ず10匹の群れで出てくるんですね」

「四回連続だな。そういう習性ってことか」

己が斬り裂いた魔物の死骸をしゃがみ込んで観察しながら、緋真はしみじみと呟いている。

その言葉に同意を返しつつ、俺はぐるりと周囲を見渡した。

最初の一戦を含め、これまでに四度グルーラントレーヴェとの戦闘を繰り広げている。

その四戦において、こいつらは毎度変わることなく、10頭の群れで襲い掛かってきたのだ。

四戦も繰り返せばある程度は慣れ、対処にも安定感が出てきている。

そこそこの強さがありながら体力は高くない、狩りやすい相手。

そういう意味では、強化には中々ちょうどいい場所であるかもしれない。

「けど、例のカイザーレーヴェとやらは出てこないですね。っていうか雄ライオン出てこないですし」

「ライオンは雌に狩りをさせるもんだとは聞くが……全く見かけないというのも少し違和感があるな」

10頭で一つの群れであるならばともかく、これら全てが一つの群れであったならば、俺たちは既に40頭もの仲間を殺していることになるのだが、連中は何もしてこないのだろうか?

何にせよ、こいつらが目的のカイザーレーヴェの群れの魔物であることは事実だ。

探すにしても、こいつら以外の手掛かりはない。更に先に進めばいることを願って、足を進めるしか無いのだ。

「ふぅ……やっぱり動物系は苦手ね」

「良く言うな、お前さんだけは完全に無傷だろうに」

「私は紙装甲だもの、受けることなんてそもそも想定していないわよ」

ふと声を上げたアリスの言葉に、思わず半眼を向ける。

対し、セイランの上に横座りをしているアリスは、俺の言葉に対してわざとらしく肩を竦めながらそう返していた。

ここまで最もスムーズにライオンたちを片付けていたのは、間違いなくアリスだ。

最初は俺を陰として利用していたアリスであるが、こちらに合わせるのが面倒であると判断したのか、二戦目からはセイランの巨体に隠れながら戦うようになっていた。

ついでにセイランのフォローもしていたためか、セイランもアリスのことを認め始め、今ではあのように俺の指示なしでも背中に乗ることを許している。

空隙の才だけではなく、体の動かし方が上手い。このゲームの中で練り上げたものであろうが、これもまた天性の才能だろう。

「これ、10頭ごとっていう数が気になるわね」

「数ですか?」

「綺麗に切りよく出てきてるってことには、何かしらの意味があると思うわよ」

セイランの背から勢いを付けながらひょいと飛び降りつつ、アリスはそう口にする。

その言葉に、俺は成程と首肯した。四度の戦い、全てが10頭ずつであった以上、これは偶然であるとは考えづらい。

このような出現パターンにしたからには、何かしらの意図がある可能性は高いだろう。

「とりあえず、変化があったら考えればいいんじゃない? 幸い、他の魔物は少ないみたいだし」

「確かに、それもそうだな」

この辺りは、基本的にこのライオンたちばかりが出現する。

正確に言えば、他の魔物も出現してはいるのだが、その頻度が著しく低い。

遠目に観察すれば存在は確認できるのだが、どうやらあまり積極的に襲ってはこないようだ。

この辺りはライオン共の縄張りということか、或いは他の魔物たちがライオンにとっての獲物になっているということか。

その辺りの生態は知ったことではないが、ライオンのみに集中できるということはありがたい。

「よし、次に行くか。位置的には……そこそこ来たな」

「確か、聖火の塔は向こうでしたよね?」

「行くかどうかはともかくとしてな。目的を達成するまでに結論を出して貰いたい所だ」

今の所、聖火の塔に行くようにとのアルトリウスからの依頼は出ていない。

その辺り、他のクランとの調整があるのだろうが――とっとと結論を出して貰いたい。

こちらとて、素材の回収にいつまでも時間をかけるつもりは無いのだ。

とりあえず、聖火の塔の位置だけは意識しながら先へと進む。

相変わらず広い平原で、見通しがいいため敵の姿を見逃す心配はない。

まあ、空中のマイナーグリフォンはいるのだが、奴らはこの辺りではそれほど襲ってはこない。

あとは地中の敵でもいない限りは不意を打たれることは無いだろう。

「っと、言ってる傍から新しい――む?」

「……お父様、あの群れ、何か様子がおかしくありませんか?」

ルミナの指摘に頷きつつ、近づいてくるライオンの群れへと目を凝らす。

これまで戦ってきたライオン共と同じく、10頭ほどの群れ。

だが唯一違う点は、その10頭の後ろに、これまでには無かった姿の魔物が追加されていたことだ。

他のグルーラントレーヴェよりも一回り大きく、立派な鬣のあるライオン。

姿を見かけないと言っていた、雄ライオンだ。

■アルグマインレーヴェ

種別:動物・魔物

レベル:40

状態:アクティブ

属性:なし

戦闘位置:地上

だが、どうやらあれはカイザーレーヴェとやらではないらしい。

少し期待したのだが、当てが外れた形になった。

「新手ね。50頭目が出現する群れで、追加の敵が現れる……ということかしら?」

「条件付きの上位種出現……って言うとあの蟻を思い出しますね。あり得そうなパターンですよ」

「このまま数を片付けて行けば、いずれはカイザーレーヴェが現れそうだな。であれば……まずは、目の前の相手を片付けるとするか」

話し合いつつも、俺たちは魔法の詠唱を開始している。

俺は《強化魔法》であるため自身の強化のみになるが、他の面々は攻撃魔法の詠唱だ。

放つのは範囲魔法。それによって、相手の出鼻を挫く。

「【スチールエッジ】、【スチールスキン】」

「【フレイムストライク】!」

「光の鉄槌よ!」

「【シェイドブラスト】」

「クァアアアアアアッ!」

四人分の魔法が炸裂し、グルーラントレーヴェたちの足並みを崩す。

特に緋真とルミナの魔法は進化しているため、その衝撃によって弾き飛ばすまでに至っていた。

そうして乱れた相手の戦列へと、俺は遠慮なく足を踏み入れる。

歩法――烈震。

緋真の【フレイムストライク】は、その爆心地近くに巻き込めばグルーラントレーヴェを一撃で倒す破壊力を有している。

だが、今回の魔物たちは、大きくダメージを受けながらも健在であった。

以前の連中よりもレベルが高いのか、或いは――あの雄ライオンの影響か。

何にせよ、あれが最も強い敵であることは間違いない。であれば、優先的に潰すまでだ。

途中で倒れていたグルーラントレーヴェたちを斬りつけつつ、更に前へ。こちらを待ち構えるアルグマインレーヴェは、その鋭い牙を剥き出しにしながら唸り声を上げている。

「し……ッ!」

「ガアアアアアアッ!」

俺が接近すると共に、アルグマインレーヴェはその巨体で押し倒そうと飛び掛かってくる。

足についている鋭い鉤爪はそれ自体がナイフか何かのようで、少しでも引っかかれば引き裂かれ、倒れればその牙によって食い千切られることとなるだろう。

ライオンたちは攻撃力が高い。一度捕らえられればそれまでと考えた方が良い。

であれば――それを許さずに立ち回るだけだ。

打法――天月。

強く踏み切り、前方に宙返りしながらの踵落とし。

全身の勢いの全てを込めたその一撃は、アルグマインレーヴェの脳天に直撃し、飛び掛かりの体勢のまま地面へと叩き落す。

打法――槌脚。

そのまま、全身の体重をかけて踏み潰しつつ、跳躍。

どうやら、そのダメージだけで死ぬことはなかったらしい。頭蓋を踏み割ってしまうつもりだったのだが、こちらは相応に頑丈なようだ。

尤も、僅かでも動きが止まっている以上、攻撃の手を緩める筈もないのだが。

ライオンの後方へと着地した俺はすぐさま反転、動きを鈍らせている敵へと接近する。

「『生奪』」

《練命剣》と《奪命剣》に進化した上での《魔技共演》は、光と闇が螺旋状に交じり合い、渦を巻いているようにも見える。

その一閃を振り下ろそうとした瞬間、横合いから迫る殺気に、俺はすぐさま刃の軌道を変化させた。

横薙ぎに変わった一閃は、大口を開けて飛び掛かってきていたグルーラントレーヴェの口の中へと飛び込み、その上顎から上を斬り飛ばす。

「チッ……」

どうやら、コイツの相手をする場合、他のライオン共が邪魔に入ってくるようだ。

俺がライオンの一体を片付けている間に体勢を整えたアルグマインレーヴェは、その巨体を生かしてこちらへと体当たりを敢行する。

俺の胸ほどの高さがある巨体を持ったライオンだ、この衝突を受けきるのはリスクが高い。

斬法――柔の型、筋裂。

突進から身を躱しつつ、篭手で押さえながら刃を置く。

自ら刃に飛び込み、突進の勢いでダメージを受けるアルグマインレーヴェであるが、当然その程度で致命傷に至る筈もない。

だが、そこから更に追い込むには周りのグルーラントレーヴェ共が邪魔であった。

――尤も、それで怯んでいる暇など無いのだが。

「ふ……っ!」

意識を加速させる。

目を見開き、周囲の情報を全て取り込みながら、足を前へと進める。

飛び掛かるグルーラントレーヴェを躱し、波状攻撃とばかりに向かってきていたもう一体は突撃してきたセイランによって蹴散らされる。

その背から身軽に飛び降りたアリスは俺に飛び掛かっていたライオンへと刃を突き立て、次いで取り出したナイフを《ポイズンエッジ》を付与しながら放つ。

近場にいた一体へと突き刺さったナイフはその効果を発揮し、強力な麻痺毒によってその動きを拘束する。

そして――

「グゥアアアアッ!」

「オオオオオオッ!」

斬法――剛の型、刹火。

振り下ろされる剛腕、俺の身を砕いて余りあるであろうその破壊力に、カウンターを合わせる。

蜻蛉の構えから振り下ろした一閃はアルグマインレーヴェの右腕を斬り飛ばし――その側面へと張り付きながら、拳を押し当てる。

打法――寸哮。

叩き付けた衝撃が巨体を揺らし、その動きを停止させる。

セイランとアリスが押さえている以上、他のライオン共の援護は間に合わない。

ならば――次の一閃で決めるのみ。

「《練命剣》――【命輝閃】」

生命力を纏う刀身が、眩く輝く。

HPを捧げたことによる攻撃力上昇の比率は普段よりも高く、単発の威力では間違いなく俺にとって最高の一撃。

その一閃を、俺は全力の殺意と共に撃ち降ろした。

斬法――剛の型、白輝。

その名を否定するかのような、黄金の光を纏う一閃。

足元を踏み砕くほどの踏み込みと共に放った一撃は――アルグマインレーヴェの胴を、一刀の下に両断した。

夥しい量の血が噴き上がり、周囲を真っ赤に染め上げる。

その場から距離を置きながら、血を振るい落とし刃を拭い――全ての敵が倒されたのを確認して、鞘に納める。

とりあえず、こいつら相手の感覚も掴めたが……標的は更に上だ。

どれほどの強敵になるのか、楽しみにさせて貰うとしよう。

『レベルが上がりました。ステータスポイントを割り振ってください』

『《刀術》のスキルレベルが上昇しました』

『《強化魔法》のスキルレベルが上昇しました』

『《死点撃ち》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』