軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

141:王都グリングロー

『《死点撃ち》のスキルレベルが上昇しました』

『《MP自動回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《斬魔の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《ルミナ》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

王都グリングローを目前にして、タイミングとしては最後になるであろうマイナーグリフォンを片付ける。

どれだけの数と戦ったかは思い出せないが、育成としては中々の結果だと言えるだろう。

流石に、もう到着までにマイナーグリフォンと遭遇する可能性は低いため、上空のルミナとセイランを呼び戻して街道へと戻る。

どうやら、俺の《斬魔の剣》以外にも、色々と成長しているようだ。

「おー……成程、こうなるんですか」

「緋真、何かあったのか?」

「《火魔法》がレベル30に到達したんですよ。新しい魔法も覚えたんですけど……そっちよりも、スキルが進化したことの方が重要ですね」

「《刀》が《刀術》になったのと同じか。そっちは何になったんだ?」

「《火炎魔法》です。こっちのレベル1魔法もありますし、二つ覚えたことになりますね」

どうやら、マジックスキルもウェポンスキルと同じくレベル30で進化するようだ。

他の面倒な条件が無かったのは幸いだと言えるだろう。

《刀》のように進化先の選択肢も無いのであれば、進化させるのに悩む必要もない。

「で、どんな魔法を覚えたんだ?」

「《火魔法》のレベル30が【フレイムストライク】、《火炎魔法》のレベル1が【エンチャントフレイム】ですね。エンチャントの方はそのまま、武器に炎を付与するみたいです」

「……《術理装填》みたいだな?」

「見た目は近いでしょうね。ちょっと拍子抜けですけど……まあ、レベル1ですし」

確かに、新しい魔法であるというのに新鮮さはない。

だが、緋真は納得している様子であるし、それほど気にする話でもないのだろう。

《術理装填》と似た効果であるのならば、使い所があるのかどうかは微妙だが……その辺りは本人が試すだろう。

それよりも、どちらかというと新しい攻撃魔法の方が気になるところだ。

何しろ、こいつの魔法は後ろから飛んでくるのだ。俺は場合によっては巻き込まれかねない位置にいるため、攻撃魔法の性能はきちんと理解しておきたい。

「【フレイムストライク】の方はどんな効果なんだ?」

「んー……説明だとちょっと分からないので、試してみますか」

俺の質問に対し、緋真は腕を掲げ、街道から外れた平原の方へと向ける。

タイムラグは若干長い。どうやら、他の魔法に比べて詠唱は少しだけ長いようだ。

だが、《高速詠唱》を有している緋真ならば多少はマシになるだろう。

やがて詠唱が完了したのか、緋真は鋭く魔法名を叫びながら炎を解放する。

「【フレイムストライク】!」

その声と同時、緋真が掲げていた手の前方に炎が収束する。

渦を巻いた炎は火球となり、小さく収縮すると同時、虚空に火線を描きながら飛翔し――地面に着弾すると同時、派手な爆発を引き起こした。

「ほう……威力は高そうだな」

「使い勝手は【ファイアボール】と【フレイムバースト】の混合って感じですね。範囲的には【フレイムバースト】の方が広そうですけど、効果は素直で分かり易いです」

【フレイムバースト】は指定した地点に直接爆発を発生させるのに対し、【フレイムストライク】は放った炎が着弾した地点に爆発を発生させる。

爆炎の広さは【フレイムバースト】の方が上だが、威力や密度に関しては【フレイムストライク】が上。

成程確かに、状況に応じて使い分けられそうな効果だ。

「使いこなせればそれなりの効果になりそうだな、と――ほう?」

「先生、どうかしましたか?」

「ルミナたちもレベルが上がったんだがな、ルミナのスキルも色々と上がったらしい」

確認すれば、ウェポンスキルの《刀》が《刀術》に、マジックスキルの《光魔法》が《閃光魔法》に変化している。

そして同時に、《空歩》のスキルを新たに習得していた。

これはセイランも持っているスキルであり、空中に足場を作って足を留める効果を持っている。

これがあれば、空中戦においても普段通りの剣戟を行えるだろう。

「ルミナ、自分の能力は把握できているか?」

「はい、お父様。緋真姉様と同じような魔法を扱えますよ」

「分かった、確認しておけよ。そいつは結構な戦力になりうるからな」

ヴェルンリードとの戦いに向けて、こいつらの能力が向上するのは良いことだ。

俺一人で奴を倒し切るのは困難であろうし、味方を強くすることも重要なのだ。

とはいえ、セイランについてはまだスキルを覚えるレベルではないし、しばらくは素直に育てる他ないだろう。

さて――いい具合に強化はできたし、そろそろ王都の中に入るとしよう。

「さて、そろそろ行くか」

「はーい……アルトリウスさんはどこにいるんですかね?」

「一応、城の方に向かえとは言われているが……まあ、アイツのことだ。目立つ目印でもあるんだろうさ」

正面の正門を通り王都グリングローへと足を踏み入れる。

門の傍には厩舎が多く、この国らしい特色だと言えるだろう。

通りの道はアルファシアよりも広く、往来の中にも多くの騎獣の姿を目にすることができる。

軍だけではなく、民の間でも騎獣は広く流通しているのだろう。

「この国の大きな都市に来たのは初めてだが……中々特色があるもんだな」

「これなら騎獣を連れていても目立たないですね。いや、セイランは目立ちそうですけど」

「流石に飛行騎獣は目立つもんだな」

馬の数は多いが、流石にグリフォンやペガサスの姿は見当たらない。

飛行する騎獣は、それだけ貴重なものということなのだろう。

周囲の様子に目を配りながら、正面――王城の方へと歩を進める。

「施設はアルファシアの王都とそれほど変わらないようだな」

「ですね。騎獣の販売所があるぐらいですか……あ、あそこに石碑がありますよ」

「ようやくか。今の所、牧場しか無かったからな……これで移動が楽になる」

要塞都市ベルゲンの石碑もあったのだが、あれを登録することはできなかった。

どうやら、攻め落とされている状態では石碑を使用することができないらしい。

あれさえ使えれば要塞都市に攻め込むのも楽だったのだが、そうそう甘くはないようだ。

小さく嘆息しつつ、石碑に触れて移動先に登録する。

と――そこで、横合いから近づいてきた気配へと視線を向ける。

そこにいたのは、見覚えのある騎士の姿だった。

「お待ちしていましたよ、クオン殿」

「ディーンか。アルトリウスの所への案内役か?」

「ええ、今はちょうど会議中ですので、こちらへ」

姿を現したのは、アルトリウスの側近であるディーンだった。

彼の話を聞くに、どうやら謁見の間で正式に話をする、ということではないようだ。

急な話であるし、それは仕方のないことかもしれないが。

緋真と視線を合わせ、小さく頷く。何にせよ、行かなければ話は始まらないだろう。

「了解だ、案内を頼む」

「ありがたい、それでは参りましょう」

ディーンの先導に従い、王城へと向かう。

さて、果たしてどのように戦うこととなるのやら。

若干の期待を交えつつ、俺たちは王城へと足を踏み入れていた。

* * * * *

「……何でこんな所にいるんだ、フィノ?」

「私は留守番中。あと、武器預かり中」

「これから向かう会議場は国の中枢が集っている場所ですからね。武器の持ち込みは許可されませんでした」

王がいるという会議場、その手前の控室のような場所にいたのは、作業道具を片手にしたフィノであった。

どうやら、会議室に入るつもりは無く、ここでメンバーの武器を預かっているらしい。

まあ、それならばちょうどいいだろう。俺たちの武器も預けておくこととしよう。

「俺たちの分も頼む。可能だったら、餓狼丸のレベルアップもして貰えるか?」

「お、経験値溜まってる?」

「結構な数の悪魔を斬ったからな。解放を使ってはいたが、それで消費した分以上の量を稼いでるさ」

ワールドクエストで相手にした悪魔の軍勢に加え、ベルゲンで時間稼ぎをした際の戦果もある。

建設中の砦に到着した頃には経験値は溜まり切っていた。

レベルアップできるならばしたかった所なのだが、生憎とフィノとコンタクトを取れるタイミングが無かったのだ。

ともあれ、これは良い機会であろう。

俺から餓狼丸を受け取った当のフィノも、目を輝かせて餓狼丸を見下ろしている。

「ん……素材があったら成長させとく。無かったらかんちゃんに送って貰う」

「……まあ、先に他の武器の修理を頼む。緋真とルミナの刀も結構酷使しているからな」

「勿論、それも直しとく」

若干心配ではあるが、こいつはきちんと仕事はするタイプだ。

素材の配達を頼んでいる間にでも、きちんと修理を完了させてくれるだろう。

ともあれ、一通りの武器を預けて、俺たちは会議場へと向かう。

ちなみにではあるが、セイランは城の中にあった厩舎で休憩中だ。

流石に、城の中にまで騎獣を連れてくることは出来なかったのである。

「こちらです、クオン殿。マスター、クオン殿をお連れしました」

『入ってください』

ディーンが扉をノックし、室内へと呼びかける。

程なくして、内部から響いた声に頷き、俺たちは扉を開いて会議場の中へと足を踏み入れた。

内部は広く、一台の長い机が設置されている。

どちらかといえば中世の食卓のようなイメージだ。非常に長い机と、いくつも並べられた椅子。

壁際には何人ものメイドが並んでおり、どちらかといえば晩餐会といった風情であった。

(となると……あそこにいるのが国王か)

長大な机、その最も奥にある豪奢な椅子に腰かけた男性。

恐らくは四十代ほどであろう、想像していたよりは若い蒼髪の男――彼こそが、このベーディンジア王国の国王だろう。

彼へと向けて軽く一礼し、案内のために出てきたメイドの先導に従って会議卓へと向かう。

見覚えがあるのはアルトリウスとK、そしてエレノアに――国王の近くにいるのは従魔の巫女か。

話で聞いていた通り、かなり国の中枢に近い位置にいる人物であるようだ。

(いや、ここにいるのはそういった人材ばかりか。となると――)

視線だけを動かして、その場にいる面々の様子を探る。

軍服のような衣装を纏った壮年の男性、戦いに携わっている姿はない老齢の男、そして少々場違いにも見える年若い少年――どうやら、本当に必要最低限の面々に絞っているらしい。

数を絞ったのは、面倒な話を避けるためか。何にせよ、話がスムーズに進むなら助かる。無駄な時間は使いたくないからな。

「さて、それでは――改めて、話を再開させて頂きたいと思います。よろしいでしょうか、陛下」

「構わんぞ。俺も、その男の顔を見るのを楽しみにしていたからな」

アルトリウスの呼びかけに、国王は楽しそうに口元を歪ませる。

中々に曲者の気配だが――果たして、どのような話になることやら。

若干の期待と共に国王へと視線を返して、俺はアルトリウスの話へと耳を傾けた。