軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

制服

「というわけで、制服を作ろうと思う」

「……どういうことなの、アルフォンス君? 制服ってなんの話?」

「いや、さっき言ったでしょ。バナージ殿からバルカ傭兵団が仕事を任されたって。オリエント国に属する村の警備と伝達ってやつだよ」

「それは聞いたけど、それがどうして制服につながるの?」

オリエント国内でローラと話した後、俺は新バルカ街へと戻ってきていた。

そして、そこにいたクリスティナにバナージから受けた仕事の依頼を説明した。

そのうえで、制服を作るということを提案する。

ただ、クリスティナにとってはその二つに関連性があるように思えなかったのか、何を言っているんだという顔をしている。

「ほら、バルカ傭兵団っていろんなやつがいるでしょ。俺やエルビス、イアンにバリアントの出身の奴もいれば、この小国家群の生まれの奴もいる。いわば、バラバラな出自から寄せ集められた集団なんだよ」

「まあ、そうね。私みたいな商人もいるし」

「だから、そのバラバラな連中をひとまとめにするために制服を作るんだ。そうすることで一体感が生まれるだろうし、ほかの人からも一目で誰がバルカ傭兵団かって分かりやすいと思うんだよね」

「なるほど。識別のためにもなるということね? それは確かに面白そうかもしれないわね」

「でしょ? 実際、アルス兄さんも軍に所属する人には服の支給をしていたって話だし、いい考えだと思うんだよね」

「わかったわ。それじゃあ、ガリウスさんにも話をして、どんな服がバルカ傭兵団に合うか考えてもらいましょうか」

俺が制服を作ることの狙いをクリスティナに説明すると、すぐにそれに同意してくれた。

実際、これはきちんと意味があると思う。

俺がバナージから受けた依頼内容を聞いて、一番最初に思ったことは派遣できる人数についてだった。

今のバルカ傭兵団の傭兵の数はそんなに多いわけではない。

しかも、まだまだ訓練はしている途中だし、一部の傭兵には魔道具作りの仕事などを与えているので、全員が村々に派遣できるわけでもなかった。

なので、複数の村に傭兵を派遣するといっても、一つの村に対しては多分少数になってしまう。

というか、下手したら五人とか十人という数しか送れないかもしれない。

傭兵団の本拠地を離れた場所でごく少数で活動する傭兵たち。

彼らが責任をもって仕事をすることができるだろうかという疑問があったのだ。

もしかしたら、武器を持って村を守るために護衛に向かった仕事先で問題を起こす奴もいるかもしれない。

そうならないために、自分はバルカ傭兵団の一員であり、責任ある立場なのだと忘れさせないように制服でも作ろうかと思ったのだ。

その制服に身を包んでいる間だけでも、責任感を持ってもらえればそれでいい。

それに、村の連中からも一目で誰がバルカ傭兵団の所属なのかが分かったほうがいいだろうと思ったのだ。

そのことをクリスティナに詳しく説明し、ガリウスとともに一目でそれとわかる制服を作ることになった。

アルス兄さんなどはバルカ軍の軍服としてトレンチコートというものを作ったりしていたそうだ。

ただ、あれはバルカニアやフォンターナ連合王国という寒い気候の国だからこその服装だろう。

向こうと比べればこのオリエント国のある小国家群は夏になるともっと暖かくなる。

というか、湿気が多いのか蒸し暑い。

トレンチコートなんてものを制服にしても、暑くて誰も着なくなってしまうだろう。

ということで、バルカ傭兵団で使う制服はもう少しここらにあった服にすることになった。

ただ、一目でわかる特徴も欲しいというのが最初の狙いだ。

そのために、ガリウスの出した意見は色を使うというものだった。

「なるほど。制服に特定の色を使うことでバルカ傭兵団所属であることを示すのか」

「そういうことでござる。色は、アルフォンス殿やノルン殿の鎧の色である鮮血からとって、鮮やかな赤色を使ってみてはどうでござろうか?」

「いいね。そうすれば、鎧姿のノルンが歩いていてもバルカ傭兵団の一員だって分かってもらえそうだし。でも、そんなきれいな赤色を出せる染料とかはあるのかな?」

「ちょうど、この地域で見られる花が使えると思うのでござる。死者を黄泉の国へと送る時期に咲く花として有名な花なのでござるが、きれいな赤色をつける染料にも利用できるものがあるのでござるよ」

「よし、じゃ、それを使おう。【洗浄】したときに染料が落ちないようにしっかりと色を染めるようにだけは気を付けておいてね」

「もちろんでござる。では、バルカ傭兵団の制服として、赤服を作っていくのでござるよ」

ガリウスの意見を採用して、鮮やかな赤色に染めた夏でも涼しく過ごせる服を制服として作ることになった。

すぐにそんな服の制作に取り掛かり、完成したそれを傭兵たちに着せて並ばせる。

うん、いいんじゃないかな?

比較的短時間で作れるようにと、ほかの服の上から着ることができるものにしたその制服は、薄手の羽織と呼ばれるものだった。

その羽織は赤く染められ、背中側にも赤の模様が入っている。

これは、アイの体に刻まれている聖痕だろうか?

全員が統一された服できれいに整列したその光景は、かなり強そうでかっこよく見えたのだった。