軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

検地

「よし、これから検地をしていこう」

「検地ってなんだよ、アルス」

「何って言っても検地は検地だよ、バイト兄。土地の広さをきちんと調べて、どのくらいの収穫量があるかを調べておくことだよ」

「ふーん。俺はパス。お前みたいに計算したりするのは苦手だからな」

俺が農地を持たない連中に仕事を与えるためにレンガ作りと魔力茸の栽培を広め終えたあとのことだ。

とりあえず、魔力茸はすぐには栽培できないだろうが、レンガならば魔力さえあれば作ることはでき、多少の稼ぎにはなる。

そこで、いったん農地なしの人のことはおいておいて、農地持ちについても対応していくことにした。

農地があるやつはおそらくそのまま、農業をしていくだろう。

別に魔法が使えるからと言って、全員が戦場へと行きたいわけではなく、むしろ農業用の魔法を手に入れたことで思う存分農業をしていきたいと思っている人も多いはずだ。

だが、ここで問題がある。

俺が授けた【土壌改良】といった魔法を使えば、収穫量が飛躍的に伸びるであろうという点がまさに問題になるのだ。

これまでの納税方法では一度、村長が村の収穫物を集めて保管しておき徴税官へと受け渡していた。

だが、これまでと同じだけの量を俺に納めるというのはありえない。

間違いなく収穫できる量が増えるのだからそれも当然だろう。

しかし、だからといって単純に納税する麦の量を増やせばいいというものではない。

なんと言っても、農民は自分たちが作った麦を権力者に持っていかれるのを嫌がるものだ。

それが俺が統治者に変わったら、即座に持っていかれる量が増えたとしたらどう思うだろうか。

収穫量が増えているという事実があったとしても、いい顔をしないのではないだろうか。

そこで、あらためて検地をすることにした。

農地の面積を調べ、そこからどのくらいの収穫量が採れるかを明らかにすることで、その次からの納める麦の量が変わる、というのをアピールする意味もある。

が、実際に調べておかないと俺の手元には農地データなどがないということもある。

やはり、やっておかなければならないだろう。

だが、検地してみようと思ってから気がついたが、どうやって土地の広さを測ればいいのか途方に暮れてしまった。

検地をするための測量技術すら持ち合わせていなかったのだ。

どうしたものか。

巻き尺でも作って広さを測ればいいのか、でもそれだとどれだけの長さの紐が必要なんだと自問自答することになってしまった。

「え……、アルス兄さん、そんなことで悩んでたの?」

「そんなことって言うなよ、カイル。こう見えて本気で行き詰まってるんだから」

「だって、簡単じゃない、そんなこと。【整地】を何回したかで農地の広さはすぐわかると思うけど」

しかし、俺が悩んでいた答えはカイルによって、あっという間に解決してしまった。

カイルいわく、【整地】は俺の魔法を使える人間なら誰がやっても毎回必ず同じ広さの土地がならされるのだからそれを基準にすれば間違いはない、という明快なものだったのだ。

確かにそう言われてみればそうかもしれない。

俺が前世のときの記憶をもとに、一辺10mの正方形の土地を平らにならすイメージで呪文化した【整地】。

ちなみに【整地】を基準に【土壌改良】の呪文も作ったため、面積はどちらも同じだった。

各自の農地を何度呪文を使えばその面積を埋めることができるかを確認するだけで、検地が終わってしまうことになる。

さらに言えば、特別な計測技術を持たないものでも面積を測ることもできることになる。

こうして、バルカ騎士領の土地面積は【整地】を一度したときに影響のある広さを「一枚」と数えるようになったのである。

※ ※ ※

「カイル、ついでだから長さの単位もこの際決めちゃおうぜ」

「長さの単位?」

「【整地】したときの一辺の長さを十等分したものを1m、それをさらに百等分したものを1cmとする。異論は認めない」

「べつにいいんじゃないかな。異論なんて出ないと思うよ」

「あとは重さとかも決めとこう。一覧表にでもまとめておくよ」

「うん、わかった。みんなにも伝えておくね」

長さの単位が確定すれば、ほかの単位についてもそれと連動して基準となる単位をつくることができる。

例えば、10×10×10cmの体積の水は1リットルとし、1Lは1kgとする。

これだけで容積と質量の単位の出来上がりだ。

さらに水の沸騰する温度を100度としておこう。

こうすれば、俺に馴染みの深い単位が出来上がる。

こうして、バルカに共通認識となる長さや重さの単位が登場したのだった。

それまでは割といい加減な物の数え方をしていた人も、自分の魔法から生み出されるものを基準にして出された数値は比較的理解しやすかったのか、バルカ騎士領ではこの統一度量が広まっていったのであった。