軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

活動拠点

「ここでいいかな、ローラ?」

「はい。ありがとうございます、アルフォンスくん」

オリエント国という都市国家の内壁内の土地。

そこで、一軒の建物と土地を購入した。

これから議会で仕事をすることになるローラの活動拠点として使うためだ。

木造の趣のあるオリエント方式の建物に、ローラが使う家具などを運び込ませる。

「アイのほかにもノルンをここに置いておこうか。大丈夫だとは思うけど、護衛代わりに連れて行動するようにね」

「……これがノルンさんなのですか?」

「そうだよ。赤いでしょ」

「ええ。赤いのは赤いのですけど、いつもの鎧姿ではないのでちょっと違和感が。というか、ずいぶんとかわいらしい子猫の姿なのですね?」

「鮮血兵ノルンは姿を変えられるからね。ローラもいつもそばにいるのがでっかい鎧ってのは嫌かと思って。それとも猫は嫌いだったっけ?」

「いいえ。猫は好きですよ。わざわざそこまで気を使っていただいてありがとうございます」

ローラが礼を言いながらノルンを抱き上げた。

おとなしく抱きかかえられているノルンだが、その姿はまさに子猫だ。

真っ赤な猫。

それが今のノルンの姿だった。

議員になったローラだが、今後は仕事の関係で新バルカ街ではなくこのオリエント国で生活することも多くなるはずだ。

そのためにここに土地と建物を用意した。

だが、それは心配でもあった。

いろいろと秘密の多い新バルカ街のことを知りたがる者が、もしかするとオリエント国にいるローラに手を出してくるかもしれないということだ。

ローラは俺の家でも生活していたこともあり、最近になって新バルカ街に住み始めた者たちよりもいろんなことを知っている。

ついポロっと話してしまうこともあるだろうが、それ以上に情報を引き出そうと危ない目に会う可能性も考えられた。

とくに、ローラ自身は戦う力があるわけでもない。

強引に連れ去られたりしないだろうかという心配は尽きない。

そうでなくとも人目を引く女性なのだから気を付けてやってくれとクリスティナに言われているくらいだ。

そこで護衛をつけることにした。

で、誰を護衛にするかを考えた時、ちょうどいいのがいた。

ノルンだ。

鮮血兵ノルンは魔石を核にして俺の血で形を作っている。

普段は鎧姿をしていることが多い。

が、別にそれは割と自由に変えられるということで、今回は猫になってもらったというわけだ。

ローラの近くをちょろちょろついて回っている。

いざというときには、このノルンに戦ってもらおうというわけだ。

ちなみに、議会は小動物なら連れて入っても構わないのだそうで、そっちにもついていくことができるだろう。

動物を同伴する奴なんかほかにいるんだろうかと思わなくもないが、ノルンが子猫姿になったのはそれも関係している。

「後は身の回りの世話をする人もいるかな? 俺が育てている元孤児の子どもから連れてこようか?」

「いいのですか? あの子たちはかなり力を入れて教育しているのではないのですか?」

「そうなんだけど、やっぱり人それぞれ違うからね。キクみたいにいずれは自分も傭兵になって活躍しようって奴もいれば、ハンナみたいにあんまり争いを好まないような子もいる。傭兵向きじゃない子はここで仕事をさせてもいいかもしれないと思ってね」

「そうですか。でしたら、何人かお願いします。あの子たちはお料理も上手ですし、裁縫などもできるので助かります」

「じゃあ、女の子中心に希望者を連れてくるよ」

そして、アイやノルン以外にも孤児連中から引き抜いて、ローラのそばに置くことにした。

ローラは多分オリエントと新バルカ街を行ったり来たりするだろうけれど、その子らはここに留まり続けることになるだろうか。

ということは、ほとんど街暮らしの生活になるかと思う。

傭兵よりも街で暮らしたい子ってどれくらいいるだろう?

聞いたら結構手を上げるかもしれないな。

もしそこそこの数になるようなら交代でここに住まわせてもいいかもしれない。

なんにせよ、戦闘が嫌いな子でも普通よりは戦えるので、いざというときに役に立つだろうし。

「議会の仕事っていつからなの?」

「数日後から始まるようです。まずは顔合わせになるかと思います」

「そっか。ま、しばらくはローラの仕事は味方づくりになるだろうね。なるべく多くの議員と知り合って、新バルカ街の発展が邪魔されないように味方を作ってほしい」

「邪魔をする人がいるのでしょうか?」

「分からないけど、多分いるでしょ。全員がバルカ傭兵団のことを大歓迎ってわけでもないだろうしね」

「分かりました。人を見る目はそれなりにあるつもりです。アルフォンスくんのためにも、いい人とたくさんお知り合いになりますね」

「よろしく。ああ、あとは娼館や娼婦の助けになることはもちろんローラの判断でやってもいいからね」

ひとまずはこのくらいだろうか。

あとは、実際に議会に出席しながら上手くやっていってもらうしかない。

そのへんのことはアイとも相談しながら、いろいろと試して頑張ってほしい。

こうして、オリエント国でのローラの新しい生活が始まった。

そして、それからしばらくした後、さっそく事件が起こったのだった。