軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

傭兵団の形

「新しい傭兵たちは五百二十三人、か。まあいいんじゃないの? 多少の誤差は許容範囲だ」

「はい。その者たちはすでに教会にて儀式を終えて、外部からの内通目的の者ではないことを確認済みです」

「ご苦労様、エルビス。で、ご苦労ついでに悪いけど、訓練は任せるよ」

「もちろんです。お任せください、アルフォンス様」

バルカ傭兵団の入団募集試験が終了した。

俺の試験の後に行われたエルビスの試験で十分やる気があると認められた連中はほとんどが儀式を受け、問題なしと判断された。

が、やはり、なかには外部とつながった者がいたようだ。

この外部とのつながりのある入団希望者は、その後、尋問などをして調べてみた。

その結果、主に商人に雇われている者が多かったようだ。

しかも、それはオリエント国にいる商人だった。

どうやら、新バルカ街に潜り込んで、新商品の情報やなにかを得てこいと命じられていたようだ。

中にはバナージが作っているということになっている魔道具が、この新バルカ街で作られていることを知って内通者を送り込んできている商人もいた。

ここで判明した商人たちはクリスティナとも相談しながら今後の対応をしていくことになるだろう。

が、やはり問題となるのは俺の試験に合格した者だ。

俺の【威圧】に耐えられた者は魔力が多い傾向にある。

そして、この東方では魔力の多さは出自の良さにつながる。

代々魔力の高い者同士で婚姻関係を結ぶことで、生まれながらに魔力が多い子どもが生まれやすいからだ。

そして、そんな一般人よりも魔力の多い者に命令を下して一介の傭兵団に入り込むように命じる相手はそれなりの家ということになる。

オリエント国の関係者である者も少数いたが、ほとんどはオリエント国外の勢力の息がかかっていたことが分かっている。

こいつらの扱いは難しそうだったので、すぐにバナージのもとへと送った。

あとは向こうでうまいことやってくれることを期待しておこう。

「しかし、そう考えると魔力量の多い即戦力をバルカ傭兵団に迎え入れるのって、結構難しいんじゃないか?」

「そうかもしれませんね。むしろ、魔力が多く実力がある者が入団を希望してきたら、どこかの手の者であると考えるほうが自然かもしれません。油断大敵です」

「そうなんだよなあ。ただ、そうなるとうちで強い奴を育てていかないといけないのか。やっぱり、【命名】をうまく使っていくしかなさそうだな」

「はい。傭兵団内で樹形図を作る、ということですね。それが良いかと思います」

魔力量の多い奴は強い。

それは、この世界で西であろうと東であろうと変わらない真実だと思う。

魔法の有無や、機転が利くかどうかでも勝敗は変わってくるだろうけれど、個人の基本的な強さにはやはり魔力量が多いか少ないかが大きくかかわってくる。

だって、単純に防御力が高まるだけでも傷つかなくなるんだし。

だが、生まれつき魔力の多い奴は必ずどこかの名門の家系出身であり、生まれた時からなんらかの勢力のもとにいることになる。

つまり、強い奴が簡単に仲間になることはない。

では、どうやってバルカ傭兵団を強くしていくかという問題が出てくる。

が、それは名付けを利用しようということになった。

【命名】という魔法を使って他者に名付けを行うことで、魔法を授けることができる。

そして、その際には名付けを行った親に対して子から魔力が流れ込んでくることになる。

この仕組みは東方、特に小国家群ではまだあまり知られていない情報のはずだ。

即戦力となる強い奴が手に入りにくいのならば、この仕組みをうまく利用するしかない。

エルビスと話し合って、バルカ傭兵団の形を今までと少し変えることにした。

これまでは、俺とエルビス、そしてイアンの三人がいて、その他大勢の傭兵という感じだった。

しかも、傭兵の数は百から二百くらいまでで、一度の戦場に行くのは八十くらいが多かった。

なので、傭兵同士では上下関係というのはあまりなかったのだ。

だが、数が増えたことで、もう少し組織的にすることにした。

その組織の作り方はバルカ方式を利用する。

バルカ方式はフォンターナ軍にも導入されているやり方だ。

フォンターナ軍という組織は最小単位が班というもので構成されている。

五人一組で班が作られている。

そして、その班が五つ集まって分隊。

分隊が五つ集まって小隊。

そして、小隊が五つ集まって中隊ということになる。

これをバルカ傭兵団もそのまま導入してみようということになった。

単純に数を合わせると今のバルカ傭兵団は中隊規模の軍ということになるだろうか。

十万を超える規模のフォンターナ軍とは比べ物にならないけれど、中隊を動かせるということになれば今までよりもできることが増えるだろう。

で、この班やら隊をまとめる者は、部下に名付けを行わせる。

こうすれば、配下から魔力を受け取ることで上官のほうが魔力量が多くなる。

生まれつきの魔力が多い者がいなくとも、多少魔力量が多い者の数を揃えることができるはずだ。

【見稽古】で剣術などを身に着けることもできるので、魔力が多いだけで戦闘では役に立たないということもないだろうと思う。

こうして、入団試験を終えたバルカ傭兵団はその形を少しずつ変えながら、翌年の軍事演習に向けての訓練を始めたのだった。