軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

今後のために

「……こんなもんか」

「今回の武術会、および品評会の影響で結婚したのは八組ね。まあ、こんなものじゃないかしら」

「あんだけ大々的にやったのに、少ない気がするんだけど」

「そんなことはないでしょう。私は成功だと思うわよ、アルフォンス君。あのむさくるしい男連中の中から元高級娼婦相手に結婚を決めたのが八人もいるのよ。十分でしょう」

武術会と品評会が終わった。

それぞれは特に大きな問題も起こらずに、成功したと思う。

武術会もかなり盛り上がったと思う。

【見稽古】のおかげで武術においての技術的な要素はある程度横並びになっているが、それでも個人個人で得手不得手があり、肉体的な強さと魔力的な強さ、そして精神力などが違う。

そのためか、同じバリアント出身の中でも剣では強いやつや素手で強いやつなどの特徴や違いが現れたのも面白かった。

決められた規則内での戦いというのもよかったと思う。

事前にその戦いの規則を説明することで、どうしてどちらが勝ったのかが戦いの素人である女性陣にもそれなりにわかりやすかったようだ。

そして、品評会もうまくいったと思う。

各々が女性の気を引くために準備して提出した品を並べていく。

その品を見ているだけでも面白いと思う。

これも人によって個性が結構出ていたからだ。

とにかく、大きいのは正義だとばかりに作品の大きさを追求した者もいた。

あるいは、高価なものほどいいとクリスティナ経由で高級な材料を取り寄せて、精緻な細工を施した作品を用意した者もいる。

ほかにも、変わったものを作るやつがいたが、中でも家を作った奴には驚かされた。

これからの俺たちの新しい新居だ、と自宅を改築したのを贈り物であると主張したのだ。

そんな人それぞれの感性が出る品々を見つつも、中には品評会には出さずに意中の相手に直接贈る者もいた。

どうやら、全員に見せるよりも、特定の人に向けてこれはと思った品を「あなただけのために用意した」という思いを込めて渡したようだ。

それはそれで面白いな、と思いつつ、あとで回収して最終的には誰でも見れる状態にしたのだが。

そんなこんながありつつも、武術会での結果や、品評会での総評もあわせて、男女での食事や交流が行われるように設定した結果、生まれたのが八組の新婚者たちだった。

多いと言えるのだろうか。

個人的にはちょっと少ないんじゃないかと思うのだけれど、クリスティナは成功だという。

ならば、そんなものなのだろうと納得するしかなかった。

「私も十分成功だと思いますよ、アルフォンスくん」

「……そういうローラは結婚してないじゃん」

「ふふ。そうですね。私もお誘いを受けたのですが、まだ特定の方とそういった話にはなりませんでした。けれど、ほかの女性たちもそうですが、今回のことはいいきっかけになったと思います」

「そうかな?」

「はい。この村に来た時には新たな場所で勝手のわからぬまま生活することでいっぱいでしたから。それが、武術会や品評会を通して村のことが少しわかりました。今はみんな、お休みをいただいたときに村の中を出歩いているので、今後は自然と仲良くなる人たちも出てくるでしょう」

「そうだね。まあ、もともとの目的が交流を取り持つことだったんだし、それは成功したんだから良しとしとかないとね」

「はい。そう思います」

このローラという女性はクリスティナと昔から知り合いだった人だ。

娼婦になってからもときどき手紙のやり取りなんかをしていたらしい。

そのためか、この村に来てからはクリスティナと一緒にいる機会も多い。

もともと、高い教養を身につけていたようで、娼館では娼婦でありながらも支配人の仕事を手伝ったりもしていたようだ。

そのためか、経営的な感覚も備わっているとクリスティナが言っていた。

今はその能力を使って、バルカ村の財政をクリスティナと一緒に見てくれている。

「けど、今後のことを考えるとやっぱりもっと結婚していってほしいって気はするな。ローラは今後この村でさらに結婚する人が増やすためには、どういうことをするのがいいと思う?」

「そうですね。やはり、安心して子育てできる環境があるというのが一番ではないでしょうか。男女が恋仲になって結婚するのはもちろん素晴らしいですが、家庭を築くとなると話は少し違ってきますから。お腹を痛めて産んだ子どもがすくすくと育つ仕組みがあれば、安心して結婚できるのかなと思います」

「ふーん、そんなものかな。じゃあ、例えば、何があれば子育てしやすいの?」

「そうですね。私もまだ子どもがいないのであれですけれど、一番は病気をしたときに治療できるかどうかでしょうか。あとは、子育てそのものをお手伝いしてくれる方がいれば助かるでしょうし、いずれ大きくなった時に教育を受ける機会もあればうれしいのではないかと思います」

「なるほど。じゃあ、それ全部作ろうか」

ローラの意見を聞いて、思わずうなずいてしまった。

たしかに、今までは結婚したいという傭兵たちのためにお金で女性を集めただけだ。

その女性と交流を持つ機会も用意して、それでうまくいくかと思っていた。

が、将来的なことを考えたら、この村で結婚するのはやはりまだ不安があるんだろう。

ならば、それを解決していこう。

ローラが言った将来への不安を払しょくするために、バルカ村を作り替えていくことにしたのだった。