軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スーラの発案

「おかしい」

「どうしたのですかな、アルフォンス様?」

「いや、なんかこう、あれだね。せっかくオリエント国から女の人を連れてきたのに、思惑が違ったっていうか」

「ふぁっふぁっふぁ。それはしかたありませんよ、アルフォンス様。あのでくの坊たちにあのような気品あふれる女性の相手は無理というものです。みんな気後れしているようですな」

ローラをはじめとした高級娼婦たちがバルカ村へとやってきて少し時間が経過した。

最初はこの村に馴染むかどうかわからなかったが、ゆっくりとここでの生活に溶け込んでいるように思う。

が、肝心の結婚話はあまり進んでいない。

オリエント国から集めた百名近い女性たち。

誰もがきれいで結婚できる年齢の人だ。

すぐに傭兵たちが口説いて結婚する相手が決まっていくかと思っていた。

が、どうやらそう簡単には話は進まないようだ。

というのも、スーラの言うとおり、傭兵たちがあまり積極的に動いていないというのも一因だと思う。

あまりに美人で気品あふれる女性たちは、霊峰の麓で生まれ育った連中にとっては高嶺の花すぎたみたいだ。

どうやってお近づきになればいいのかすらわからない。

どうやらそんな風に感じてしまっているらしい。

そして、受け入れた場所も微妙に悪かったように思う。

一時的に俺の家に全員を引き取ったのがまずかった。

もともと俺の家は孤児たちを受け入れるようにある程度大きめに作っていた。

それこそ、集団生活をする前提もあり、全員を受け入れても十分対応できる状態だったのだ。

その家で生活し、そして仕事は孤児たちに対する教育が主になる。

必然的に女性たちはいちいち、特に何かがあるわけでもないバルカ村を歩き回る必要もなく、家の中での生活で終始することとなった。

そのため、バルカ村で普通に生活しているだけでは女性陣と傭兵たちが出会う機会がなかったのだ。

さらに言えば、傭兵連中の求愛行動も原因の一つだろう。

どうやらバリアントという傭兵たちの育った場所では、わりと夜這いなどで結婚相手が決まったりもするらしい。

気になる相手の家に夜こっそりと上がり込んで、寝床に潜り込む。

が、それは俺の家に限って言えば無理だ。

防犯目的でノルンやアイが夜中もずっと見張っている。

傭兵連中がこっそり忍び込む隙などどこにもなかった。

「知っていますかな、アルフォンス殿。傭兵どもの中ではこの家のことをバルカ御殿などと言う者もおるようですぞ」

「バルカ御殿? なにそれ?」

「アルフォンス様が高級娼婦を囲っているお屋敷、とでもいえばいいでしょうか。身請けも自分たちのためではなく、アルフォンス様自身のために行ったのではないかというわけですな」

「そんなわけないだろ。ったく。情けなさすぎるんじゃないか? もっと、自分たちから積極的に動けよ」

「まあ、あやつらの気持ちもわからんでもありません。それに、女性陣にも問題があるでしょうな。よくわからない馬の骨である傭兵と結婚するよりは、このバルカ御殿で過ごしているほうがよほど将来性があると考えているのでしょう」

「……どうしようか。そうかといって、ローラたちをこの家から追い出したり、無理やり傭兵たちとくっつけてもうまくいきそうにないしな」

「簡単なことです。今回のことで問題となっているのは、きっかけがない、という点ですからな。それさえ解決してやれば、男女がくっつくこともあるでしょう。このスーラに案があります」

傭兵たちの思わぬ弱腰に、ちょっとイラっとしてしまった。

都会の女性と結婚したいというから、ここまで手を尽くしたのに、いまさらにしり込みされてもこっちが困る。

かといって、無理強いはしづらい。

それは、女性陣も傭兵たちのことを夫と認めて家庭を築くつもりがなければ、いずれ破綻するかもしれないからだ。

強引に夫婦の形を取り繕っても、多分いいことはないだろう。

だが、スーラはそれに対して、案を出してくれた。

それは、簡単に言えばお見合いだ。

夜這いもできず、正面切って口説きもできない男に女性陣と仲良くなれる機会を用意しようというものだ。

ただ、女性側からみても相手を見定めることができるように配慮する。

そのための方法がスーラにはあるという。

「武術会と品評会?」

「そうです。人にもよるでしょうが、女が感じる男の魅力として強さがあります。このような動乱の時代はとくにそうでしょう。そこで、このバルカ村で武術会を開いて傭兵どもを戦わせるのですよ。そして、それを女たちに観戦させる。そうすれば、強さを見せる男に意識を向ける女も多少は出てくるでしょう」

「なるほど。戦っているところを観させて、双方から気になる相手でも言わせてみようか。俺やスーラが間を取り持って食事でも一緒に取るように設定しておけば、なんとかなるかも」

「そうです。そして、それとは別に品評会もするのです。もともと、このオリエント国というのはものづくりの得意な者が多い土地柄です。そのためか、意中の相手を口説く際に、自分で作った作品を相手に渡す習慣というのがあるのですよ。高級娼婦に認められる贈り物を作る腕を持っている、と思わせられればあるいは簡単にくっつくでしょう」

「ああ、それはいいな。【見稽古】のおかげで一応、ガリウスと同じだけの腕を持ってはいるんだし。あとは、相手の気を引ける自分だけの品が作れれば、うまくいくかもしれないか」

結構と面白そうだな。

なかなか進まない結婚話を推し進めるためのスーラの案だが、結婚抜きでも楽しめそうだ。

というか、このバルカ村はあまりにも娯楽がなさすぎるし。

ほぼ毎日、訓練かものづくりをしている。

【瞑想】があるおかげで、そんな生活でも心身ともに健康に過ごしているけれど、たまにはそういう娯楽要素があってもいいかもしれない。

たんに俺が見てみたいだけというのもある。

それに、武術会なら俺も出てみようかな。

こうして、スーラとの話で急遽、このバルカ村に新たな行事が誕生したのだった。