軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

村への同行者

「よーし。それじゃあ、バルカ村に向かって出発するぞ。いいか、お前ら。村に着いたらしっかり働いてもらうからな」

「はーい」

「いい返事だ。働いたらきちんと飯も食わせてやるし、服もやる。だから、遅れず離れずついて来いよ」

ガリウスの家。

貧民街の中にあるそこからバルカ村へと向かう。

マーロンが元気になり、荷車に乗って移動しても大丈夫そうだと判断したので、そろそろ移動を開始することになった。

が、この場には俺やキク、ハンナやガリウス親子のほかにもたくさんの人間がいた。

それは孤児たちだった。

ガリウスの家に滞在してマーロンが回復するまでの間、なにもずっと家の中で看病だけをしていたわけではなかった。

むしろ、家を出て、貧民街に出ている時間のほうが多かったかもしれない。

その時に、俺たちは孤児に声をかけていたのだ。

バルカ村はバリアントから傭兵を受け入れた。

だが、今後の発展のことも考えて、もう少し孤児も引き入れることも考えていた。

とくに、【見稽古】を開発したことによって、孤児たちでもある程度仕事ができるようになるという目算が付いたのも大きい。

それなりに数を集めて連れていく余裕がバルカ村にはあった。

そこで、貧民街の中を【威圧】しながら練り歩いた。

が、どうやらミーティアのような掘り出し物というのはそうそういないようだ。

弱い【威圧】でも全員がバッタバッタと倒れていく。

しばらく、そんなことを続けて、さすがに【威圧】はやめるようにキクやハンナに言われてしまった。

まあ、確かに危険かもしれない。

貧民街は決して治安がいい場所ではないからな。

【威圧】を受けて倒れた人が、あとからそこに来た者に身ぐるみを剥がされるだけならまだ運がいい。

意識を失って倒れていたら、どんな目に合うかもわからないだろう。

まったく効果の出ない才能探しのための犠牲としては、少々厳しすぎる。

同じように貧民街に住んでいた身として、ハンナたちにはもうこれ以上はやめてくれと泣きつかれてしまったのだ。

なので、ミーティアのような才能を探すのはあきらめて、ハンナやキクの人脈を使うことにした。

孤児の中でもこいつらならばバルカ村に連れていきたいという孤児がいれば紹介してもらうことにしたのだ。

孤児と一言で言ってもいろいろいるらしい。

キクたちは残飯あさりが主な稼ぎだった。

だが、なかには犯罪に手を染めている者もいた。

スリくらいならまだいいほうで、もっと危ない裏の仕事にかかわっていた者もいるらしい。

貧民街に住む以上、大なり小なり危ないことを孤児たちは経験している。

が、今のバルカ村が求めているのは魔法という力を手に入れて、それでもその力を悪用せずにしっかりと学び、仕事をしてくれる者だ。

変にこの貧民街に馴染みすぎた者よりも、なるべく真面目さが残っている者。

そんな孤児たちをキクとハンナに集めさせた。

その結果、数十人の孤児が俺とともにバルカ村へと行くことになった。

二人が選んだ孤児たちは、そのほとんどが話を聞いてバルカ村へと行くことに即答したそうだ。

まあ、それはそうかもしれない。

つい一年前までは自分たちと同じようにお腹を空かせて死にかけていたキクやハンナが、元気そうに、きれいな身なりで目の前に現れたのだから。

自分たちもそこに行けば同じようになれるかもしれない。

そう思ったからこそ、ついていくことを選択したのだろう。

もうちょっと怪しんでもよさそうなものだが、それだけこの話に魅力を感じてくれたんだろう。

あとは俺が直接会って、【威圧】を叩きこんで上下関係をはっきりさせておいた。

これで、変なことをする奴はそう出てこないと思う。

そんな孤児を多数連れて歩き始める。

「拙者はバルカ村でものづくりを教えればよいのでござるな?」

「うん。ガリウスの技術をみんなに教えてやってほしい。実演してみせれば、【見稽古】って魔法があるからすぐに覚えてくれるはずだよ」

「うむ。キクにも何度かその【見稽古】を見せてもらったでござるよ。まさか、あのような魔法があるとは思いもしなかったでござる。あれならば、ある程度の技術はすぐに身につくと思うでござるよ」

「いいでしょ、あの魔法。あれは俺が開発したんだ。だから、バルカ村にしかない。【見稽古】を使って、一気に魔道具作製の技術と効率を上げてとりあえずはお金稼ぎを続行だな」

孤児たちはキクが先導して歩かせている。

その前を俺やガリウスは荷車に乗って移動していた。

そこにマーロンも乗せてゆっくりと進んでいく。

子どもばかりの集団だったからだろうか?

途中でちょっと絡まれたりもあったが、特に問題なく進みバルカ村へと到着する。

その後は、しばらくの間、名付けなどはせずに孤児の面倒を見る。

ここで勉強や訓練を嫌がってすぐに逃げ出す者がいれば、しょうがない。

そう思っていたが孤児たちは後がないからかみんなよく頑張っていた。

あるいは、どんなにつらい訓練があっても飯を食えるのが大きいのだろうか。

その後数か月、しっかりとバルカ村の生活に馴染んだ孤児たちは魔法を授けられ、特に大きい子どもたちを中心にガリウスからものづくりについて【見稽古】を使いつつ、教わっていくことになったのだった。