軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

安心感と決意

「お願いがあります」

「お願い? なにかな?」

「私も連れていってください。ミーと、ミーティアと離れたくないんです」

しばらくの間、ボロボロと泣きながら、けれど悲しいとは全然思わずに一心不乱におにぎりを食べていた私たち。

お米の一粒、それどころか手についた塩の味がしなくなるまできれいに食べきった後に、私はそういった。

妹のミーティアと離れたくない。

私も、ハンナも一緒に連れていってほしい、と。

「うーん。どう思う、アイ?」

「引き入れる孤児の数は五名の予定です。受け入れ可能であり、問題ないと考えます」

「じゃ、連れていこうか。ハンナも俺と一緒に来い。ミーもだ。いいな?」

「うん、いくー」

いいの?

てっきり、ミーしか連れていかないと言われるかと思った。

というか、五人の予定?

それって、この貧民街から孤児の子を五人連れていくってことなのかな?

「あの、ほかにも子どもを探してここから連れていくんですか?」

「そうだね。一応そのつもりだよ」

「なら、私たちの仲間も一緒に連れていってもらえませんか?」

「仲間? へー、孤児に仲間なんているんだ」

「はい。いつも一緒にいるんです。その子たちも連れていってください。お願いします」

「おねがいしましゅ」

私がアルフォンスと名乗った男の子に頭を下げた。

それを見て、ミーも一緒にまねしている。

「そうだな。じゃ、とりあえず、その仲間を紹介してもらおうかな。俺の言うことを聞いて、俺のために仕事をするんなら連れていってあげる」

「わかりました。えっと、じゃあ、ここで待っていてください。呼んできます」

「一緒に行こうか?」

「いえ、ここよりもっと汚いところなので連れてきます。あ、その私たち汚くてすみません」

「そういえばすっごい汚れているね。洗浄っと。はい、きれいになったよ」

え?

今、なにをしたの?

男の子が私とミーに手を触れてなにかを言った。

それだけで、私たちの体がきれいになった。

あれだけ汚れていたのに、水で体を洗った時よりもきれいになっている。

「おねえちゃん、きれー」

「あ、……こ、困ります。こんなにきれいなのはその……」

「ん? きれいになったらまずかったの?」

「その、きれいな恰好でここらへんを歩いていると襲われるので」

「ああ、そっか。そういえば、さっきなんか近づいてきた奴らがいたね。そうか、きれいな恰好で歩いているだけでそんな目に遭うのか。じゃあ、やっぱりついていくよ」

「でも、汚れちゃう」

「大丈夫だよ。さっきみたいにすぐに汚れを落とせるから。じゃあ行こうか。はやくその仲間を見よう」

そう言って、その男の子が歩きだす。

慌ててそれを追いかけて、私たちが普段寝ているところへと向かった。

やっぱり、その途中で何回かきれいなアイさんを狙って襲われそうになった。

けど、そのたびに男の子が撃退する。

この男の子の名前はアルフォンスというらしい。

どこか別の国の王様の弟だそうだ。

本当かな?

王様の弟がなんでこんなところにいるのかわからないけど、普通の人とは全然違うことだけは分かった。

移動しながらも話をする。

なんでアルフォンス様が人を集めているかを聞いて驚いてしまった。

傭兵団の人材集め?

むりむりむり。

私やミーが傭兵なんて無理に決まっている。

歩いているときにそれを聞いて、思わず立ち止まってそう言ってしまった。

けど、別に傭兵にならなくてもいいみたいだ。

アイさんが孤児を教育するらしい。

そして、その教育を受けた子たちが傭兵団のためになると思う仕事をすればいいらしい。

そんなことを言われても、それでも無理だと思ってしまう。

だって、私たちみたいな孤児がまともな仕事をできるとは思えないし。

だけど、やらないわけにはいかない。

ミーと一緒にいるためにも、無理だとは口に出して言えなかった。

それに、安心感も違った。

前を歩くアルフォンス様。

がりがりの私たちと違ってしっかりした体だけど、私よりも年下の男の子。

そんなアルフォンス様が歩いている後ろをついていくだけで、いつもの貧民街とは風景が全然違った。

いつもは周りの様子を確認しながら、危険がないように移動する。

貧民の中でも孤児なんて一番下の扱いだ。

最悪、目に留まっただけでも泥棒扱いされて殴られるなんてこともある。

ほかの人の目に触れないように気を付けていなければならなかった。

だけど、今は違う。

私が着ている服なんてボロボロだけど、それでも今まで見たことがないほどきれいな状態になって歩いている。

普段なら、それだけで生意気だ、その服をよこせと襲われただろう。

そんな理不尽が一切ない。

近づいてくる人を、私には見えないけれど、アルフォンス様が倒している。

その光景があまりにも不自然だったんだろう。

いつのまにか、ほかの人が勝手に私たちの歩く道を開けていくようになった。

ミーは私の手を握ってずっと笑っている。

最近はお腹がすいた以外のことを言っているのを見たことがないような気もする。

そのミーがこんなに笑っているだけで、私は決心がついた。

この人についていこう。

もしかしたら、この決心が間違いだったと思うかもしれない。

けれど、ここで断ったらもう二度とこの人たちには会えない。

私たちも貧民街から出ることができなくなるかもしれない。

私は孤児仲間を紹介して、五人一緒にここを出るようにみんなを説得したのだった。