軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

相談

『へー、そんなことで悩んでいたんだね、アルフォンスは』

「そんなことって言わないでよ。結構真剣に悩んでいるんだけど」

『あはは。ごめんごめん。で、それをわざわざボクに相談するために、アイに連絡を取らせたんだ。てっきり、そういうのはアルス兄さんにするかと思っていたよ』

「それも考えたんだけどね。なんか、こういうのの相談ってアルス兄さんはちょっと違うかなって気もしたから。聞いても、自分の好きにすればいいよ、とかそういう答えが返ってきそうな気もしたから……」

『あ、それは言うかもしれないよね。アルス兄さんっぽいな。でも、うれしいよ。わざわざアルフォンスがボクに相談してくれるなんてね』

オリエント国による柔魔木の確保という作戦はうまくいった。

あの後、バルカ傭兵団はなんとか必死に船を漕ぎ、水の流れに逆らって上流にあるオリエント国まで帰還することに成功した。

途中、何度か追撃がきたけれど、逃げ切ることができた。

そして、今はバナージに借りている屋敷の一室にいる。

そこで、俺はここに帰ってくるまでにもずっと悩んでいたことを、人に相談することにした。

今、俺はアイを通して遠方にいる人物と連絡を取り合っている。

その人物というのは、俺の兄の一人であるカイル兄さんだった。

カイル兄さんは【念話】などのものすごい便利な魔法を使える人で、リード家という貴族家を立てて聖都の跡地を自身の領地としている。

つまり、ナージャによって滅ぼされた土地を所有していることになる。

カイル兄さんが直接ナージャと戦ったわけではないだろうけれど、今俺が悩んでいることについても詳しく理解しているだろうし、相談してみたというわけだ。

ちなみに、俺やエルビスなんかは【念話】を使えない。

なので、リード家にいるアイに伝言してもらいながらの会話だ。

『えーと、それでなんだっけ? 魔剣ノルンっていうのがアルフォンスと血の契約をして、それで人の血を吸うと相手の魔術を奪えるようになったんだよね? すごいね、それは。そういえば、その流星って人は他に魔術は使えなかったのかな?』

「えっと、【流星】以外の魔術は使えなかったみたいだよ。けど、アルス兄さんの魔法が使えたみたいでね。ノルンがその血を吸ってからは、俺も【整地】とか【土壌改良】とか【壁建築】みたいな魔法を使えるようになったかな」

『へー。じゃあ、本当にノルンの力っていうのはナージャの【収集】と似ているね』

「そうなんだ。やっぱり、カイル兄さんもノルンの力は危険だと思うかな?」

『うん。身近にそんな能力を持っている人がいれば、当然警戒するだろうね』

「やっぱ、そうかー。そうだよねぇ」

『でも、あんまり気にしても仕方がないって気もするけどね。だってそうでしょ? 今、アルフォンスがいるところはどこ? 東方のオリエント国なんでしょ? そんな縁もゆかりもない土地だったら、たとえノルンの力がそんな能力じゃなくても危険視されると思うよ』

「危険視、されるのかな?」

『もちろん。強くなれば頼られることはあると思う。けど、強くなるほどに危険な人物だとみられることにもなるよ。絶対にね。だから、そういう意味ではノルンの力のことを気にしすぎても意味がない。というわけで、アルス兄さんじゃないけど、アルフォンスの好きなようにするのが一番だし、それ以外に何ができるわけでもないと思うけどね』

「……悩んでも意味ないよってこと?」

『うん。簡単に言っちゃうとそうなるかな。ただ、血を吸うと相手の魔術を得られるっていうのはしばらく隠しておいたほうがいいかもしれないね。あとは、そうだなぁ……。信頼できる味方を今のうちから作っておくことが大切かな』

「信頼できる味方。一応、アイとかエルビスとか、イアンもいるけど……」

『うんうん。いいね。けど、もっと欲しいかな。それこそ、アルフォンスがどれほど強くなっても裏切らないような味方が多くいればいるほど、ナージャのような終わりにはならないと思うんだよね。まあ、それ以前に知らない土地で100人程度の戦力しかないって時点で不安要素しかないし。ナージャと似ているかどうかを気にするよりも、東方で活動するならもっと戦力を増強しないと話にもならないと思うよ』

まあ、そうなるか。

カイル兄さんに相談すると、気にしすぎだということと、仲間を増やすべきだという話になった。

自分の力で生まれ故郷とは離れた土地を統治しているカイル兄さんが言うと説得力が違った。

確かにそうかもしれない。

今のままだと、戦場に出た時に無事に帰ってこられるかどうかすらわからないのだから。

ナージャみたいになると心配するよりも、仲間を増やしていくほうが先決か。

けれど、それは口で言うほど簡単ではない。

単に人数を増やせばいいのではないからだ。

それこそ、カイル兄さんの言うように、絶対に俺を裏切らない、信頼のおける味方を増やす必要がある。

「わかったよ、カイル兄さん。頑張って、信頼できる味方を作ってみるよ」

『頑張ってね。また、相談があればいつでも気軽に連絡してきてよ』

「うん、ありがとう」

よし、ならさっそく行動あるのみだ。

カイル兄さんとのやり取りを終えた俺は、すぐに新たな味方を探すために動き始めたのだった。