軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鮮血兵の特徴

「アルフォンス、その鮮血兵というのはもっと出せるのか?」

「無理だよ、イアン。血が足りないから今出せるのは一体だけだね」

「そうか。そんなに強くはなさそうだから、あまり当てにはならないか」

「ま、もともとこの鎧を操っているノルンはただの剣だからね。けど、継戦能力はあるよ。鮮血兵が相手を切ってそこから血を奪えば、どれだけ傷ついても血を使って回復できるしね」

「ほう。なるほどな。それならば使い道はあるか」

命なき赤い鎧となって動くノルンを見て、イアンが尋ねてくる。

もっと数を増やせるのかという当然の疑問だった。

だが、それは無理だ。

盗賊団を全員倒してはいたけれど俺自身が魔剣で血を取り込んだ数はそれほど多くはなかった。

今、起動させることができるのは一体の鎧だけだった。

が、この鮮血兵は一体だけでも十分に使えると思う。

なにせ、敵陣に放り込んで相手を切りつけていれば、そこから切りつけた相手の血を取り込んで吸収してしまうのだ。

そして、相手の攻撃を受けて多少の損傷があったとしても、その血を使って直ってしまう。

相手からしたら嫌な敵だろうと思う。

とはいえ、欠点がないわけでもない。

赤黒い魔石を核にして、俺の血を使って鮮血兵を生み出しているのだ。

そのため、一体作り出すごとに俺の血は一時的に外に出てしまうことになる。

つまり、俺の血に含まれる魔力もそれに伴ってなくなっているということでもある。

流星と呼ばれるような強者相手に戦うならば、自分の力を分散させないほうがいいのかもしれない。

それに、鮮血兵はあまり使い捨てにはできないという欠点もあった。

アルス兄さんは岩の巨人である魔装兵器をいろんな使い方をしていたみたいだ。

それこそ、空から地上に向けて落とす、なんて無茶苦茶もやったらしい。

が、この鮮血兵は俺の血を使っていることもあって、最終的には回収したい。

ノルンに確認したところ、完全ではないが鮮血兵として使った血を自分の体の中に取り戻せるらしい。

そのときに、鮮血兵が相手の血を奪い取った分が多ければ、生み出したとき以上の血を俺の体に取り込むこともできるとか。

つまり、こいつは独立して動く吸血装置であって、最終的には俺のもとへと戻ってもらわなければ困るのだ。

また、それ以外の欠点というも実はあったりする。

というか、欠点というよりもアイと違う点というべきだろうか。

アイは神の依り代を使って同時のたくさんの体を動かし、その個体ごとで経験した記録を共有し、覚えておくことができる。

それは同時に複数のことを並列に処理しているともいえる。

だけど、鮮血兵ノルンはそうではないらしい。

ノルンが鮮血兵として動くときには、その知識はその鎧ごとに独立しているのだそうだ。

つまり、今は一体しか鮮血兵を出していないが、もしも10体同時に出せたとして、その十体はアイのように同期して行動するようなことはできずに、バラバラの個として動くことになる。

そのどれもがノルンでありつつも、分かれた瞬間に別の意識を持つことになるのだ。

が、ややこしいことに、俺のもとに戻ってきて血を回収すると、その経験も本体ともいうべきノルンに一元化されるらしい。

ようするに、鎧姿で動いているときは完全に独立して行動しているが、回収されたら情報が蓄積されるということになる。

そのため、遠距離に派遣して遠く離れた場所の情報を瞬時に俺に届けることはできないらしい。

が、鮮血兵として動き回った情報などは、毎回俺の元に戻ってきて血を回収し続ければ蓄積できる。

つまり、剣ではなく鎧として動いたという経験値をためることもできる。

成長する余地があるということになるそうだ。

「ずいぶんとややこしいな」

「そうでもないさ。鮮血兵ノルンは使い続ければ強くなれる。それだけわかっていれば十分だよ」

ま、なんにしても今はまだそんなに強いわけではない。

アイほどに学習速度も高くはないかもしれない。

けれど、それを補って余りあるほどに死ににくい。

なにせ、血でできた鎧という命なき戦士であり、戦場にあっては回復できるだけの血を確保しさえすればいいのだから。

「まだ、いけるよな、ノルン?」

「もちろんだ。この体は疲れたりしないからな。俺様ももっともっと動きたい。何度だって敵陣に突撃できるぞ」

「そりゃ頼もしいね。じゃあ、俺とノルン、イアンは壁を越えてグルーガリア兵を攻撃する。アイやエルビスは後方から援護を。流星が出た場合は、イアンがなんとか攻撃を防いでくれないか? その間に俺とノルンが流星に近づいて攻略する」

「大丈夫なのか? その流星とやらは強いんだろう?」

「そうだな。けど、それは相手の得意な距離での話だ。弓兵は近づくに限る。イアンに注意を引き付けて、接近戦に持ち込もう」

「わかった。なら、俺も遠慮なく暴れさせてもらおう」

流星は俺が斬る。

本来ならば、強い相手にはイアンを当てたほうがいいのかもしれない。

が、次第に増えているグルーガリア兵を抑え込むには圧倒的な力を持つイアンに暴れてもらったほうがいい。

そして、そんなイアンに気を取られる流星を俺が狙う。

そう作戦を立ててから、俺たちはアイの援護を受けながらも壁を越えてグルーガリア兵に向かって突っ込んでいったのだった。