軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

道路整備

「うーん、昔を思い出すな……」

一応の完成を見せた城造り。

だが、実際のところはまだ見た目だけの機能がほとんどだった。

外から見ると四方に高い塔がついた城壁で囲まれた堅牢な城なのだが、中の土地には俺が建てた宿屋風建物などがあるだけなのだ。

もしかしたら、人によってはそんなものを城とは認めない、と言うかもしれない。

というか、グランがそうだった。

もっと、内部空間もきちんと作り上げるべきだと主張している。

まあ、気持ちはわからなくもない。

どうせならば、いいものを造っておきたいと思うのは俺も同じだからだ。

だが、ここでひとつ問題が生じてきた。

それは、食料についてである。

当初100人程度だった人数が300人まで増えている。

その分、毎日消費される食料の量が増加してしまっているのだ。

人数が増えれば当然なのだが、倉庫においた食料が毎日恐ろしい勢いで減っていくのを見ると肝が冷える。

たった、300人でもこんなに消費するのか、と実物を見てはじめて気がついたのだ。

その光景はかつて使役獣を量産し始めたときのことを思い出させた。

頭数の増えたヴァルキリーを食べさせるために土地の開拓を始めたのだ。

それが、こんな戦いへと繋がり、再び食糧問題に直面することになるとは考えもしなかったが。

この食糧問題だが、別にすぐに餓死するといったたぐいのものではない。

一応村から運べば食べていけるだけの量があるのだ。

バルカ村は結局今年の分の麦を徴税される前に戦いへと発展したので十分以上にある。

では、何が問題なのかというと輸送にあった。

北にあるバルカ村と南にある街の間に城を造った。

だが、もともとあった道は人が通るだけの最低限の道しかなく、ものを迅速に移動する事ができる道ではなかった。

別にそれでも食料を運ぶことはできるだろう。

しかし、せっかくなら少し手を入れておきたいと考えたのだ。

すこし考えたが、俺は道の整備をすることにした。

どうもフォンターナ家の動きが遅く、すぐに襲いかかってくるという感じでもなさそうだったからだ。

ならば、持久戦が可能なように補給路を作り上げておこう。

そう考えて俺は行動に移すことにした。

そして、それに合わせて隣村にも手を入れることにした。

隣村からも人が集まったおかげで、そこからも食料の提供を受けることができている。

だというのに、隣村は周囲を木の柵で囲うくらいのものしか防御力がなかったのだ。

造った城でも、バルカ村でもなく、隣村が最初に狙われるという可能性がないでもない。

ならば、もう少し防御力のある村にしておいてもいいかと思ったのだ。

城に200人ほどを残し、100人ほどを連れて俺は整備に取り掛かった。

まずは俺と【壁建築】ができる人間で隣村へと向かう。

隣村ではまず最初に俺が【記憶保存】で覚えた塔を2ヶ所に建てる。

そして、その塔に接続するように【壁建築】を行って村を囲っていく。

ここはあくまでも籠城用というよりも、いざというときの避難所兼周囲の監視が目的だ。

なので、壁に対しては呪文で作り出しただけで上に登って迎撃するような改良はしないでおいた。

あとは、建物をひとつだけ硬化レンガ製のもので造っておいた。

そうして、その建物を兵舎みたいに利用することにした。

ここにバルガスが推薦した真面目な若者を配置しておく。

彼の役割は毎日塔に登って周囲を警戒しておいて、いざなにかあったときには兵舎にあずけておくヴァルキリーに乗って俺に報告に来るというものだった。

【身体強化】の呪文を使えば、しがみついて移動することくらいならばなんとかできるだろう。

こうすれば、川北の城を直接狙わずに迂回している軍勢がいても、事前に察知できる可能性が高まるだろう。

まあ、そうでなくともいざというとき村人と逃げるくらいはできるに違いない。

こうして、俺は隣村の防御力をあげ終え、途中で別れたメンバーと合流する。

彼らは【壁建築】が使えない人たちだ。

基本的に【壁建築】が使えない者は魔力量が足りないからであり、すなわち【道路敷設】もできない。

だが、【整地】は普通に使える。

だから、彼らには俺が隣村に行っている間に道に【整地】をするように言っておいたのだ。

すでにある細い道に【整地】をする。

それだけでも今までの何倍もの速度で移動可能な道となった。

だが、この【整地】は万能ではない。

俺には経験があるのだ。

開拓地で荷車の車輪によって、整地した土地がでこぼこになってしまったという経験が。

だから、俺はこの整地された土地に対して【道路敷設】を行うことにした。

幅6mの硬化レンガでできた道でその両脇には歩道までついている道路だ。

【整地】しただけのものよりもさらに移動速度が早まるだろう。

しかし、この【道路敷設】には欠点もあった。

それは基本的に真っ直ぐにしか敷設できないというものだった。

一応、俺がいれば呪文ではなく脳内イメージを使ってカーブや交差点といった道路にすることもできる。

だが、俺が手を入れるのは最低限にしたい。

全員ではないとはいえ、【道路敷設】の呪文を使える人は他にもいるのだから当然だろう。

しかし、離れた目的地に向かって正確に真っ直ぐに向かう道路をつくるというのは思った以上に難しい。

測量技術がないからだ。

ならば、どうするか。

俺はこの問題を力技で乗り切った。

再び塔を造ったのだ。

いくつかの曲がり角の場所やちょうどいい間隔となるように高さのある塔を造り、塔から塔へと向かうように作業員たちに【道路敷設】をさせたのだ。

多少のズレは出たものの、なんとかこれで一応道路をつなげて造っていくことに成功した。

こうして、川北の陣地にある城とバルカ村、そして隣村をそれぞれ結ぶようにして新たな道路が完成したのだった。

なお、この道路が完成したことによって輸送スピードが上がったのは当然だが、夜には自分の村へと帰ることもできるようになったのは予想外のことだった。

もともと、バルカ村から城までは1日と少し歩かなければつかなかったのだが、道の整備が進んでヴァルキリーが荷車をひくことによって、日帰りで往復することもできるようになったからだ。

これによって、村人はローテーションでだが自分の村に帰ることができるようになり、出稼ぎに行くというくらいの気楽さで俺の仕事ができるようになったため、またさらに少しだが傘下に加わる人の数が増えたのだった。