軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

今後の方針

「大将、村から新しい奴らが来てるぜ」

「村から? どういうことだ、バルガス?」

「多分ここでの勝利を聞いたからだろうな。今なら勝ち馬に乗れるかもしれないし、魔法を授けてもらえるかもしれないってことなら、自分も傘下に入ろうってやつもいるさ」

「なるほど、そういうもんか」

「そういうもんさ」

俺のもとにバルガスが報告にきてくれた。

その内容は2つの村から新たに人がやって来たというものだった。

どうやら甘い汁を吸いに来たようだ。

とはいえ、今は少しでも戦力がほしい。

俺は新たに集まってきた人たちを自身の傘下に入れることにした。

捕虜にした騎士から聞き出したところによると、今回のフォンターナ軍500人はやはりフォンターナ家から見ると戦力の一部だということがわかった。

まあ、北の村という領地のはずれにある村の少年を捕らえるために集めただけで、まさか魔法を使う人たちとの集団戦闘になるとは思ってもみなかったそうだ。

500人の中に騎士30人というのは破格の戦力だとさえ言われていたらしい。

では、次にフォンターナ家がどういう行動に移るのかというのが問題になる。

というのも、フォンターナ家は貴族ではあるが、戦力だけでいうと5000人規模であり、限界ギリギリまでかき集めても7000〜8000人程度なのだという。

そういう意味では500人の軍に勝利し、6人もの騎士を捕らえた俺たちバルカ勢の存在は脅威に映っているだろうということだった。

残りの戦力を集めて一息に押しつぶそうとするかどうか。

正直良くわからない。

だが、嬉しい誤算だったのは騎士たちの考えでは他の土地の貴族の介入はないだろうというものだった。

仮に、自分の領地にある村の暴動を処理できないとなって、他のところに助けを求めるとどうなるか。

メンツが丸つぶれというのもあるが、その勢力に大きな借りができてしまう。

そんなことはフォンターナ家としては望まないだろう、ということだった。

「それにしても、バルガスの知り合いで騎士のやつがいてよかったよ。平民出身だからいろいろ話してくれて助かった」

「やつとは何度か肩を並べて共に戦ったからな」

貴重な情報を手荒な真似をせずに引き出すことができたのは幸運だった。

バルガスが仲間になってくれていたのは本当に大きい。

この情報はきっちり生かさなければ。

「よし、なら早速だけどここの守りを強化しよう。城を作るぞ、バルガス」

「おう、任せとけ」

相手がほかの勢力を頼る気がない、というのであればそれを利用しよう。

どうやらこのあたりでは土地を治める貴族同士が争って領地争いをしているという話だからだ。

時間がかかればフォンターナ家にとってもデメリットが大きい。

勝ち戦の勢いのままにフォンターナの街へ突撃しようという意見もあったが、さすがに戦いに関してド素人の集まりで攻城戦はむりだろう。

甚大な被害が出てしまうだろうからな。

ならば、ここからは持久戦を目指すのもありだと思う。

相手がじれたところで捕虜の返還を理由に交渉のテーブルにつくことはできないだろうか。

そうだ、おっさんに頼んで他の村にも俺たちの正当性と勝利の話を広めさせよう。

そう決めた俺はおっさんの持つ商人ネットワークに働きかけながら、300人に増えた人数で川北の陣地を改良していくことにしたのだった。

※ ※ ※

城を建てる。

その目的は俺達の身を守ることにあるが、最終的な目的はフォンターナ家との交渉のテーブルにつくことにある。

今回の騒動の一番の目的は俺の身の安全であり、また、自由を得ることにある。

別にフォンターナ家という貴族を根絶やしにして、この地を焼け野原にしたり、自分のものにしたいわけではない。

もし仮に領地を奪い取ったとしてもそれを維持できないだろうしな。

なにせ俺の周りはまともに字も書けないやつばかりだからだ。

だが、ただの農民Aという存在では貴族にとっては交渉するような相手にも映らない。

だからこそ、今回の戦いで勝利を掴んで敵にするにはなかなか危険なやつだ、と思って貰う必要があった。

しかし、現状では野戦に一度勝利しただけで戦力差は大きい。

なので、さらにバルカを相手にするのはまずいのではないか、と思わせなければならない。

そこで、そのアピールのためにも城を造りたいのだ。

「と、いうわけだ。相手がその姿に恐怖し、かつ、きちんとした防衛力のある城が造りたい。ものづくりはお前の 十八番(おはこ) だろ、グラン」

「いやはや、拙者、まさかこんな日が来るとは思いもしていなかったでござるよ、アルス殿」

「なんだ? 造れないのか?」

「なにを言うでござるか。造り手にとって城造りをするのは子供の時からの夢のようなものでござるよ。これまで、何度城を造ることを考えてきたのかわからないくらいでござる」

「……つまり、城の設計をしたことはないってことになるのか。大丈夫か?」

「これまでは機会がなかっただけでござるよ。アルス殿のように勝手に城壁を建てるような狂人はいないでござるからな」

「……お前、俺のこと馬鹿にしてるよね? てか、もしかして俺のところに来たのもそれが狙いだったりするのか」

「それだけではござらんが、まあ、理由のひとつではあったのでござるよ」

「……まあ、いいか。俺は土地の整地をしたり、壁を作ったりはできても、建物を建てるのは苦手だからな。お前だけが頼りだ。頼むぜ、グラン」

「心得た。貴族がみても驚く立派な城を造ってみせるでござるよ、アルス殿」

俺が思っていたよりも意外とちゃっかりしている面があったグラン。

だが、こいつに建築技術があるのは以前家を建ててもらったことからも知っている。

俺はグランとあーだこーだと意見を交わしながら、城の建築について話し始めたのだった。