軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

連携戦闘

「攻撃します。ご注意を」

「了解、アイ」

迷宮内で鉄の騎士を相手に戦う。

今は、盾持ちが二体と槍持ちが一体という三体構成の鉄の騎士が目の前にいた。

盾を構えてこちらの動きを牽制しつつ、その盾の隙間を通すようにして槍や剣での攻撃を繰り出してくる相手にたいして、こちらは僕とアイの二人でその対処に追われていた。

アイの手に握られる魔銃から魔弾が発射される。

三連続で引き金を引いたことで、魔弾が三つ放たれた。

その高速で飛翔する小さな弾が盾と盾の間をすり抜けるようにして、後方にいた槍持ちの頭部に命中する。

ガチンと大きな音がして、槍持ちの鎧の兜が吹き飛び、地面へと落ちた。

それだけで機能を停止するわけではないが、少しの間の時間を稼ぐことに成功する。

その間に、僕は盾持ちへと向かっていった。

自分の体のほかにも体を守るために着ている鎧にも魔力を送る。

その魔力の効果によって、鬼鎧の性能がさらに強化された。

防御力だけではなく、僕の身体能力までもが大幅に向上し、走り寄る速度が増した。

だが、その僕を追い抜く形で再び魔弾が空を切る。

先ほどの三連射の直後に、アイはもう次発を発射していたようだ。

その魔弾の攻撃を防ぐために、盾持ちの二体は腰を落として体の前方に大型の盾を構えた。

どうやら、盾を魔弾が貫通することはないようだ。

いや、もしかしたら盾だけの性能であれば魔弾は貫通する力もあるのかもしれない。

それが通じないのはひとえに鉄の騎士の力量なんだろう。

魔弾が命中する角度を考慮して、わずかに盾を構える角度を変えているのだ。

その結果、盾に命中した魔弾は貫通することなく、横へと進路をずらされているようだった。

キンッという音がして、盾持ちの左右に分かれて飛んでいく魔弾。

だが、その攻撃は決して無意味ではなかった。

魔弾による攻撃に注意がそらされた鉄の騎士に硬牙剣が襲い掛かる。

高めた身体能力で盾の横からスッと差し出すようにして突きを放つ。

その結果、一体の盾持ちの肩関節を破壊し、盾を持てない状態へと陥らせた。

あわてて、もう片方が肩を破壊された鉄の騎士のことを助けようとする。

が、それは悪手だ。

なぜなら、僕に向かって盾を突き出して弾き飛ばそうとしたことで、アイへの意識がそれてしまったからだ。

アイはその動きを冷静に観察し、そしてすでに魔銃の引き金を引いていた。

音もなく発射された魔弾が警戒の薄れた盾持ちへと命中する。

胴体部分の、しかも、魔石があるであろう弱点部分に命中したその魔弾は、鉄の鎧を貫通して魔石を撃ち砕くことに成功。

その間に、僕は後方で動き出した頭のない槍持ちへと向かっていた。

まだ、もう一方の肩を壊しただけの鉄の騎士は動ける。

しかし、そちらの相手はアイに任せておけばいいだろう。

自分の背中のことはもっとも信頼できる最高の相棒に預けて、槍持ちと対峙した。

どうやら頭部がなくともこちらの動きを認識して行動できるらしい。

駆け寄っていく僕にたいしてその槍を正確に突き出してきた。

だが、もう何度も見たその槍捌きへの対処は問題なくできる。

高速で動きつつも、周囲の状況をゆっくりと認識し、それにあわせて自分の体を動かしていく。

僕の胴体を狙って差し出された鉄の槍を相手に向かって走りながら、わずかに捻りを入れることで躱す。

そうして相手との距離を縮めたところで、剣をさっと振った。

大ぶりの剣ではなく、相手の肘関節だけを狙って最小の動きでの攻撃。

その攻撃を腕を伸ばし切ったままの鉄の騎士は避けることができず、肘の部分で切断される。

結果、その手に持っていた槍ごと、前腕が吹っ飛んでいった。

「もう一回」

その飛んでいく腕の動きを見ながらも、さらに攻撃を加える。

両手で握った硬牙剣で連撃を仕掛けて、槍を手放してしまった槍持ちを機能停止へと追い込んだ。

どうやら、その間にもう片方も終わっていたようだ。

僕が槍持ちへと駆け寄ったことで、先に倒された盾持ちと同様に僕へと注意が向いたもう片方の盾持ちへとアイが攻撃していたようだ。

その結果、体全体を覆うほどの大型の盾を持った鉄の騎士は、盾のない背中側から胴体内部の魔石を撃ち砕かれてしまっていた。

「ふう。お疲れ様、アイ」

「お怪我はありませんか、アルフォンス様?」

「もちろん。傷一つだってないよ。やっぱり、アイと一緒に戦うと楽だね。安心して背中を任せられるから助かるよ」

「光栄です」

一人で盾持ちの鉄の騎士を倒したあの後も、僕たちはずっと迷宮内に籠っていた。

そして、その間、ここらに出る魔装兵を相手に戦い続けていた。

基本的には僕一人で戦っていたのだけれど、こうして鉄の騎士が複数で現れた時にはアイも参戦してくれていたのだ。

狙ったところを正確に撃ち抜くアイの魔銃の腕はすごかった。

魔装兵相手に剣で近接戦闘しているところでも、味方の僕に当てることなく魔装兵だけにバンバンと命中させていたからだ。

そんなアイの援護もあり、十日以上も特に怪我もなく、この迷宮内で戦い続けることができていた。

「……けど、いい加減、一回帰ろうか」

「もうよろしいのですか?」

「うん。だってさ、かなり汚れちゃったからね。さすがにずっとこんな穴の中で動き回ってたらきれいではいられないよ」

食料はまだある。

魔法鞄の中には缶詰なんかがまだ残っている。

だけど、さすがに汚れが気になっていた。

こういうときに、生活魔法があればいいのになと思ってしまう。

とくに生活魔法の【洗浄】があれば、体や服についた汚れなんて一瞬できれいにできるのに。

だけど、僕は【洗浄】を使えない。

なぜなら、まだ僕が5歳だからだ。

生活魔法を使えるようになるためには、6歳になる年に教会で洗礼式を受けなければならない。

まだその儀式を受けていない僕には魔法が使えないというわけだ。

けれど、それももうすぐ終わる。

もうすぐ年が明けるからだ。

来年になれば、僕も6歳になる。

そうすれば、魔法が使えるようになるのだから。

そのためにはこの迷宮に籠り続けているわけにもいかない。

教会のあるフォンターナ連合王国に帰らないといけない。

こうして、複数の鉄の騎士を倒すことに成功した僕たちは、長い迷宮滞在を終えて外に出ることにしたのだった。