軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最初にやるべきこと

「それで、どうやったら強くなれるの? もしかして、アイが剣の使い方でも教えてくれるの?」

「それもいいでしょう。ですが、剣術よりも先に学ばねばならないことがあります。それがなにかわかりますか、アルフォンス様?」

僕の教育係になったアイ。

そのアイにさっそく質問をする。

強くなれるのならなんだってやると言ったけど、何をするのか分からなかったから。

剣でも教えてくれるのかな?

そう思ったが、どうやら違うようだ。

けど、先に学ぶことなんて言われてもわからない。

しばらく考えても分からなかったから、僕は首を横に振るしかなかった。

「わかりませんか? それでは、お答えしましょう。アルフォンス様がまず学ぶべきことは、魔力の扱い方、です」

「魔力の扱い方?」

「はい。それこそが一番重要なのですよ、アルフォンス様」

「え、でもさ、それなら魔力の増やし方を覚えたほうがいいんじゃないの? だって、そうでしょ。僕だって魔力が多ければクレマンたちに負けないんだから。魔力が多いほど強いんだって皆言っているよ?」

そうだ。

僕が負けたのはクレマンたちよりも魔力が少なかったからだ。

あいつらは貴族院に通う子どもたち。

つまり、この国の貴族や騎士の子どもなんだ。

ブリリア魔導国の王族であるシャルル様と比べれば魔力量は少ないけど、僕と比べれば圧倒的に多い。

だからこそ、あいつらに僕は手も足も出なかった。

だったら、魔力量を上げることが強くなる一番重要なことなんじゃないのだろうか?

「いいえ、違います。アルフォンス様の兄であるアルス・バルカ様も同じことを仰るでしょう。アルフォンス様が学ばねばならないことは魔力の扱い方である、と」

「兄さんが? 本当に?」

「もちろんです。なぜなら、かつてアルス・バルカ様が書き記した書物にも書いているからです。それをアイはすべて記憶し、理解しております。そうですね。さしずめ、これからアイが教えるのは、バルカ式訓練法とでも言うものでしょうか」

バルカ式訓練法?

すごい。

あのアルス兄さんが考えて、バイト兄さんなんかもその訓練法で強くなったらしい。

だったら、絶対に間違いないはずだ。

やろう。

その、バルカ式訓練法で強くなる。

僕はその訓練法について、アイにもっと教えてもらうことにしたのだった。

※ ※ ※

「いいですか、アルフォンス様。そもそも、魔力の量というのは、強さの要因の一つでしかありません。魔力が多ければ強いのは間違いありません。けれど、魔力が多ければ必ず勝てるというわけではないのです」

「あ、それ聞いたことあるよ。アルス兄さんが言ってた。相手と同じ魔力量だったら、アルス兄さんは自分が勝つ自信があるって聞いたことがある」

「そうですね。それはおそらく間違いないでしょう。アルス・バルカ様はそういう人ですから。では、質問です。なぜ、アルス・バルカ様は同じ魔力量の相手と戦って勝てるのでしょうか? わかりますか?」

「うーんとね、強いから。アルス兄さんは誰にも負けないくらい強いから勝つんだよ」

「……ふふ。そうですね。本質的にはそれで間違いありません。では、質問を変えましょう。なぜ、アルス・バルカ様は強いのでしょうか?」

「えっとね、魔力が多いでしょ。それに、いっぱい魔法が使えるから。あとね、剣も使えるし、……そうだ、ヴァルキリーもいるから強いんだよ」

「はい、そうですね。今、アルフォンス様が言ったことはすべて正しいでしょう。アルス・バルカ様が強いのは魔力量のことだけではありませんね? いろんな要素が関わっていて、それらが秀でているからこそ強いのです。それはわかりますか?」

「あ、そっか。魔力量だけが重要じゃないってそういうことか……」

「そのとおりです。アルス・バルカ様は非常に多才な方でございます。そして、それらはどれも一朝一夕に身についたものではありません。どれも、長い時間をかけて訓練してきたからこそなのですよ」

「え、でも、さっきアイはこう言っていなかった? 一番重要なのは魔力の扱い方だって」

「そうです。まさにそのとおりです。これから、アルフォンス様に強くなっていただくには、いろんなことを訓練していただかねばなりません。ですが、それをするためにはどうしても身に着けなければならないことがございます」

「それが魔力の使い方ってこと?」

「はい。正確には体から発生する魔力を体内に留める技術です。人というものは常に魔力が体外へと霧散してしまっています。それを抑える術を身に着けていただきます。いわゆる【瞑想】ですね」

え、それってバルカの魔法じゃないの?

アイは僕が強くなるためにはまず【瞑想】ができるようにならないといけないと言ってきた。

魔法を自分で使うの?

僕はアイが言いたいことがまだ今ひとつ分からなかった。

だから、その後にも続くアイの説明を必死に聞くことにしたのだった。