作品タイトル不明
アルス・バルカ
アルス・バルカ(ガロード暦前14年−???)
バルカはドーレン語で辺境、あるいは僻地の意味。
命名はバルカ村の教会に務めていた当時神父であったパウロによる(後のパウロ教皇)。
その名のため、「辺境のアルス」といった作劇などが多く作られている。
ドーレン王国フォンターナ領バルカ村で生を受けたアルス・バルカはその後数々の功績を上げ立身出世を繰り返し王になり、後に神格化された。
現在は聖光教会の第二級神、あるいはバルカ神教の主神として崇められている。
また、実在が確認されている神であり、現人神でもある。
豊穣と破壊を司る神であり、その他にも建築、芸術、学問の神としても知られている。
生涯
・少年期
ドーレン王国フォンターナ領のバルカ村で父アッシラと母マリーの第三子として生まれた。
幼少時より早熟の天才として知られていたようで、3歳ですでに農作業をしていた話が残っている。
リリーナが残した「天空王アルス・バルカの生涯」によると5歳になった時点で独自の魔法を創造していたと記載が残っている。
また、「バルカ軍における兵の訓練の手引書」や「魔力向上指南書」には幼少期にすでに魔力量向上や質の向上の手法、そして魔法創造の確立を行っていたことが示唆されている。
・騎士家当主期
アルスが9歳の際、バルカ村を治めるフォンターナ家と戦闘が勃発。
原因は様々な説があるが、この数年前にはすでにバルカ村でアルスによる土地の支配が始まっていたようで統治権をかけた争いが起こったものと考えられている。
この「バルカの動乱」により、フォンターナ軍を率いた当時のフォンターナ家家宰レイモンド・フォン・バルバロスを討ち取る戦果を上げている。
そして、この戦いによってその才をフォンターナ家当主であったカルロス・ド・フォンターナに認められ、当時でも異例の騎士叙任が行われた。
これにより、バルカ村とその南西にあるリンダ村の2村を治めるバルカ騎士家が創設された。
騎士アルスはその後、カルロス・ド・フォンターナと良好な関係を築き、カルロスとは異母姉弟にあたるリリーナと結婚。
その後はフォンターナの騎士として、数々の戦争に参加した。
アインラッドの丘争奪戦やパラメア水上要塞の水攻め、黒焔包囲網の戦いなど、後世でも高い評価を受ける戦闘がこの時期に行われている。
・フォンターナ独立期
ガロード暦前2年にフォンターナ家当主のカルロスがドーレン王とともに暗殺される。
これを機に、当時一騎士でしかなかったアルスはフォンターナ家の実権を握ることに成功した。
カルロスの嫡子であり、その死後にフォンターナ家当主となったガロードを庇護し、その後見人として尽力する。
後見人となった2年後、フォンターナ家はドーレン王家から完全に独立し、フォンターナ王国となった。
その際、アルスはフォンターナ家の宰相兼大将軍に就任している。
また、バルカ家はフォンターナ王から貴族と認められ、フォンターナ王国の侯爵位を賜っている。
フォンターナ王国の実権を握ったアルスはその後も周辺勢力の併合に力を入れる。
また、この当時、通常では戦闘が行われない冬時期によく軍を動かしており、冬将軍などと呼ばれていた。
この時期の前後では祖王カルロスの弔い合戦として行われたパーシバル領迷宮街への急襲や、ルービッチ・エルメス・ブーティカといった南部三貴族家への侵攻が有名。
また、フォンターナ軍の軍政改革が行われたのもこの時期である。
当時の軍は貴族や騎士が農民を引き連れて戦うことが主であったが、工兵・騎兵・通信兵・偵察兵・衛生兵などの兵科を分け、それを機動的に使うことでフォンターナ軍は無類の強さを誇った。
この軍政改革はその後の軍事史に大きな影響を与えており、現行の軍で影響を受けていないものはないと言われている。
また、アルスやその弟であるカイル・リードがよく用いた包囲殲滅戦は軍事的芸術性の高い戦術であると評価されている。
そのほか、この当時に出現した発明品の多さも特記されるべきものである。
世界初の大規模な銀行であるバルカ銀行(後の世界銀行)や正確な暦、あるいは時刻を示すガロード暦などがそれに当たる。
また、ガロード暦2−3年に東方遠征が行われた。
大雪山(あるいは霊峰)を踏破して東の世界に到達するという偉業を達成し、ブリリア魔導国と交易を結ぶことに成功する。
これは当時全く交流のなかった西と東がつながりを持つことになり、その後の世界史に多大な影響を与えた。
・神界期
ガロード暦3年に神敵ナージャを討ち取る。
ナージャはドーレン王家の大魔法【裁きの光】を用いて幾多もの貴族領を手中にし、そして聖光教会の総本山である聖都までもを消滅させた。
このナージャの行動によって、聖都にて封印されていた不死者の王も復活しており、この両者を討滅したことで、その後の神界とアルスに関係ができあがった。
また、パウロがこの事件をきっかけに教皇に就任し、アルスは神の盾となった。
神の盾アルスは神界で神から得た知識をもとに、天界を創出した。
その結果、旧バルカ村でありバルカ領の領都であったバルカニアは天空都市へと変貌した。
ガロード暦4年にはカイルとともに聖都跡地を中心とした広範な地域への領土獲得戦争へと従事した。
その際、聖都跡地も天空へと移動させ、天空霊園としている。
その翌5年には覇権貴族であったラインザッツ家を滅ぼし、フォンターナ王国のさらなる躍進へと導いている。
また、この功績により、ドーレン王に匹敵する天空王という一代限りの王位をフォンターナ王家から賜る。
これにより、天界バルカニアと天空霊園を国土とした天空王国の王となった。
・神格化
天空王となったアルスはそれまでの動きから一転して、表舞台への出現頻度が減った。
これは天空王国が鎖国したためによる。
天空王国に設置されていた転送魔法陣のほとんどが撤去され、バルカニアとは別に作られた出島でのみ、外部と交流を持つようになった。
出島からバルカニア、あるいは天空霊園へは魔導飛行船でしか行き来できず、入国には厳しい検査が行われた。
その後、バルカ銀行を聖光教会へと奉納した。
神の巫女アイを各地に点在する教会へと配置し、銀行業務を教会が担うことになった。
この功績により、聖光教会では天空王アルスを神の一柱であると認定し、主神に次ぐ第二級神として列せられることになる。
さらに後年には、ブリリア魔導国へと留学していたバルカ兄弟最後の一人のアルフォンス・バルカが小国家群に存在したオリエント国を乗っ取る形でバルカ国を興した。
このバルカ国は小国家群を併呑し、教国と対立した際に、新たな国教としてバリアント地方で広がっていたバルカ神教を導入した。
このバルカ神教ではアルスを主神として祀っている。
また、アルフォンスによる拡大路線により、バルカ国はバルカ帝国となり、ブリリア魔導国を含めた東方世界の大部分を国土に入れ、その後、大雪山地下に長大な坑道を作りフォンターナ連合王国に侵攻した。
これにより、フォンターナ連合王国は滅亡し、バルカ帝国の最盛期を迎える。
このバルカ帝国の影響により、現在はバルカ神教の信者数が聖光教会よりも多くなり、神の序列についてはたびたび議論が巻き起こっている。
人物・評価
アルスは幼少期より数多くの戦に出て、全戦全勝で負けがない。
また、包囲殲滅戦を得意としており、対立した相手はことごとくが大敗しており、死傷者の数は膨大なものとなっていた。
そのため、後世の物語などでは苛烈な人物であると言われることがある。
ただし、政治面では非常に安定した統治を行ったという評価もある。
とくにドーレン王国を襲った大規模地震における対策は今日の災害時対策法の基礎となっている。
そのため、非常に情の厚い人物であると評されることもある。
また、力を持ちつつも自らを認め、取り立てた主君であるカルロスに対しては常に敬った行動を取り続けたことでも有名。
そのため、騎士時代のアルスは騎士の鑑であると評されることもある。
また、そのアルスの才覚を認めて引き立てたカルロスは名君であると高く評価される要因になっているとも言われている。
世界史として見ると、アルスの誕生前後で世界が変わった。
アルスの登場を境として、世界人口が大きく変動したことがその理由であり、特に東方遠征を成功させ、東方にアルスの魔法がもたらされたことにより人口爆発が起こった。
そのため、アルス誕生は歴史の転換点と言われることもある。
また、それまで未踏の地が多かったが、人類の生存圏が拡大したことも大きな影響を与えている。
天空王国では成立早期に世界地図が完成していたとされ、この星の地表はすべてアルスの把握するところになったと言われている。
逸話
アルスは非常に愛妻家として有名である。
妻であるリリーナへは結婚当初から詩を贈り続けており、その詩集は膨大な量となっている。
バルカ帝国に寄贈されたその詩集の一部だけでも図書館3棟を埋め尽くしているほどである。
豊穣と破壊の神アルス・バルカの隣には常に知識と氷の神カイザーヴァルキリーがついている。
このカイザーヴァルキリーはアルスの魔力によって生まれた使役獣であり、ヴァルキリーの祖でもある。
バルカ帝国はこのヴァルキリーを用いて、覇業を成し遂げた。
しかし、第33代皇帝時代にバルカ帝国に滅ぼされた旧ラダー国の末裔の姫キャサリンの使役獣グラナダによって、地上にいたヴァルキリーの大部分が殺されたことでバルカ帝国の力は激減し、帝国崩壊へと進んでいった。
後年、探検家ビブリオがアルスへと謁見した際にグラナダ事件のことを尋ねると、「嫌な事件だったね」と答えたという。
登場作品
「天空王アルス・バルカの生涯」 リリーナ著・31年
「辺境のアルス」 プリアント・ピクシー著・551年
「天空を統べる王にして神」 ガンダルブ著・1894年
「バルカ成り上がり物語」 ヘンデルセン著・1998年
「フォンターナ建国史」 グレアム・イリス著・2133年
他多数