軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新航空戦力の投入

「バイト兄、前線での指揮は任せた」

「おう、任せろ、アルス。お前はリゾルテ王国軍の竜騎士部隊を相手にする。俺はほかの地上にいる奴らが担当、ってことでいいんだよな?」

「ああ、それでいいよ」

「……大丈夫なんだな?」

「大丈夫だよ、たぶんね。それより、向こうも動きそうだ、気を引き締めていこう」

「了解だ」

こちらの忠告をはねのけてきたリゾルテ王国軍。

向こうにはなにか狙いがあるのだろうか?

こちらに勝てるという勝算があるのか。

それとも、ここで戦うべき理由があるのか。

いまひとつ、向こうが引かない理由というのがよくわからなかった。

ただ、相手の真意は定かではないがなんとなくの推測は可能だ。

向こうが引かない可能性の一つとしては、やはりリゾルテ王国も同盟を組んでいるこちらを完全な味方であるとは思っていないということなのだろう。

カイルが王都連合軍に圧勝し、王都から北の勢力図が大きく変動する可能性は高い。

その上で、西のラインザッツ領を持っていかれたら、どれほどリゾルテ王国が南で勢力があるとはいえ危ないと考えているのかもしれない。

ここでみすみすリード領の勢力拡大を放置しておいては、のちの禍根となり得る。

そう思ったからこそ、無理にでもラインザッツ領を奪っておきたいと考えている可能性は当然ある。

だが、そのほかの可能性として純粋に自分たちの実力に自信があるのかもしれない。

その根拠が最強と名高い竜騎士部隊の存在だ。

空を飛べるという他ではない戦力を持っていることが大きいと思っているのだろう。

特に、ラジオで聞いたバルカの魔銃や全騎兵構成、カイルの植物による攻撃は地上でこそ力を発揮するものだった。

ラジオ放送を聞いていたからこそ、いけると判断しているのではないだろうか。

「まあ、航空戦力を持っているのは向こうだけじゃないんだけどね」

そして、その推測はおそらくは正しいのだろう。

ライン川のほとりに布陣していたリゾルテ王国軍はバルカ軍の動きを確認してから、飛竜たちが飛び立った。

その竜騎士部隊はすべてがまとまって行動するのではなく、広い範囲に広がるように空を翔ける。

おそらくは、地上での戦いに対して空から援護射撃をするのが目的ではないだろうか。

それに対してこちらがとり得る対策は限られている。

空を飛ぶ相手に対処するなら俺が空絶剣を振るうのもありだろう。

だが、空絶剣による遠距離の斬撃攻撃は思った以上に魔力を消費する。

ラインザッツ軍のように20数人程度の当主級を倒すくらいであればなんとかなるが、300以上いる竜騎士部隊を一匹ずつ相手にするのは骨が折れる。

それにリゾルテ王国の竜騎士部隊はここにいるものがすべてではない。

今後敵対する可能性も考えて、他の方法が通用するかも確認する必要がある。

だが、魔導飛行船や飛行船、あるいは気球などは航空戦力として期待しすぎるのはあまり良くないだろう。

魔導飛行船は上空を高く飛べるが戦闘用ではないし、飛行船や気球などは炎鉱石の炎で熱した空気で浮かべているだけで移動は風まかせであり速度が出ない。

飛竜を前にしたらすぐに撃ち落とされてしまうに違いない。

きっとこのことをリゾルテ王国も把握しているのではないかと思う。

俺が今まで戦で使った航空戦力の使用法としては上空に飛ばして、上から物を落とすというものばかりだった。

必殺戦法として用いた飛行船からの魔装兵器落としなどはもちろん強力だが、あくまでも城攻めなどに高い効果を発揮するもので、空を飛ぶ飛竜に対しては効果的ではないかもしれない。

そう思っているからこそ、こちらと戦うという選択をとったのだろう。

「行け。竜騎士部隊を撃ち落としてこい」

だが、そんなことはこちらも重々把握している。

他の多くの貴族家が持たない航空戦力という反則的なものをバルカ以外にもリゾルテ王国が持っていることは当然知っていた。

そして、もしかしたらいつの日かリゾルテ王国と戦いに発展し、竜騎士部隊を相手にする可能性も考えていた。

高速で空を飛び、飛竜の背に乗った騎士たちが魔法による攻撃をしてくる。

それを相手に互角以上に戦うための方法。

ついでに言えば、それは俺がいない状況であっても使えるほうが望ましい。

そう考えると、人を運ぶことを目的に作った魔導飛行船ではなく、純粋に航空戦力となり得る戦闘機のようなものでも作るべきかとも考えたことがあった。

だが、それもちょっと考えものだった。

空の上にあるバルカニアは非常に高度が高い場所に浮いている。

確認したわけではないが、飛竜は空を飛べるとは言えそこまで上空に飛び上がることはできないらしい。

つまり、飛竜に乗るリゾルテ王国軍がその背に乗ってバルカニアまで飛んでくることはない。

なので、なんとなく戦闘機のような物を量産して、将来バルカニアが攻められるような可能性を作りたくなかった。

そこで、ずっと考えていたことがある。

リゾルテ王国の竜騎士部隊を相手にする航空戦力を持ちつつも、バルカ以外の他勢力にその航空戦力を使われてしまう可能性を低く抑えるという美味しいとこ取りができないかどうか。

それがつい最近になって可能になった。

新たな航空戦力をいきなりの実戦投入になるが、ここで竜騎士部隊相手に戦えるか検証してみよう。

俺の命令によって発進し、飛んでいる飛竜たちに目掛けて進んでいく新戦力の成果を見届けようと空を見上げたのだった。