軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

降伏と受け入れ

「返答が遅れて申し訳ありません、アルス・バルカ様。我々ハマン家は今後フォンターナ王国に臣従いたします」

「そう考えているのであればもっと早くその言葉が聞きたかったよ。ちょっと遅かったね」

「申し訳ありません。ご覧の通り、頭の固い者たちを排除して、ハマン家の意見を統一するのに時間がかかったのです。どうかご容赦を」

ハマンの街を攻略した。

アトモスの戦士たちが守りの要の壁に橋を架けるように足場を設置し、そこをサラディア家の連中が中心になって突入していった。

それにより、あっという間に防御を突破され、城門を開かれたことでハマン家の敗北は確実になった。

が、そうなってからハマン家は降伏し、こちらに臣従すると言ってきたのだ。

どうやら、ハマン家のなかでも意見が割れていたらしい。

バルカ軍対ラインザッツ軍での戦いをラジオで聞いて、これは降参すべきだという意見の者もいれば、それでもラインザッツ家とともにあるべしと考える者もいた。

その意見の不一致によって動きが遅れてしまったのだという。

しかし、こちらとしては急いでいるのでゆっくりと意見の一致を待っているわけにもいかない。

なので、こうして戦いに発展し、ハマン家はその領都を攻略されてしまった。

それを見て、さすがにどうしようも無いと判断したのだろう。

ハマン家の中の反フォンターナ派を全員拘束して、フォンターナ派の者たちが投降してきたというわけだ。

こちらに反対する者の身はどうなってもいいから許してくれということだろう。

「このような都合のいい主張は聞く必要がありませんぞ、バルカ殿。負けが確定してからの臣従などあまりに遅すぎる。ハマン家の連中は全員処罰するべきでしょう」

「いえ、その必要はありません。ハマン家が本当にこちらにつくというのであれば、私はそれを認めようと思います」

「本気ですか? 彼らはバルカ殿の忠告を無視して戦いを選んだのですよ?」

「そうですね。ですので、サラディア家と同じ扱いにはならないでしょう。領地も減るかもしれません。が、それでもいいとハマン家が認めるのであれば許しましょう。もちろん、これからは我々と一緒に戦ってもらいます。いかがですか?」

「も、もちろんです。我らハマン家の行動をお許しいただけるのであれば、これからフォンターナのために必ずやお役に立ってみせましょう。ぜひ、ともに戦わせてください」

「わかりました。では、反フォンターナ派を排除し、あらたにハマン家をまとめる者を選ぶ必要があります。その選定について、ビラン殿も交えて協議することにしましょうか」

このへんの判断はなかなかに難しいところだ。

こちらに対して従わない者はすべて許さない、としたほうが感情面で言えばわかりやすい。

が、それは逆に反発を招きかねないという危険性があった。

一度敵対して戦った者でも許して、そいつらにも活躍の場を与えて働かせる。

それをハマン家というラインザッツ家の中でも比較的存在感のある貴族家に対して実際にやることによって、味方を増やしやすくなるのではないかというのが今回の判断の狙いだった。

こうすることによって、少しでもラインザッツ家を見限ってこちらにつく者が出れば御の字と言うところだろう。

これはいわゆるスピード重視のやり方だ。

リゾルテ王国という存在がなければしていなかったかもしれない。

が、現実にはリゾルテ王国も動いている以上、じっくりと反対勢力をあぶり出して潰すという時間をとるわけにもいかない。

どんな状況であれ、こちらにつくというのであればそれを認めて取り込んでしまうことにする。

まあ、これは諸刃の剣でもあるかと思う。

実際には、今回降伏してきたハマン家も、あるいは先に寝返ったサラディア家もこちらにいい感情があるわけではないだろう。

なにせ、バルカ軍対ラインザッツ軍の戦いですでに多くの命が失われているのだ。

それをしたのは紛れもなくバルカの軍であり、彼らにとっては大切な者の命を奪った相手でもある。

許しをこうために頭を垂れたものの、内心では苦々しく思っていることだろう。

そんな連中をある程度勢力を残したまま取り込むというのは、危険も大きい。

領地を切り取った後も、火種としてくすぶり続けるかもしれないのだから。

だが、それを許容して臣従を許可することにした。

まあ、後の面倒は俺が負うものでもないしな。

彼らが仕えることになるのは、実際はリード家なのだ。

つまり、この戦いが終わってしまえば、すべての苦労はリード家の当主のカイルが背負うことになる。

心のうちに不満を抱えて下についた連中をうまく捌いて領地経営を頑張ってくれ、カイル。

こうして、あとのことはすべて優秀な弟にぶん投げるつもりで、俺はハマン家を許し、受け入れることにした。

このことは結果論として割と正解だったようだ。

それまでは、ハマン家と同じようにフォンターナに従うか迷っていたいくつかの小さな家が次々と頭を下げに来て、お家存続を願いながらこちらにつくと言ってきたのだった。

その結果、ハマン家や他の少勢力を含めて、ラインザッツ領の中でも東側にあるいくつもの領地をリード領として確保することに成功したのだった。