軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

区画整理

「グランの家を建てるなら、俺もそろそろ引っ越そうかな」

グランの発言を聞いてから、俺は自分の居住地についても考えるようになった。

俺は今もまだ村にある実家が基本的な住居となっているのだ。

もちろん、拠点にある宿屋の建物に泊まることもあるのだが、母が実家で手料理を作って待ってくれているため、あくまでも寝床程度の認識だった。

だが、住居について状況が変わってきた。

最近、俺の一番上の兄が結婚したのだ。

もともとは家族内の優先順位は父が一番高く、ついで長男から順番にしたに下がっていく。

だが、長男が結婚したことでその状況が変わってくることが予想できる。

この世界では子どもが結婚したと言っても、前世のように親と別れて暮らすことは少ない。

特に長男は新たな家族とともに現在の家と土地を受け継いで暮らしていき、父が亡くなれば新たなトップとして君臨することになる。

その場合、家庭内の序列は長男が一番で、次は長男の子どもの順になるため、俺やバイト兄のような兄弟は結婚せずに家にいれば半分奴隷のような居候扱いとなってしまうのだ。

家族のみんなとの関係が険悪であるといったことはないのだが、さすがに長男の下について一生を過ごす気にはならない。

であれば、ここらでひとつ独立してみることもやぶさかではない。

俺はグランの話を聞いてから、そう考えるようになったのだった。

「よし、決めた。引っ越し開始だ」

いろいろと考えた結果、俺は家を出て暮らすことにしたのだった。

※ ※ ※

実家を出て生活していく。

そうなると俺の場合は当然開拓地に住むことになる。

だが、単に拠点の家に引っ越すということにはならなかった。

どうせなら開拓地をもう少し整備してみようかと思ったからだ。

現在、開拓地は生まれ育った村の北側にある。

もともとあった北の森を切り開き、その土地に4km四方をグルリと壁で囲むようにしている。

今までは利便性と最初に建てた隠れ家の位置関係から、俺の拠点は壁の中の土地でも村に近い南の壁のそばにあった。

これを今回の引っ越しを期に、場所を変更することにした。

多少村からの距離は出てしまうが、俺は自分の家を壁の中の土地の中心点にしたのだ。

4km四方に囲まれた土地の中心地にグランが建てた新築の家を作り直した。

作り直しは簡単だ。

グランが作ったオリジナルの家を魔法で記憶して、それを中心地で再現したのだ。

だが、再現する際には建材のレンガを硬化レンガへと変更してみた。

これにより、大理石を切り取って作り上げたかのような家が、開拓地の中心部分に現れたのだった。

そして、この俺の家の周りをグルリと囲むように新たに壁を設置した。

だいたい一辺1kmほどの壁で新居の周りを囲んだのだ。

これも壁を硬化レンガへと変えた。

同じような壁だが、赤茶色のレンガでできた壁と違ってどこか高級感のある立派な壁になったのではないだろうか。

この中心の壁から外壁へと向かい、道路を敷いていく。

東西南北の四方向へ向かって【道路敷設】の呪文を使って道を作っていった。

中心地から南へ向かって、村へと続く道。

この道の東西の土地には畑が広がっている。

そして、道のそばにグランの家を建てた。

というか、グランにこの場所の土地をあげたら、今度は自分で作り始めた。

俺の家とはまた少し違う建築になったのでこれも後で【記憶保存】させてもらうことにする。

この南の道にはバイト兄の家も建てることにした。

こちらは宿屋型の建物を俺がいくつか建築した。

どうやら、バイト兄も俺と同じように家を出る気だったようだ。

だが、俺の土地には来るものの、俺の家には入らないつもりらしい。

バイト兄は自分と仲のいい仲間と同じ宿屋型の家に住み、開拓地の畑で働く人で引っ越しを希望した人に宿屋の部屋を貸していた。

俺の開拓地の北側には森がまだまだ広がっている。

基本的にはまだこれからも開拓を続けていくつもりだ。

だが、北東方向の森は林業による管理地とするつもりだ。

北西方面に開拓を続ける予定にしている。

これにより、マドックさんを始めとした保護林ではたらく人も移住してきた。

外壁内の北東エリアを林業区にして、伐採した木材の管理などを行うことにした。

ちなみに、木炭や鍛冶などを行うには北西エリアを使うようにしようと思ったのだが、現状では無駄に遠いだけになり、北東に置くことにした。

中央区にある俺の家。

ここにはヴァルキリーの厩舎と魔力茸の栽培所がある。

この2つだけは、俺の現金収入には絶対に欠かせないものだからだ。

特に角ありヴァルキリーはここから出さないことにした。

だんだん俺は自分で使役獣の卵を孵化させなくなってきており、もっぱら角ありに孵化させているからだ。

こうして、俺は開拓地の区画整理をすすめていった。

ようやくそれが完成し、引っ越す頃には俺は9歳になっていたのだった。