軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バルカラインという街

新しく作り始めた街であるバルカラインの全体像がようやく固まってきたように思う。

最初は単に魔導列車のための街という感じだった。

東から鉱石やヤギの毛を、西から魔電鋼や米などを集めてそれをフォンターナの街という市場に持ち込むだけの場所の予定だったが、そうではなくなりそうだ。

バルカラインに作った西の海へと行き来できる転送魔法陣。

そこから、海の幸や魔物素材、そして、新種の植物やゴムの原料などをバルカラインへと持ち帰る。

これをバルカラインで加工することはできないだろうか。

原材料を持ち込んで、それを使って加工品を作り上げ、そして、大きな市場となる街へと搬送する。

つまり、このバルカラインにあと必要なのは加工のための工場なのではないだろうか。

少なくとも、せっかく手に入れた貴重な品々をそのままよそに売りつけるだけよりも、更に付加価値をつけて売れるようにしておくほうが利益も出ることだろう。

バルカラインに工場をつくる。

今までバルカを始め、他のどの地でも工場と呼べるものはなかった。

というのも、基本的には仕事は主に各家庭で行われてきたからだ。

多くの農村で各自が麦や野菜を作り、農閑期に内職をする。

街にいる者は各地の農村などから集まった品を手に入れて、工房などで物をつくる。

基本的にはそこ止まりだった。

工場というような大規模でシステマチックに人を管理して共同で何かを作り出すという仕組みが存在しなかったのだ。

だが、バルカだけは少し違う。

工場とは言えないのかもしれないが、似たようなことをする場所があるのだ。

ドレスリーナの街がそうだ。

かつてバルカの動乱時に俺が川北に作った城を再開発して作り上げた服飾の街。

あそこは服に特化した街として俺が作った。

街全体で地震による行き場を失った被災者などを受け入れて、アパートに住まわせて働かせる。

あれは工場の先駆けとなるものだった。

そのドレスリーナの実績を参考にして、バルカラインには工場を作り上げよう。

今なら精霊石を利用した回転機構という便利すぎるものもある。

あれなら、魔法陣を刻んで作り上げた硬化レンガによる動力源となる部品を、自動修復させながら使い続けることができるのだ。

今までにない効率の良さで物を作れるに違いない。

と、思っているのだがあいにくとすぐにどんな工場を作ればいいのかのアイデアがなかった。

西で持ち帰る魔物素材は貴重な品であることは間違いないのだが、その魔物素材を使って何が作れるのかは現在研究中でもある。

ゴム製品はいずれタイヤでも作りたいなと思っているが、まだ気が早いかもしれない。

なので、安直ではあるがここでも前世の記憶を利用させてもらうとしよう。

俺が工場として作ろうと思うのは紡績工場だった。

現在、バルカで手に入る布生地の材料はいくつかある。

ヤギの毛と使役獣である抜け毛鳥から採れるダウンだ。

そして、ありがたいことに最近ではもう一ついいものを手に入れた。

東方でシャーロットと取引しているときに木綿が手に入ったのだ。

コットンとも呼ばれる使いやすいワタが採れる植物が木綿である。

この木綿を栽培するには多量の水が必要になるようだが、アーバレスト地区であれば川が多く水は使いたい放題だ。

バルガスに言って米と一緒に木綿の生産もさせる。

つまり、東からヤギの毛、西から木綿、そして天界からは抜け毛鳥のダウンがバルカラインに送られてくる。

それを工場で効率よく紡績し、生地を作り上げて、魔導列車でドレスリーナに送り込むのだ。

そのドレスリーナでは街を挙げて服を作り上げる。

そして、その更に南に行けば人の多い市場が待っている。

服というのはなんだかんだといっても、まだ現状では高価なものだったりする。

いい服は当然高価であるのはわかる。

が、一般人が着るためのものもそれなりに高価であり、おいそれとは買えない。

多くの人がいまだに破れたところをツギハギしながら、大切に使い、買うときも古着を買うのが多いのだ。

だが、俺は個人的には衣食住くらいはもう少し環境を整えたいと思っていた。

寒いのは誰だって嫌だからな。

主要な街には吸氷石の像を設置したが、そうではない町や村のほうが多い。

もう少し、安価に服を買えるようにしていきたい。

そのためにも、工場を作ろう。

とりあえず、今ある糸織り機に回転機構をつけて自動で糸を織れるようにしてみようか。

後々にはもっと大きなきちんとした機械でも作りたいが、ひとまずは簡単なものでもいいだろう。

それを使って生地を大量生産しよう。

こうして、バルカラインは列車と製糸と魔物素材がある街として完成されていったのだった。