軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔法回復薬と防具

「すごいでござるな。なぜこんなものがあると先に言っておいてくれなかったのでござるか、アルス殿!」

「いや、聞かれなかったから……。でも、これって別に鍛冶には関係ないだろ?」

「何を言っているのでござるか。この魔力茸は触媒として用いることも多いのでござるよ」

「いや、知らねーし。てか、それなら先に言えよ」

「しかも、こんなにたくさんあるとは……。アルス殿、ここは作り手にとってまさに夢のような場所でござるな」

相変わらず話を聞いてねえな。

まあ、確かに最初は小規模栽培しかできなかった魔力茸だが、今はかなり大規模に栽培を開始して採れる量が増えてきている。

壁で囲んだ俺の土地の一部を魔力茸の栽培スペースに指定して原木の数も増やしているのだ。

どうやら魔力茸は原木に菌を植え込んでから数年間収穫が可能なようだった。

何年も前からコツコツと数を増やし、最近は木こり連中にも協力させているので倍々ゲームのようになってきていたのだ。

「で、この魔力茸も武器づくりに使うのか? どのくらい使うかは知らないけど、あんまり使いすぎても困るぞ」

「逆に聞きたいのでござるが、アルス殿はなぜこんなに魔力茸を保管しているのでござるか?」

「前に魔力補給をしたい時があったからストックしているだけだけど」

「魔力回復薬を作成しているのでござるか? それにしてはそのようなものが見当たらなかったのでござるが……」

「いや、薬の作り方は知らない。干した茸を口に含んで噛み締めながら魔力補給していたんだよ」

「なんともはや……、恐ろしく原始的なやり方でござるな」

「仕方ないだろ。薬なんて作れないんだから」

「それでしたら拙者がつくろうではありませんか」

「え? グランって薬まで作れるのかよ?」

「専門ではござらんが基本的なことなら知っているのでござるよ。触媒に使用するのなら魔力回復薬にしたほうが効率がいいからでござる」

「うーん、それなら頼んでみようかな。俺も見てていいんだろ?」

「何を言っているのでござるか。当然でござるよ。というよりもアルス殿にはぜひ製作を手伝ってもらってものづくりの楽しさを感じてほしいのでござる」

いや、お前の場合は手伝ったらトラウマを植え付けられているようなもんだろ。

グランの腕は良いのではないかと思う。

作ってもらった武器の硬牙剣はなんというか妙な気品と言うか色気を感じる作りだからだ。

ただ単に技術を持っているだけではなく、それなりの格式とかいったものを知っているのだろう。

独学で技術を得たのではなく、どこかちゃんとしたところで修行でもしていたのではないだろうか。

「ま、いいか。よし、ちょっと休んだからまた少し動ける元気は戻ってきたからな。お前は休まなくてもいいのか、グラン?」

「拙者はまだまだいけるでござるよ。さあ、カイル殿も起きるでござる」

「むりだよー、ボクもう動けないんだけど」

「カイルは無理しなくていいよ。けど、休んだらまた戻ってこい。俺が手伝っているところを見てるだけでもいいから」

どうやらグランはカイルのことも気に入っているようだ。

だが、いくらなんでも無理させすぎたら体を壊すだろう。

適当に休ませてやろう。

だが、ずっとグランと2人きりってのは俺もしんどい。

あとで合流してもらおう。

見てるだけでもカイルの勉強になるだろうし。

こうして俺はまたグランとの共同作業を開始したのだった。

※ ※ ※

「魔力回復薬って……、これってお茶みたいだな」

てっきり俺の中のイメージではポーションとかそういうものがあるのかと思っていた。

だが、グランとともに作り上げた魔力回復薬というのはお茶のようなものだった。

お茶と言ってもお茶っ葉を使う普通のお茶ではない。

しいたけのような見た目と味の魔力茸を乾燥させ、適度に煎ってから細かな粉末状にする。

それを暖かいお湯に溶かし込むことでできる魔力回復薬。

一口飲んでみると、それは前世で一度だけ飲んだしいたけ茶のような味をしていたのだった。

「先にアルス殿と木炭を作っておいたのが良かったのでござる。火力が一定の安定した熱を出すことができたので、品質のいい魔力回復薬を作ることができたのでござる」

「これは粉末状にしたままで保管しておくのか?」

「そうでござる」

「それで、この粉末がなにか武器を作るときに触媒になるのか?」

「ああ、それは違うでござる。今回は武器ではなく防具に使うのでござるよ」

「防具?」

「そうでござる。大猪からとれるのはなにも牙だけではないでござろう。大猪の毛皮から革鎧を作るのでござるよ」

「お、革鎧か。いいね」

「毛皮をなめすのに魔力回復薬を使うのでござるよ。魔力回復薬は粉末状ではなくお湯に溶かした状態で使うのですな。何日か毛皮を魔力回復薬に浸すようにしておくのでござるよ」

「わざわざ魔力回復薬を使う必要っていうのは?」

「これも武器のときと同じでござるな。きちんとした触媒を用いて作るとただの革鎧ではなく魔法効果のあるものになるのでござるよ。もっとも牙から作る硬牙剣ほどの効果はないのでござるが、それなりの防御力のある革鎧になるでござるよ」

「いや、十分すごいよ。それにしてもグランは本当にいろんなものが作れるんだな」

「はっはっは、それほどでもないでござるよ」

頭をかきながら謙遜しているが実際すごい。

多少変人ではあるが、すごく多才な人物だ。

もっといろんなことを知っているに違いない。

無理やり悪気なく連日の徹夜に付き合わせることがなければもっといい人だったのに。

だが、この村では絶対にお目にかかれない人物がよくこんなところに来てくれたものだと思う。

俺はこの出会いに感謝しながら、再び数日間の徹夜をしながらほかにもいろいろと作業に付き合わされたのだった。