軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

拠点の無力化

「ワグナー、いるか?」

「はい、ここに」

「ワグナーにはバイト兄の指揮する大隊をつける。それと連携してラージカ家の領都を攻めろ」

「はっ。度重なる援軍感謝します。必ずやラージカ家を攻略してみせます」

「よし。次はブラムス殿、いますか?」

「ここにいます、大将軍殿」

「ブラムス殿はこの地に残った残党を頼みます。偵察兵を使い、周囲に騎士や当主級などが潜伏してこちらを攻撃してこないように処置をお願いします」

「わかりました」

「それと、通信兵。カイルに連絡をとれ。ビルマ領に待機させた別働隊を使って南下して他の貴族領を攻めさせろ。エランス殿にも切り取り自由だと伝えてくれ」

「了解しました」

「あとは、ペイン、いるか?」

「はっ、ここに」

「ペインは調略を頼む。ここゴルゾン平原の合戦での勝利を伝えながら、北部貴族連合に所属している騎士に対して内部工作を仕掛けてくれ」

「騎士に対して、ですか? 貴族家ではなく?」

「そうだ。配下の騎士がいなければ貴族家は力を失う。故に、狙うのは騎士だ。それまでの姓を捨ててこちらにつけば所領安堵であると言ってもいい。ただし、フォンターナ憲章には従うのはもちろんだがな」

「わかりました。各地に調略のための人を出しましょう」

「よし。この合戦ではみんなよく働いてくれた。だが、この勝利を更に意味あるものにするためにも、これからの働きが重要になる。励んでほしい」

北部貴族連合との戦いが終了した。

結果は快勝だ。

こちらは少ない犠牲は出たものの、相手には大きな損害を与えた。

特に上空からの質量攻撃は非常に効果的だった。

あの一撃で、相手の本陣にいたほとんどの者は押しつぶされてしまった。

自分でやっておいてなんだが、ちょっとあんまりにもえげつない攻撃すぎる気もする。

東方でブリリア魔導国が使用している魔導兵器を手に入れて、最初に考えたのがこの攻撃法だった。

なんでシャーロットはこんな物を地上で使っているのかとさえ思ったほどだ。

飛行船からの当主級にすら通用する攻撃方法。

これは今後の戦い方を根本から大きく変える可能性があるからだ。

今回はこの岩落としを相手の本陣に対して使用した。

が、別に攻撃対象はそれだけというわけではない。

というか、真っ先に考えたのが相手の拠点に対して用いるというものだった。

拠点、つまり城だ。

東方ではどうだかはしらないが、こちらではほとんどの貴族領の都市は城塞都市だと聞いている。

まれにメメント家の【竜巻】のように複数人数で使えば城壁など関係なく損害を与えられる魔法もあるようだが、基本的には当主級であってもそこまでの大規模魔法はない。

城塞ごと拠点を攻略できる魔法といったら失われたドーレン王家の大魔法くらいなのではないだろうか。

現在では多くの貴族にとって、城塞で囲まれた城や街は安全な拠点であるという認識が一般的なのだ。

だが、そんな街や城を囲む壁もこの岩落としという攻撃方法の前ではなんの意味もなさなくなる。

なにせ、飛行船で上空につかれて、そこから岩の巨人を落とされたらどんな立派な壁があろうとも無意味なのだ。

しかも、それは自分が寝ているときにでもありえる話だ。

夜、家族とともに城で眠っているところに巨大な岩が落ちてきて生きていられる保証のある者などそうはいないだろう。

つまり、魔導兵器という存在は飛行船と組み合わせて運用することによって、戦いというものを根本から変えてしまう代物だということになる。

ちなみにバルカ城は万が一を考えて、この岩落とし攻撃をされても生き延びられるように硬化レンガで補強を入れたり、地下空間を作ったりとアトモスフィアで改装していたりする。

が、自分がされないようにするためにはこの攻撃を他者ができないようにしたほうがいいだろう。

現状ある魔装兵器は他の人の手には渡らないようにしなければならない。

「ところでリオン。今回勝利したのはいいけど、どこまで領地を狙うのがいいのかな? というか、敗者である北部貴族連合ってのは、誰と話し合いをするのが一番いいんだ?」

「……難しいところですね。北部貴族連合は基本的には防衛のための同盟関係でしかありません。メメント軍の率いる連合軍に襲われた貴族たちが協力して自分たちの領地を守ろうと結成したのであって、完全な意思決定の統一というのはなされていないのではないと思います」

「ということは、それぞれの貴族家と個別の対応をしていく必要があるのか。結構大変そうだな」

「ただ、今回の勝敗について北部貴族連合側にとっては思いもしなかったものであるはずです。13の貴族家で80000の兵を出したということはどこも5000以上を動員したことになります。これは一貴族家としては結構な数ですからね。それがこうも簡単に負けるとは思ってもいないはずです」

「そう言えば、俺が騎士になった頃のフォンターナ領も動員可能兵数は5000くらいだったかな。ウルクやアーバレストは10000を超えていたけど」

「そうですね。一般的な貴族家で数千からそれより少し多くとも1万を少し超えるくらいの兵数が相場です。おそらくは北部貴族連合としては結構な無理をして出した兵力を用いて、フォンターナ軍と一戦交えてから交渉に入るつもりだったのでしょうね」

「そうか。話し合いの前の前座の戦いのつもりだったのが、大敗しちゃったってことね」

「そうです。まあ、つまり何が言いたいのかというと、北部貴族の各領地は兵が出払っていて手薄である、ということですね」

「なるほど。じゃあ、取れるだけとっておくか。リオン、悪いけどフォンターナの街まで転送石で戻って予備役兵を動かしてくれ。西の辺境伯であるイクス家のガーナ殿と協力して進攻をかけろ」

「わかりました。機会を逃さずに動くのは大切ですからね。では、すぐに行ってまいります」

「よろしく頼んだ。気をつけてな」

「ええ。戦果を期待していてください」

魔導兵器の危険性について考えながらも、現実的な問題にも対処を行う。

この戦いの結果をどう着地させるかという問題だ。

だが、相手が交渉するにはバラバラすぎるという問題がある。

であるならば、ひとまずは交渉を目指すのではなく、手の届く範囲で領地の切り取りを行い、後で考えようというかなり場当たり的な方針になった。

もうすぐ秋になる。

そんな季節の変わり目と同時に、フォンターナ王国の国土面積も大きく変動することになったのだった。