軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

森林管理

「マドックさん、俺の仕事を手伝わない?」

木こりの怒りの源流が理解できた俺はしばらく考えた末に、マドックさんにそう言った。

「仕事とはなんのことを言っておるのだ? お主のしておる開拓のことかの?」

「ちょっと違うかな。さっきのマドックさんの話を聞いて考えたんだ。これからは森の管理をしていこうかなって」

「森の管理じゃと?」

「うん。森を愛する木こりたちの不満もなくして、開拓をしたい俺にもメリットのあることって言ったらそれしかないかなって思う。今の自然に任せた森じゃなくて、人が管理する人工的な森を作ろうかと思う」

「待て待て、そんなことができるはずがなかろう。森というのはそういうものではない。自然の力というのは人の力の及ばぬ大いなるものなのじゃ」

俺の言った内容を聞いて即座に反対意見を述べてくるマドックさん。

だが、それほど間違ったことを言っているつもりはない。

というよりも、ただの思いつきではない。

前世での知識がそのほうがいいと結論づけているのだ。

俺の開拓スピードは異常だと自分でも思う。

村の北に広がる森が広大であるとは聞いているが、それがどれほどの広さなのかは村の中で誰も知らない。

奥まで迷い込んだら帰ってくる人がいないと言われているからだ。

だが、俺の魔法とその力を受け継ぐヴァルキリーたちの力を合わせれば、森の広さが大きく減ることになると考えられる。

森林破壊は深刻な環境破壊だ。

大地から木がなくなると、その土地の保水力は激減することになる。

そうすると畑では収穫物が取れなくなるだろうし、雨によって栄養のある土壌がすべてなくなるかもしれない。

ひどい場合には砂漠化する可能性もある。

環境破壊だけの問題にはとどまらない。

環境破壊だけで言えばおそらく俺が生きている間にはないかもしれないので、むしろ別の問題が出てくる可能性のほうが高いだろう。

それは薪の消失だ。

もし、すべての木を取り尽くしてしまった場合、薪の入手が困難になる。

これはこの地で生きていると恐ろしい事件になる。

前世でガスや電気で暖房がとれているときには薪について考えることなどなかった。

だが、この世界では薪を暖房に使っているのだ。

生活魔法で【着火】はできるが、薪がなければ燃やすものがないという状況になる。

そんな状態で冬が訪れれば全員凍死間違いなしだろう。

そのための対策を今から考えておくことは悪いことではないと思う。

森の管理、言ってしまえば林業をやっていこうと思う。

適切に管理された森は人間にとって非常に有益だと聞いたことがある。

先程のように森林破壊の影響を抑えることができるのもそうだ。

さらに上質な森林資源を安定的に入手できるという点もあるだろう。

自然に任せた森では木と草が大地に光を届かせなくするくらい生えてしまう。

そうするとあまり太い、しっかりした木には育ちにくいのだ。

適度に間引いて日当たりを良くすることで丈夫な木材として加工できるだろう。

それに、俺の事業プランには魔力茸の栽培も入っている。

魔力茸を生産するには原木が必要になるのだ。

わざわざ森を食い尽くすようなことをするのは俺も望んでいない。

「というわけで、森を管理しておきたいんだよ。言ってみれば畑に木を植えるようなもんだね。でも、俺は野菜や麦を育てた事はあっても樹木のことはあんまり知らないんだよ。だから、マドックさんのような森の専門家に手伝ってもらえないかなと思ったんだ」

「ううむ。正直なところ、森の木がなくなったあとのことなど、本当にそうなるのかわしには想像もつかんのだが……」

「そうかもしれないね。でも、森の管理の有効性はなんとなくでもわかるでしょ。それに、マドックさんが賛成してくれなきゃ、どのみち俺が無秩序に木をなぎ倒していくことになるかもよ。それを防ぐ意味でも俺と一緒に行動しておいて損はないと思うけどね」

なんか、自分で言ってて半分脅迫みたいな言葉になってきたなと感じる。

だが、迷ってはいるもののマドックさんも興味を示し始めてくれているようだ。

しばらくして、ほかのみんなにも相談させてくれと言ってきたので、その日は俺も家へと戻った。

結局、数日後にマドックさんは俺の言葉を木こりたちに伝えて説得してくれたようだった。

俺の話す内容に木こりたちは半信半疑だったようだ。

だが、マドックさんがあの子どもを見てくれるならもう少し様子を見てみるか、という意見で落ち着いたようだった。

こうして俺は北の森を開拓しつつ、管理していくことになった。

どうでもいいが、俺が森を管理するというのを認めるのは、森が俺のものだと認めたようなものだがいいのだろうか。

木を見て森を見ず、ではなく木を見て土地を見ずとでも言えばいいのだろうか。

これを期に村から北はなんとなく俺の管轄だという雰囲気が村の中で広がり始めるのだった。