軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

巨人専用装備

『おい、タナトス。こないだの森での件についてのお礼だ。受け取ってくれ』

『アルス、これはなんだ?』

『お前の新しい武器にってグランに作らせたんだよ。あのときの竜の骨を使ったものだから、かなりの逸品だぞ』

『竜の? これは竜装備なのか。すごいな、アルス。本当にこんなものをもらっていいのか?』

『もちろんだよ。あのとき、タナトスがそばに居てくれなかったら、俺もカイルも危なかったからな。礼として最高のものを用意したつもりだ』

『わかった。ありがたくいただく。でも、この武器は俺にとっては少し小さすぎるんじゃないか、アルス? 俺が魔法を使って大きくなったときには、またお前が石の槍を作るのか?』

『いや、そうじゃない。それは竜の骨から作った魔法武器なんだよ。魔力を流し込めば反応する。巨人化しながら使ってみてくれ、タナトス』

俺とグランの武器作りは順調に進んでいった。

あのあと、何度か氷炎剣を作ってから、他のものも作っていくことにしたのだ。

氷炎剣は面白い魔法武器ではあったが、あくまでも使用した素材はウルクでとってきた炎鉱石のみだった。

そこで、いよいよ竜の骨を武器にしてみることにしたのだ。

といっても、その竜の骨を使った装備作りはほとんどグランがやっただけだ。

俺がしていたのは魔石に魔力を満たして、炎高炉に火を入れていたくらいだった。

グランの持つ竜素材の知識を活かし、バルカにある素材や触媒を用いて武器にする。

そうして、完成した武器をタナトスへと渡したのだった。

タナトスに渡した武器は棍だ。

剣でも槍でもなく、ただの棍、つまり長い棒だった。

しかも、巨人化していない通常サイズのタナトスにとってちょうどいい長さだ。

もちろん、棍だといっても素材が普通ではない。

基本的には竜の骨という非常に貴重であり、かなりの硬さを持つのだ。

これで殴られたらどんなものでもボッコボコになってしまうだろう。

これに匹敵する強度があるのは聖剣となったグランバルカくらいではないかと思う。

だが、この棍が持つ最大の特徴は別のところにある。

それは魔力を注ぐことによって発揮される。

そのことを伝えると、タナトスは巨人化しながら棍に魔力を流し込んだ。

魔法を発動させたタナトスの身長が伸びていく。

もちろん身長だけではなく、横幅も奥行きも同じだけ大きくなっており、急に目の前に大きな建物が建ったのかと錯覚してしまうほどだ。

5mを超えるほどの巨体となったタナトス。

そして、そのタナトスの手には棍が握られていた。

黒い棍が手に握られており、それを振り回すだけで多くのものを薙ぎ払えるような長さと巨人化したタナトスの大きな手のひらでも握りやすい太さを持つ長柄物がそこにあった。

『これ、大きくなったのか?』

『そうだ、タナトス。そいつは魔力を注ぐと大きくなる。お前と同じで長さが伸びるだけじゃなく、棍そのものがでかくなるから使いやすいはずだぞ。重さもあるから、それで殴るだけで大抵のやつは防御もできないだろうな』

グランは竜の骨を用いたタナトスへの武器のコンセプトを鬼鎧と合わせたようだ。

体に身に着けていれば装備している者の大きさにピッタリとフィットするという不思議な鎧。

それを武器にも応用したのだという。

竜の骨でも一番太く長い太ももの骨をタナトスの武器となる棍となるように削りだし、そこへ鬼の角やヤギや大猪、ヴァルキリーなどの素材や触媒を用いて加工していった。

その結果、使用者にちょうどいい大きさへと変化する武器が出来上がったのだ。

如意竜棍。

それがタナトスに渡した俺からの御礼の品だった。

今までは俺が巨人化したタナトスに魔法で作り出した硬化レンガ製の槍を渡していた。

これでも十分脅威的な武器であったし、おそらくこれからも投槍武器として使うだろう。

だが、森のなかでタナトスと一緒に戦った時に思ったのだ。

いざという時に不便だ、と。

森のなかではタナトスはあまり巨人化しなかった。

大きくなると逆に森の木が邪魔になって動きが取りづらかったのだ。

それに長い得物である硬化レンガ製の槍だと更に移動の邪魔になる。

だから、タナトスは森で植物に襲われたときにも通常サイズで戦っていたりしたのだ。

それに、考えてみれば今後高さのない場所でタナトスと一緒に戦うこともあるかもしれない。

例えば、建物の中などだ。

俺とタナトスが一緒の建物の中にいて、そこで誰かと戦うとなったとき、タナトスに巨人化されると非常に困る。

その際に建物の中でも通常サイズで使える武器があったほうが俺もタナトスも助かるだろう。

そういう思いもあり、自由に大きさを変えられるという如意竜棍はタナトスにとって大きな力となってくれるだろう。

むしろ、ちょっと強すぎかなとも思うくらいだ。

『ありがとう、アルス。感謝する。この礼は必ずするぞ。戦場でな』

『いや、俺からのお礼だって言ってんだろ。まあ、けど期待しているぞ、タナトス』

『ああ、任せろ。俺はこの武器を使って多くの戦士を倒してみせよう』

どうやら、タナトスはかなり喜んでくれたようだ。

嬉しそうに巨人化したまま如意竜棍をビュンビュンと振り回している。

その棍を振るう勢いだけでものが飛ばされそうな風圧が起きていて、そばにいる俺はちょっとした恐怖を感じるほどだ。

こうして、俺は着々と新装備を整えていったのだった。