軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後継者

「ふ、不潔です、アルス様。なぜこのようなものを……」

「い、いや、違うんだよ、リリーナ。これは新しいバルカの商品開発のためにつくったものであってだな。決してやましい気持ちをもとにして作ったわけではないんだ」

「嘘を言わないでください。こんな……、女性が肌をさらけ出したいやらしい絵を描いた紙をたくさん持っていて、そんな嘘が通用すると思うのですか?」

「違うんだって。本当に俺は自分の欲望のためにそんなものを作らせたわけじゃないんだよ。ただ単純に売れるものを作ろうと思ってしただけなんだ。それもこれも画家のモッシュがやろうって言い出しただけで、俺は最初は反対したんだから」

「……本当ですか?」

「本当だよ、リリーナ。全部画家くんが悪いんだ。後で注意しておくよ」

「わかりました。今回はアルス様の言うことを信じることにします。けれど、いい機会です。アルス様には言っておきたいことがございます」

「なに? なんでも聞くよ、リリーナ」

「……リリーナはお子がほしいです」

「……え、なんだって?」

「ちゃんと聞いてください、アルス様。リリーナは子供を授かりたいと言ったのです」

「お、おう。けど、俺もまだ子供みたいなもんだしな。そんなに急がなくてもいいんじゃないか?」

「何を言っているのですか、アルス様。アルス様はバルカ騎士領の当主なのですよ。それも独自の魔法を持っているお方なのです。後継者となるお子は早く授かるに越したことはありません」

「そ、そうは言うけど。けど、そういえばカルロス様も子供が生まれたって言っていたな。確かに戦ばっかりしているのに後継者がいないと不安が大きいとは思うけど」

「そのとおりです、アルス様。これも騎士としての努めです。それに私も適齢期ですし……」

「リリーナは今年17歳でしょ? ちょっと早くない?」

「いいえ。はやい方はもう少し若いときから子供を産むので私くらいの年齢で2人いることもありますよ」

「まじか……。ちょっとカルチャーショックだわ」

「と、いうわけでアルス様、女性の絵にうつつを抜かすようなことなどあってはなりません。もっと私のことを見てくださいね」

「ああ、別にリリーナのことを見ていないわけではないからね。本当にこの絵は商売のネタとしてだけだから。よし、わかった。それならこれからは遠慮なくリリーナに相手をしてもらおうかな」

「はい。お待ちしていますね、アルス様」

うーむ。

11歳のお子様である俺が子供をつくることになるとは。

まあ、後継者のことを言われると反論もできないか。

ちなみにカルロスは戦でアインラッドに行っている間に子供が産まれていたらしい。

男の子だったようで、カルロスもかなり喜んでいた。

今度パーティーが催されるらしい。

ついでにいうと俺の兄であるヘクター兄さんにも子供ができた。

エイラ姉さんが妊娠したようなのだ。

今はまだ動けているが、今後のことを考えてバルカニアの遊戯エリアについては今のうちから人に指示を出して引き継ぎをしているらしい。

しかし、エイラ姉さんは出産したら現場復帰するつもりのようだ。

本人がやる気のようなので止めはしないが、もしそれがうまくいくようならば画期的なことだろう。

女性が働いて、子供を産んだあとも仕事に復帰する。

ほかにも希望する女性がいるようならば遊戯エリアに託児所でも作ってみるのもいいかもしれない。

しかし、後継者か。

今まであまり意識したことがなかったが、これは正直すごく大きな問題だ。

というのも、俺が独自の魔法を持っているのが理由だ。

俺の魔法は現在のバルカの快進撃の原動力になっている。

そのことを疑うものは誰もいないだろう。

が、逆に言うと、俺のオリジナル魔法がなければバルカには全く価値がなくなるということをも意味する。

つまり、バルカという勢力は究極的なワンマン体質なのだ。

もし、仮にだ。

今ここで俺が死ねば、当然のことながら俺が持つ魔法はこの世界から存在しなくなることになる。

すると、俺が名付けて魔法を授けた連中も俺の死と同時に魔法を使えなくなってしまうのだ。

それを防ぐためには後継者が必要になる。

俺の魔法を継ぐ者。

それは俺とリリーナの子でなければならない。

実は結婚式のときに教会で名付けとは別の儀式が行われたのだ。

俺とリリーナの間に子が産まれると、俺の魔法が継承される権利を持つ子が産まれてくる「継承の儀」というものだ。

継承権を持つものは男児であり、産まれた順に序列が存在する。

が、序列には関係なく継承することもできるのだそうだ。

その場合、継承権の序列は関係なく継承権のあるものへ誰にでも魔法を継承し、名付けで得た親子関係の魔力パスも受け継ぐことができる。

ちなみに俺が急死した場合には自動的に序列最上位のものへと継承されるのだとか。

よくそんなシステムを教会の人間は作ったものだと思う。

「……って、よく考えたら俺だけじゃないよな。独自の魔法を使えるのは。カイルの結婚相手も探さないといけないのか」

今までのん気に構えていたが、そろそろカイルの魔法は失われたら大変な損失になる存在になってきている。

俺は自分のことだけではなく、身内の結婚相手のことにまで頭を悩ませることになってきたのだった。