軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アトモスの戦士

「グラン、そのアトモスの戦士ってやつのことをもっと教えてくれ」

「アルス殿、わかったでござる。といっても、拙者もあまり知らないのでござるよ。聞いた話というだけでござるが」

「ああ、それで構わないよ。知っていることだけでいいからどんどん言ってほしい」

「では、巨人になるアトモスの戦士も拙者たちと同じ人間なのでござる。魔法で大きくなるのでござる。聞いた話ではおおよそ3倍ほどの大きさになるという話でござるな」

「3倍か。見た感じだいたい5mくらいだったし、合ってそうだな」

「ウルク領の東にある大雪山の更に東にはいくつもの国があるのでござる。そこでも、ここと同じように争いが続いているのでござる。国と国同士の争いなのがこちらと違うといえば違うでござるかな。その中で傭兵として生活しているのがアトモスの戦士でござるよ」

「傭兵? 貴族ではないのか?」

「もともとアトモスの里と呼ばれるところがあるのでござるが、そこはあまり作物が育たないそうでござるよ。それでアトモスに生まれたものは他の国に出稼ぎに行くのでござる」

「なるほど。土地を治めるってよりは傭兵として活動しているのか。……でも、それならどこかの土地を奪ったほうがいい気もするけど」

「そのへんのことは拙者もよく知らないのでござるよ。ただ、巨人となるアトモスの戦士は考えられないような力を発揮するのでござる。戦場では大きな戦力として活躍する話はよく聞いたでござるよ」

「そりゃそうだろうな。あんなのがいるってだけでこっちの士気に関わるよ。動きを見た感じ、大きくなったからって動作が鈍くなってるようには見えなかったよな、バイト兄」

「ああ、丸太を振り回してたけどすごかったぜ。風圧だけでも体が押し戻されるかと思ったしな」

「アルス殿、バイト殿、アトモスの戦士は巨大化している間、体が非常に硬くなり攻撃も通じにくくなると聞いたことがあるでござるよ」

「マジか。バルガスみたいな感じになるのか、あの巨人が。弱点とかはあるのか?」

「うーむ、弱点でござるか。特にこれに弱いという話は聞いたことがないのでござるよ。ただ、あくまでも人間には違いないのでござる。絶対無敵というわけではないはずでござるよ」

なるほど。

グランがいてくれてよかった。

事前に知らずに戦ったらこちらも少なくない犠牲が出ていただろう。

それにウルク軍がアインラッド砦に来るまでにこの情報を得られたのも大きい。

なにせ巨人の大きさは5m近くあるのだから。

もし、何も知らずに砦での攻防戦になっていたらどうなっていたか、まったく予想がつかなかった。

「よし、確認するぞ。巨人の正体は大雪山よりも東の土地からきたアトモスの戦士であり、他の貴族の介入ではないってことになるな。間違いないな?」

「アルス様、それは間違いないと思います。さすがにそのような魔法を使う貴族家があれば聞いたことすらないというのはありえませんから」

「ありがとう、リオン。それで、グランに聞いておきたいのは他にもアトモスの戦士はいるかどうかってことだ。というか、大雪山を越えて続々とアトモスの戦士が流入してくるってことはないのか?」

「それは、……おそらくとしか言えないでござるがないと思うでござるよ。大雪山を越えるのは自殺行為でござるから。まず間違いなく途中で死んでしまうのでござるよ」

「……お前もその大雪山を越えてきたんだよな? なんでそんなことをしてんだよ」

「興味があったからでござる」

「は? 興味?」

「そうでござる。すべての生き物を阻むほどの偉大なる山の向こうに住む人々がどのような暮らしをして、どういうものをつくっているのか。気にならないほうが不思議なのでござるよ」

「……そんな理由で死ぬリスクを負ってまで大雪山を越えてきたのか。変わり者だと思ってたけど正真正銘の変人だな、グランは」

「しかし、そのおかげでアルス殿と出会えたのでござるよ。来たかいがあったというものでござる」

「そうかい。そりゃよかった」

なんか質問していたらグランの変人具合が明らかになってきてしまった。

だが、どうも話の内容からするとアトモスの戦士とやらも軽々と山を越えては来れないようだ。

じゃあなんでウルクの軍の中にいたのかという疑問もあるが、それは置いておこう。

ここでいちばん重要なのはそこではない。

アトモスの戦士が別の貴族家の人間ではないということだ。

もしそうだったらカルロスに指示を出してもらおうかと思っていた。

が、どうやらそうではなく気にする必要もなさそうだということがわかった。

「よっしゃ、じゃあ巨人狩りといきますか。あのデカブツだけはここの砦に辿り着く前に始末するぞ」

そうと決まれば話は早い。

あんな大きいのが来たらせっかく造った砦が壊されかねない。

ササッと退治してしまうことにしよう。

こうして俺は再びウルク軍に向かって出撃することにしたのだった。