軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

皇帝への道

「小国家群にある国々を一つにまとめ、その頂点に立つ。それがアルフォンス様の目指す方向なのですね」

「うん。リズと話していてそういう方向性でいこうって話になったんだ。それくらいでないと大国と類する力も信用ももてないからね」

「分かりました。それでは、各国にたいしてその旨を伝えましょう」

「……え? いきなり?」

「目的が定まっているのであれば、そのために動くのが最善であると考えます。アルフォンス様の意志を明確にし、それを相手に伝える。そこに賛同する者とは手を組み、反抗する者には武を示す。王や皇帝を目指すというのであれば、どのような方法を取ろうとどこかと敵対することは確実です。であれば、下手な気遣いは不要かと思います」

エリザベスとの話し合いで出した結論をアイに伝えた。

すると、アイはすぐにそれを実現するために動こうと言ってきた。

アイらしい合理的な考え方ということなんだろうか。

だが、はたして俺の味方をするというやつなんているんだろうか。

「パージ街とぺリア国、それとグルーガリア国、およびイーリス国は賛同する可能性が高いと考えられます。しかし、それ以外の国に関しては反抗の意志を示すのではないかと考えられます」

「駄目じゃん。圧倒的に少数派になってんじゃん、それじゃ」

「ですので、賛同側に引き込む工作を行う必要もあるでしょう」

「そうだよな。そういう根回しもある程度必要だとは思う。さすがに俺とイアンとエルビスの戦力で多方面の相手はできないだろうし。けど、具体的にはどうするんだ?」

「買収しましょう」

「え? 買収? どういうことだ、アイ?」

「小国家群にはさまざまな国が入り乱れています。オリエント国のように都市国家として議会を中心に政治を行っているところもあれば、名門貴族家のような存在が都市を治めていることもあります。買収を行う対象は前者のような国がよいでしょう」

前者の国ってことは、議会制の国ってことか?

そういうところに買収を仕掛けるってことは、議会に所属する議員にってことか。

なるほど。

そういう方法もありだろう。

その国の議会にいる一定割合の議員に金を掴ませてこちらの意をくんで動いてもらうということだろう。

そうすれば、俺を自分たちの王、あるいは皇帝、もしくは盟主であると表明してくれるかもしれない。

どこもまだ不況の影響は残っているだろうし、去年のグルーガリア国との戦いで米の相場がまためちゃくちゃになっているからな。

金はいくらあっても困ることのない不思議なものだ。

求める者はいくらでもいるだろう。

「わかった。じゃ、議会とかがあるところはそうしようか」

「後者の国にたいしてはいかがいたしますか?」

「そっちは簡単だね。ベンからいいものを見せてもらったから。議会みたいに仕組みが国を統治しているところじゃなく、特定の個人が土地を支配しているなら、忠誠を誓わせよう」

「忠誠紋のことですね。ブリリア魔導国が開発したあの魔法陣を使用するというわけですか」

「そういうこと。俺の目の前で使ってくれたしね。あれってもう解読してるんだろ、アイ?」

「はい。完了しています。いつでも再現が可能です」

議会があるところも、基本的にはだいたい似たような顔ぶれが街を支配していたりする。

が、定期的に人が変わることもあるので買収という形を取ることにした。

その代わり、決まった人間がそこをがっちりと押さえている人治主体の国であれば、その個人にたいして忠誠を誓わせることにする。

そのための方法はすでに霊峰で見たからな。

力の弱ったベンジャミンが側仕えなどから力を受け取るために、忠誠紋を発動した。

【命名】の魔法陣を改良したらしいそれは、相手からの魔力を多く受け取れるだけではなく、相手の手の甲に紋章を浮き上がらせる。

それは忠誠を誓う相手を示すもので、俺に忠誠を誓うのであれば俺の紋章が描かれるのだそうだ。

それを利用すれば、相手が口だけで従うと言ってきているのか、そうではないのかが分かる。

「でも、それをする前に身近なところからいくか。ほかの国よりも先にオリエント国内で忠誠を誓わせようか」

「オリエント国で忠誠紋を使用するのですか?」

「そうだ。っていうか、まだ使ったことないしね。どんなふうな挙動をする魔法陣なのか、しっかりと確認しておく必要もあるだろうし試しておこう」

「そうですね。では、まずはエルビス様から行うのが良いでしょう。エルビス様は忠誠を示す可能性が高いですので」

エルビスなら確かに確認相手としては一番いいだろう。

そのあとに、元孤児たちかな。

キクなんかも俺に忠誠を誓ってくれるだろうし。

で、魔法陣を調べてからは議員にもそれを使っていこう。

とりあえずは、バルカ党に所属している議員にやってみようか。

あいつらが実は別の誰かに忠誠を誓っていると分かったら、それはそれで面白いし。

こうして、オリエント国内で忠誠紋を使っていくことにしたのだった。