軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

米転売作戦

「ついでだから、グルーガリア以外からも米を回収しておこうか」

「え? グルーガリア国以外もですか? しかし、そうなると戦線が伸びすぎることになるのではないでしょうか? さすがに、騎兵隊があるとはいえ、オリエント軍の兵数で各地を荒らすのは大変かと思いますが」

オリバの【炎雷矢】のおかげでグルーガリア国のめぼしい場所の穀物倉庫を焼き尽くしていった。

それでも、まだ他国からの援軍というのは到着していない。

なので、余った時間でさらに周辺からも米を奪おうかと考えた。

が、そんな俺の考えにたいしてオリバが意見を言ってくる。

たしかに、できなくはないだろうがそこまでする必要があるのか、あるいはする余裕があるのだろうかという疑問はもっともだ。

今回はグルーガリア国にたいして、俺が命を狙われたことを理由として宣戦布告を行っている。

そのために、籠城を選択したグルーガリア軍を攻略するために町や村の食料を焼いているのだ。

もしそれが、ほかの国の食料にまで手を出せば、グルーガリア国に援軍を出そうとはしていない国にも恨まれてしまいかねない。

「いや、ほかの国にたいして攻撃を仕掛けるつもりは今のところないよ。俺の考えはこうだ。他国からは高値で米を買い取ろうかと思う」

「米を買い取る、ですか? お金を払ってまで、そんなことをする必要があるのでしょうか?」

「十分あると思うよ。これからの話だけど、グルーガリア国では今食料が減っている。で、そんな食料のない国に十か国以上が軍を出して援軍を送り込むんだ。当然ながら、どこも食べるものを確保しづらい状況になる。でも、食べなきゃ軍を維持できない。そういう時、普通ならどうする?」

「普通は軍に帯同してくる商人から食料を買うことになるでしょうね」

「そうだ。だけど、商人ってのは基本的には金の損得勘定に忠実な連中だ。ほかの国の軍が買う金額よりも高く売れる相手がいるならそっちに売る。だから、オリエント国が最初から高値でも買うことを知っていれば、自然と援軍のほうに回る食料は減るんだよ。うまくいけば、撤退を早められると思うんだけど、どうかな?」

軍というのは大所帯だ。

毎日、そこに所属する兵を食わせていくためには莫大な量の食料が必要となる。

が、基本的にそんな食料を持ち歩くわけにはいかない。

戦の期間を賄うほとんどの食料というのは、現地調達が主となる。

そこで、実際に動くのは商人たちだ。

軍には商人たちが引っ付いてくる。

そういう商人たちが食料を集めて、軍に売る。

逆に、軍がどこかの場所を攻略し、略奪などを行った際にはそれらの品を商人が買い取ることもある。

グルーガリア国に援軍に向かってくる各小国軍もそうだろう。

自国から陸上を輸送で食料補給をするのは大変だからだ。

川が使えればいいが、今はオリエント軍の魔導鉄船がグルー川を抑えているから水路での補給は望めないしな。

そんなわけで、ここに来る援軍たちは商人たちが集める食料を買い取ることになる。

が、すでにグルーガリア国内には商人が手にするだけの量の食料は存在しなくなった。

ならば、グルーガリア国以外から集めるしかない。

それを狙う。

高めに設定した金額でいくつもの国から食料を買い取ることにする。

そこで使うのは、これまたグルー川と魔導鉄船だ。

川を利用し、あちこちで米を買い取り、推進力のある魔導鉄船で運ぶ。

もちろん、高値で買い取ることでこちらが損をする可能性もあるだろう。

持久戦をするならば、財政的な破綻もしないように買取する必要がある。

「そのへんのことは大丈夫なのですか?」

「大丈夫だ。バルカ教会の情報網は広いからな」

「バルカ教会の情報網? どういうことでしょう?」

「地域による米の価格の違いだよ。実は結構その場所場所によって、同じ米でも値段って変わってくるんだよね。不作だったり、いろんな条件でね。今でいえば北にあるバイデンの町は高値で売れるんだよ。冬の間に食料の値上がりが起こって、まだ今でも高値が続いているからな」

「……つまり、グルーガリア周辺国で米を買いあさり、それをさらに遠くの米が高く売れそうなところで売りさばく、ということですか。そうすれば、戦費が稼げるうえに、こちらにやって来る援軍の食料を不足させることができる。なるほど。そういう搦め手をアルフォンス殿は考えていたのですね」

「魔導船を作ったときから、クリスティナなんかとはそういう話をしてきていたからね。ぶっちゃけ、それができるってだけで他国にはかなり優位に立てるだろうってアイも言っていたし。まあ、それもこれも、各地にバルカ教会が増えたからだけどな。バルカ教会のおかげですぐに各地の米の値段が分かるからこそできる手法だね」

「いいですね。話に聞く限りでは損もなさそうですし、やってみてはいかがでしょうか」

「よし。じゃ、さっそくアイに連絡して手配させよう。可能な限り、ここら一帯の米を買い取ることにしよう」

こうして、オリエント国はグルー川を利用してなるべく多くの国から米を買い集めることとした。

北にあるバイデンの町から川下の地域まで、各地で少しでも米が売れるところに買い取った米を持っていき、利益を上げる。

それにより、あっという間にグルーガリア国だけにとどまらず、周辺国からも米が不足し始めた。

そのころになって、ようやく陸路を移動して他国からの援軍が到着し始めたのだった。