軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カレン家臣団

パージ家に連なる者のなかで生き残ったカレン。

彼女にぺリア国を任せることにしたが、しかしまだ若い女性でもあった。

キクと結婚しているが、まだ十代半ばを過ぎたくらいなのだ。

そんなカレンがいきなりもともと住んでいた街ですらないぺリア国全体をまとめろと言われても難しいだろう。

というわけで、カレンには家臣団のようなものが組まれることになった。

カレンをそばで支えて統治を手伝う者たちだ。

そのなかには新バルカ街にある学校に在籍している者も含まれている。

俺がブリリア魔導国のヴァンデンブルグ伯爵家のエリザベスと婚約を交わして、これからはオリエント国外からも人が来るからといって学校を新設した。

それまでは、新バルカ街にある俺の家であるバルカ御殿で孤児たちを中心にアイが教育を行っていたが、それを切り離して教育の場として門戸を開いたのだ。

上流階級相手にたいしても失礼のないように応対できる礼儀作法や教養もを教わることができるし、戦闘技術や戦略・戦術の研究、計算や商売のやり方などいろんなことが学べるところになっている。

そんなバルカ学校の生徒たちからカレンやキクが部下を選んで連れていくことになったのだ。

カレン自身もその学校に籍を置いていたこともあり、気心の知れた人がいるのだろう。

誰を選ぶかは基本的には任せた。

が、それでも学校で学んでいただけの生徒の集まりだけでは実務はこなせないかもしれない。

というわけで、実際に実務を担当できるだけの人間もついていくことになった。

それは、オリエント国にある【寝ずの館】こと、アイの家の職員たちだ。

彼ら彼女らはアイとともに働く異常者である。

睡眠を必要としないアイのそばで、そのアイの仕事の速度に遅れまいとして【瞑想】を使いながら、必要最低限の休息のみで働き続ける者たちだ。

そいつらの一部がぺリア国にカレンの部下として、ぺリア国に来ることになった。

が、最初はぺリア国行きを嫌がったらしい。

いわく、アイのそばを離れるのが嫌だからだそうだ。

もともと、そいつらは自主的にそこまで異常な働き方をしていただけだ。

けれど、それは仕事が好きというよりも、どっちかというとアイが好きなんじゃないだろうか。

まあ、ちょっとだけ分からなくもない。

アイは苛烈な仕事量を持っているだけで、他者にたいして理不尽に怒ったりしないしな。

ほかのオリエント議員たちの下で働いたりしていると、そういうことは時々あるようだ。

また、出自や人間性など、仕事に関係のないことは完全に気にせずに、仕事の結果だけで評価をしてくれるアイは雇い主兼上司として、彼らにとってはいい存在なのだろう。

というわけで、アイのそばを離れたがらなかったのだ。

だが、そんな彼らも最後にはぺリア国行きを受け入れてくれた。

それはなぜか。

理由は単純だ。

ぺリア国にはアイも一緒に行くことになったからだ。

アイは精霊石を核として動く神の依り代だ。

が、東方においてはしっかりとオリエント国に戸籍を持ち、俺と婚約も成立させた一人の人間である。

そして、魔術師でもある、とされている。

アイは【分身】ができるという設定になっているからだ。

新バルカ街で俺の家や学校で教育を施しているアイ。

そして、全く同時刻にオリエント国首都にて議長として仕事を精力的にこなしているアイ。

それぞれが独立して存在しており、けれど、一個の存在として確立している。

別の場所にいるアイたちが人の名前すら共有して覚えているのだ。

それを説明するための方便として、アイは魔法ではない独自の魔術として【分身】のような者が使えるということになっていた。

まあ、あえてそう匂わせているだけだけれど、それは知る人ぞ知るアイの能力だと認識されているわけだけれど。

ともかく、その設定上、アイは自身の生徒や従業員を見守るためにも【分身】を使って同行するということができるわけだ。

これならば、カレンのような経験のない者であってもぺリア国をまとめることができるだろう。

まあ、もしかしたら国内で反発がでるかもしれないが、その時は夫のキクに頑張ってもらおう。

キクもなんだかんだで傭兵をまとめる指揮官としてこれまで活動してきていたので、ぺリア国で軍をまとめて動かすのもある程度できるだろうし。

「というわけで、頑張ってね、カレン。キクもしっかり彼女のことを支えてやれよ」

「もちろんですよ、アルフォンス様。俺たちに任せていてください」

ぺリア軍を打ち破った俺はその後都市内にまで進行した。

壁の外で軍を徹底的に倒したので、壁内では戦意喪失していたのか、それほどの抵抗はなかった。

その後にカレンが統治予定だったので、略奪のようなことはさせずに、しかし、この国の中心地を占拠し、そこにカレンたちが到着するまで居座っていた。

この国にある土地や人物の情報、あるいは納税記録や法制などのありとあらゆる記録を確保している。

また、それまでこの国で実際の実務をしていた者も残ってはいるので、希望すれば継続して働くこともできる。

むしろ、こいつらの力も統治には必要だろう。

なんにせよ、これでとりあえずぺリア国は完全な親バルカ派として安定してくれることだろう。

こうして、カレンやキクがぺリア国に到着した後は軽く引継ぎをし、それが終わり次第、すぐに俺はグルーガリアを目指して行動を開始したのだった。