軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結婚と財産

「え? てっきり、たくさんの奥さんを娶るつもりがあるのかと思っていたのだけど、違ったのね?」

オリエント国にあるローラの屋敷。

そこで仕事をしていたローラに話をしたところ、そんなことを言われた。

エリザベスと結婚した後にシオンと結婚するという内容だが、ローラの中ではそんなふうに思っていたのか。

「俺は別にそういうつもりはなかったんだけど……」

「なら、ミーちゃんとかはどうするつもりなの、アルフォンスくん? あの子はきっと、アルフォンス君と結婚したいと思っていると思いますよ?」

「ミー? 俺はミーとも結婚するのか?」

「アルフォンスくんとしないんだったら、誰と結婚させるつもりだったの? ハンナちゃんみたいにどこかから強い傭兵さんでも連れてきて結婚させるとかかしら? そんなことをすれば、多分すごく悲しむんじゃないかしら、ミーちゃんは」

ミーティアか。

確かに新バルカ街に帰ったときには、すごく懐いているからよく引っ付いてくるけど、俺と結婚する気だったのか。

まあ、確かに今の俺の家であるバルカ御殿に住んでいる限り、ほかのだれかと知り合う機会もあんまりないからな。

俺と結婚しないのならば、元孤児でもあることだし、俺が結婚相手を見つける必要があるのか。

考えたこともなかったな。

「というか、そんなにたくさんの人と結婚することは別にいいの?」

「オリエント国は法が定められた国よ。その法の中には重婚の禁止というものはありません。それにアルフォンスくんはもともと異国の出身でしょう? 霊峰の向こうではそういう文化なのかと思っていたのよね。小さい男の子が娼婦を大量に身請けするなんて、普通はやらないですから」

なるほど。

全然知らない土地から来た俺が何をするか分からない。

それはいろんな方面で感じることだそうだ。

だからこそ、結婚観も未知数だったってことか。

女性を多くそばに置いているように見えたことで、きっと将来たくさんのお嫁さんをもらうつもりなんだろうと今まで見られていたということなんだろう。

俺は自分の中ではそういうつもりはなかった。

けど、フォンターナ連合王国ではそういうこともある。

もともと、継承の儀を行うことで、継承権というのが生まれついて持つ者と持たない者ではっきりと分かれるからだ。

どれだけたくさんの人と子どもを作っても、その子に継承権がなければ家を継ぐことはできない。

だから、バイト兄さんなんかは何人もの人との間に子どもがいるらしい。

「でも、結婚相手が増えるというのは考えものかもしれませんね」

「どういうこと? 法的には問題ないんでしょ?」

「はい。何人の方と契りを結んでも法に触れることはありません。けれど、別の法についてはきっちりと考えておく必要があると思うわ」

「別の法ってなんのこと?」

「財産権についてよ。アルフォンスくんが亡くなった後にその資産を遺族は引き継ぐことになるけれど、妻が多ければ多いほど、分割されてしまうことになるの。現状で言えば、新バルカ街はアルフォンスくんが土地を手に入れて作った街だけれど、あれが分割されてしまうことになるかしら。揉めますよ、きっと」

「なるほど……、財産か。そういう話もエリザベスとはしっかりしておいたほうがいいかもしれないな。ブリリア魔導国では全然考え方が違うとかありそうだし」

「それもそうですね。婚姻時に行う取り決めもあるでしょうし、バナージ議員がどのような話で婚約をまとめたのかも確認しておいたほうがいいかも」

うーむ。

ブリリア魔導国の貴族と同盟関係を結ぶという意味もあって始まった結婚のことだが、ちゃんと考えなければならないことは思った以上に多かったようだ。

まあ、当たり前なんだけど。

けど、深く考えずにバナージ任せにしていたのはこっちだしな。

というか、死後の財産の分け方なんか知らないっての。

揉めたらもめたで、それは後の世代の問題だろう。

そう思っていたが、どうやらそれはかなり甘かったようだ。

オリエント国はしょせん小国の中の一つの都市国家でしかなかった。

が、ヴァンデンブルグ家は違う。

大国と呼ばれ、国土も広いブリリア魔導国のなかでも伯爵として家格を持つ立派な家だ。

そして、そのような家は実際の財産とは別に継承するものがあるのだという。

「請求権? それって、あれだよね、エリザベス。その土地の所有権は我にあり、っていう権利だよね?」

「はい。私はヴァンデンブルグ家の娘としてヴァンデンブルグ伯爵領の請求権を持っています。なので、私の産んだ子はヴァンデンブルグ家の継承権を持つことになりますよ」

「ってことは、俺とエリザベスの子がヴァンデンブルグ家の土地を求めて行動することができるってことになるのか。それって、争いのもとになりそうだけど、大丈夫なの?」

「まあ、そういうこともありますね。けれど、それは貴族の習わしですから。請求権を使った争いは絶えることはありませんよ」

オリエント国では法によって分割される財産制度がある。

ブリリア魔導国も同じように子どもの間で財産が分割されるようだ。

が、そこには請求権というものがくっついてくるらしい。

自分以外の兄弟に分割された財産に対して、それは本来自分のものであると請求できる権利なのだとか。

その請求権を発動して、身内同士で戦うこともままあるのだという。

貴族院では自分には関係ないことだと思って全然興味を持たなかったから知らなかったな。

改めて、その請求権についてエリザベスに聞くことにしたのだった。