軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔装兵器と異常個体

「っち。燃え尽きよ」

天空王がなにかをしていた場所。

そこで今まさに調査を開始しようとしたときだった。

土中からとんでもない大きさの土喰が現れた。

その体の長さはあらゆる生き物を越えていて、体の太さの直径はそこらの家の高さすら越えるだろう。

そして、その体の先端にある口も体の大きさに比例して、当然のように超巨大であり牙もでかい。

まさか、こいつが現れたからだろうか?

天空王一行がそうそうに引き上げたのは。

あり得ないことではないだろう。

こんなものが土の中から現れるようでは、おちおちと精霊石も探していられない。

そんな超巨大な土喰にたいして、我が力を解き放つ。

先ほどまでの雪を解かす程度の炎ではなく、明確に攻撃するための炎を相手に向かって放った。

そのまま、生きたままに燃やし尽くそう。

そう思ったのだったが、相手は炎を見て動きを変えた。

突進するようにこちらにまっすぐに突っ込んできていたのに、攻撃を見てその場で停止して口のある頭部を大きく持ち上げたのだ。

それだけの動きでもこちらの炎による攻撃の範囲外への回避となってしまった。

「で、でかいですね。それに見てください。あいつ、体に何か所も火傷の跡がありますよ」

「火傷跡だと? 確かにそのような傷が残っているな。だが、俺の炎の跡ではなさそうだな」

「違うのですか、統括? 我々の中で炎を使いこなせるのは統括だけですが……」

「ああ。あれは火傷と一緒に切り傷が残っている。我が炎ではあのような傷は残らないからな。だが、炎による攻撃を受けたことがあるから、こちらを警戒しているのかもしれんな」

土喰が動きを止めた一瞬でそばにいた部下が奴の体を観察し、傷跡について指摘する。

そこには確かに炎による攻撃の跡があった。

奴の体には間違いなく高熱の炎で火傷を負わされている。

しかし、それは俺のものではなかった。

まあ、それはいい。

どうも奴は炎を警戒しているようだからな。

今のうちに迎えうつ準備が整えられる。

「魔装兵器の使用を許可する。あの土喰を倒すぞ」

あの火傷跡は天空王の仕業なのだろうか?

土喰にたいして斬撃での攻撃を行い、そして燃やした。

おそらくは土喰の体から飛び出る消化液に対する対処なのだろうと思う。

ということは、天空王というのは俺と同じ炎の使い手なのだろうか?

土喰は斬りつける攻撃にたいして手痛い反撃をしてくることが分かっている。

斬りつけた武器ごと、攻撃した者の体に超強力な消化液を浴びせるという攻撃だ。

いや、相手にとっては攻撃ではないのかもしれない。

だが、それはこちらにとっては死に至る傷になりえてしまう。

だから、我々は斬撃による攻撃を土喰にたいしては用いない。

その点でもあの傷が俺のものではないことは明白だろう。

俺たちが土喰に対処するには、魔装兵器を用いるのだ。

アトモス領で手に入れた精霊石を加工・処理して作られた魔道具にして最強の兵器。

魔法陣が描かれたその精霊石に魔力を通すと、そこから土の巨人が現れる。

その全長こそ、蛮族の巨人には少し劣るが、戦闘能力では負けていない。

それがこの土喰たちにも非常に有効な攻撃手段でもあった。

岩の巨人として現れた魔装兵器は、精霊石に魔力を込めた者の意志によって操作できる。

人間を超える身長を持ち、その体は岩でできていて、なにより壊れにくい。

魔装兵器には修復機能がついているからだ。

体を構成する岩がたとえ切り飛ばされてしまったとしても、近くに落ちている岩などを使って直すことができるのだ。

打撃攻撃が有効な土喰にたいして、万が一にも消化液を浴びせられたとしても全く問題ないということを意味している。

その魔装兵器を俺や部下たちが複数体同時に出現させた。

ここまで、万全を期して部下たちを連れてきていたのは正解だったようだ。

何体もの魔装兵器が現れた土喰にたいして攻撃を開始する。

「……な、食べている、のか?」

だが、そこで信じられないものを見た。

いつもならば、土喰程度は圧死させるように叩き潰すことができるはずの魔装兵器。

それが、超巨大な土喰によって逆に機能停止にさせられていたのだ。

いや、機能停止といっていい損害では済まないかもしれない。

なぜならば、その核となる精霊石を食われているようだからだ。

土喰の体に近づいて攻撃を仕掛けた魔装兵器。

だが、その魔装兵器ですらもその異常個体らしき土喰にとっては小さきものだった。

圧倒的な分厚さを誇る胴体を魔装兵器に叩かれながらも、それを無視して一体の魔装兵器にかじりついたのだ。

その大きすぎる口で丸のみにするように魔装兵器を口に含み、そして巨大な牙でぼりぼりと音をたてて食べるようにかみ砕いて、飲み込んでいく。

後に残ったのは魔装兵器の手足のみで、それがふたたび動かすことはなかった。

信じられない。

まさか、魔装兵器の岩の体ですら、奴にとってはそこらの土と同じだというのだろうか。

しかも、どうやら味を占めたようだ。

近くにいる人間ではなく、自ら魔装兵器に向かってかみつき、牙を突き立てて、食らいつくす。

残った手足には目を向けないことからも、もしかすると魔装兵器の核が奴の狙いなのかもしれない。

「やらせるか。我が煉獄の炎をくらえ」

それを見て、焦る。

あの魔装兵器は本国から私に与えられたものであり、それが損なわれることは、すなわち国からの信頼を失うに等しいことだからだ。

何体もの魔装兵器を失いました、などと報告すれば失脚する。

これ以上はやらせない。

やらせてはならない。

目の前の光景から将来の不安を感じ取った俺は、我が魔力での攻撃で対処しようとした。

だが、我が炎が相手の体に当たる前に、向こうから体を動かしていた。

その巨大な肉体をまるで鞭のようにしならせて、俺やほかの部下たちを叩き潰すような攻撃をしてきたのだ。

我が煉獄の炎は相手を燃やす前に、その攻撃による風圧と勢いで殺され、そして、超巨大な土喰の体がこちらへと迫ってきた。

私は目の前に近づく、火傷跡の残るその分厚い胴体をただ見続けることしかできずに、押しつぶされたのだった。