軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

血縁関係

「姉さん、入るよ」

「リオン、どうしたの?」

「ここに姉さんがいるって聞いたから、って、そちらの方は?」

「あ、申し訳ありません。アルス様、こちらは私の弟のリオンです。リオン、この方はアルス・フォン・バルカ様よ、ごあいさつなさい」

「申し遅れました。リリーナの弟であるリオンです」

「ああ、アルスだ。よろしく。って、リリーナに弟がいたのか? ってことはリオンもカルロス様と血がつながっているのか? たしか、フォンターナ家には男児はカルロス様だけだって聞いたんだけど」

「あ、いえ、違いますよ、アルス様。リオンはカルロス様とは血がつながっていないのです」

「え? どういうこと? 弟なんでしょ、彼は」

「はい。母は先代様との間に私を産んだあと、父と結婚してリオンを産んだのです。私とカルロス様は血の繋がりがありますが、リオンにはありません」

んん?

なんだそりゃ。

カルロスの親父はとんだスケベだったんじゃないだろうか。

城のメイドに手を出した責任を取らなかったんだろうか。

リリーナたちの家庭環境が不穏すぎる気がするのは俺だけなのだろうか。

まあ、それぞれを見ていると特別仲が悪いというわけでもなさそうだけど。

「姉さん、すごく仲良さそうだね。姉さんがそんなふうに男の人と話しているのなんて初めて見るよ」

「ちょ、何言っているのリオン。変なこと言わないで」

「ははは、顔が真っ赤だよ、姉さん」

「もう、リオンのバカ」

リリーナをからかうリオンとそれに顔を真赤にして怒るリリーナ。

なんとも仲の良さそうな姉弟だ。

2人の姿を見ていると気持ちがほっこりしてくる。

「アルス様。姉はご迷惑をおかけしていませんでしたか。なにせ、普段から人見知りをするもので」

「いや、全然そんなことはなかったよ。今、リリーナからいろんな本の話を聞いていたところだ」

「そうですか。今後も姉をよろしくおねがいします」

「ん? ああ、わかった。こちらこそよろしく頼む」

俺がそう答えるとリオンは一度頭を下げてから部屋を出ていった。

特に要件を言ったわけではなかったが良かったのだろうか。

それにしても、リオンか。

あいつやばいな。

リリーナよりも魔力の質が高い。

しかも、俺と話している間、眼に魔力を集中させていやがった。

俺のことを観察していたんだろうか。

リオンの年齢はカルロスより少し下くらいだろう。

バイト兄よりは少し上に見えたから13〜14歳くらいなのではないだろうか。

だけどバイト兄よりも遥かに大人びて見える。

あいつとはもう少し話してみたかったなと思ってしまうのだった。

※ ※ ※

「アルス、貴様の結婚が決まったぞ」

「は? 今なんと?」

「結婚が決まった。相手はリリーナだ。雪解けを待って春には挙式を上げる。いいな」

「いや、よくないんだが。なんでそんな話が急に出てきたんだ」

「なにを言っているんだ。貴様がリリーナを気に入っているのは百も承知だ。わざわざ俺が気を利かせてやったんだ。もっと喜んだらどうなんだ」

「カルロス様、私はまだ今年で10歳になる子供ですよ。結婚なんて早すぎでしょう。それにリリーナの気持ちも、相手の親のこととか、いろいろあるでしょう」

「貴族ならそのくらいの年齢で結婚しても不思議ではない。それに貴様の立場はまだ微妙だ。一応俺との血の繋がりのあるリリーナと結婚すれば、その地位も固めやすくなるぞ。結婚しておいて損はないはずだ」

おいおい。

いったいこいつは何を言っているんだ。

急に結婚がどうこういい出したと思ったら、地位の話が出てくるとか。

もしかして、これは政略結婚とかいうものじゃないだろうか。

「それにリリーナには親はいない。すでに死んでいるからな」

「え、そうなのですか」

「ああ、だがリリーナの身内であるリオンに確認をとったら結婚に賛成していた。というか、リオンは貴様に姉を頼むと言ったら快諾してくれたと言っていたぞ」

「あ、姉を頼む? あれはそういう意味だったのか?」

「どうやら、心当たりがあるようだな。まあ、どのみち反対意見など聞くつもりはない。さっさと心を決めておけ」

むちゃくちゃいいやがるな、こいつ。

つうか、この流れは明らかにおかしい。

もしかして、あのとき部屋にリオンがやって来たのはすでにこういう話が出ていたからなのではないだろうか。

はめられたかもしれない。

……まあ、別にいいか。

悪い話ってわけでもない。

リリーナはかわいかったし、カルロスとの直接の縁ができるっていうのも悪くない。

ちっとばかし早すぎる気もするが、貴族というのはこんなものだと言われたらそれまでだ。

いいさ。

俺も覚悟を決めてやろう。

こうなったら、早速結婚の準備でも始めようじゃないか。

こうして、俺の人生に早々と一大イベントが到来したのだった。