軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後始末

「どうするつもりなのですか、アルフォンス様?」

「い、いやー。そうは言ってもな。どうするかなんて考えていなかったし」

イクセル平地での戦い。

オリエント・パージ軍対ぺリア軍の戦いはこちらの勝利で終わった。

【雷光】の騎士セシルという相手を倒したことで勢いが完全になくなったぺリア軍本陣を蹂躙し、その結果を魔導通信器を使って各戦線に伝えて士気を上げる。

そうして、まだ本陣での出来事を知らないほかのぺリア軍の部隊にも攻撃を仕掛けることで、こちらの大勝利に終わった。

めでたしめでたし。

そうなるはずだったが、なぜかならなかった。

というのも、すぐにまたほかの国がオリエント国を攻めてくるという情報が入ってきたからだ。

どうやら、魔道具という高級品を扱うオリエント国は相当に魅力的に見えているらしい。

周囲の国から攻撃を受けること三度、そのすべてに俺はオリエント軍を指揮して対応しなければいけなかった。

今までのような国境沿いでの小競り合いよりも規模を増した五千人程度の規模の軍がこちらを攻撃してくる。

その対処に当たるオリエント軍の兵数はそのたびに減少していった。

いくらこっちが戦で勝ったといえども、負傷兵はゼロではないからな。

戦うたびに兵は損耗してしまう。

そして、勝利したとはいえ、各地への警戒も必要だった。

グルーガリア国やぺリア国の軍相手に勝利を掴んだとしても、すぐにその後に別の国から攻められたことで、相手の本国にまではこちらの軍は到達していない。

時間が経てば相手も立て直してくることだろう。

それを考えると、そちらに対してもある程度の兵数を必要としたのだ。

そのため、グルーガリア国からあわせて五度目の侵攻を受けた際のこちらの迎撃部隊は千〜千五百程度の数までしか出せなくなっていた。

急遽、パージ軍を見習って女性兵を動員したくらいひっ迫していた。

主に輸送や衛生兵などを女性兵に任せて、前線で戦うのを男性部隊にするという苦肉の策だ。

ここまで数が少ないと、個人戦力がいてもちょっと対応に困る。

そこで、どうしたかといえば、あちこちで防壁戦術を実行したのだ。

【壁建築】という魔法を使って防御陣地を確保し、そして有利な要衝を抑えつつ、相手を圧迫していく。

この戦い方ならば、壁を作ることができれば数が少なくとも戦えるからやりやすかったというのもある。

各地の防衛に残った者が魔石に魔力を込めて送ってくるようにすれば、兵数の少なさはごまかせるからだ。

が、それ以上に、思ったよりも頭を使って面白いという理由から俺が多用したのだ。

都市国家オリエントを中心としてその勢力範囲内にある村々を含めたオリエント国の国土。

そこにあちこちから攻め込んでくる国の軍相手に防壁を建てて防御の構えをとる。

そこで、相手を押し返すことができればそれでよし。

もし、ぺリア軍のセシルのような個人の力が優れた者がいるなら、短期決着と称して決闘を申し込むのもよし。

そんなふうに戦い、そして、なんだかんだで無事に勝利を治めた。

その結果、残ったのはなにかというと、オリエント国の国土外周に広がる多くの壁だ。

それらの壁はもちろん、他国が攻めてきたときには防壁となる。

守りやすく、重要な場所を先に抑えて壁を作り陣地としたのだから、どこも重要だ。

それを見て、オリエント国議長であるアイが言ってきたのだ。

その後始末はどうするのか、と。

確かに、それは大きな問題だった。

壁があるだけとはいえ、どこもオリエント国とは関係のない勢力に陣取られた場合、こちらが困ることになる。

なので、ある程度、それらの壁を見張る存在が必要となるだろう。

誰にそれをさせるかというと、もちろんオリエント兵だ。

国をぐるっと囲むように建てた壁を守るために兵を配置する。

魔導通信器などがあるおかげで、連絡を取り合うことはできる。

とはいえ、魔導通信器はものすごく重要な魔道具であり、今のところ売り物にはしてない貴重なものだ。

というわけで、通話はできないものの、魔力を使って単純な定形の信号のみを発する以前作った装置を設置しておく。

各地の防壁に供えられたその装置とそれを操作する兵、および守備の兵。

それらが必要になったわけだ。

ただでさえ限られたオリエント軍の兵数が、それらの守備に割かれた。

もはや、オリエント軍は他国に自分から攻めていけるほどの兵数が無くなってしまったのだ。

それだけではない。

常に壁を守るために使う兵を養っていく必要がある。

当然ながら、そこにもお金はかかってしまうことになる。

うかつだった。

防壁戦術は面白く奥が深い戦い方だとしか思っていなかった。

その性質上、戦闘後には戦場に壁が出来上がり、そして、それを放置することはできないこととなる。

意外と後始末に手間がかかる戦い方であったことに、後になって気づかされたのだった。